長岡を日本初の「イノベーション都市」にする動きについては「まちづくりとイノベーション都市」でご報告した。 当面は、イノベーションの 拠点を中心市街地につくっていくことになるが、一方で、居住の地方分散の流れは、長岡市域全体が受け皿となる。インターネットの普及で、どこにいても(どこに住んでいても)コミュニケーションがとれ、仕事ができる環境になってきたからである。

今後も中山間地域や農村地域は、人口減少と高齢化がさらに進むことが予想される。しかし、外から若者が移住し、住み続けることが可能な時代になってきたのだ。この流れに乗るための受け皿づくりの意味でも、地域コミュニティを維持活性化し、生活の質を充実させることが、市政の大きなテーマだと考えている。

ということで、今回は与板地域の話題である。

 

■ 住民主体で地域の宝を守る

恐竜公園」をご存じだろうか?
子育て世代(といっても幅は広いだろうが)にはおなじみ、「与板河川緑地たちばな公園」の通称だ。旧黒川沿いにある南北長さ1.5㎞の細長い公園には、各種大型遊具、テニスコートやゲートボール場、花菖蒲園、良寛歌碑などの石碑、そして中川清兵衛記念BBQビール園がある。行楽シーズンはもとより、週末になると家族連れで賑わう人気スポットになっている。

この公園で4月23日(土)、大規模な清掃活動が行われた。主催はよいたコミュニティ協議会で、一般ボランティア、与板中学校の全生徒、教員など計251人が参加し、一斉に公園内や護岸、川面のごみ拾いを行った。


今年で13回目を迎えるこの活動は、これから本格的に始まる行楽シーズンに向け、みんなが公園を気持ち良く利用できるよう、地域コミュニティ活動として続けてきたものだ。最近は、地域企業のボランティアや公園を利用する家族、20代30代の若者の参加者も増えてきた。

地域の宝を守り、魅力を高める活動を通して、人と人とがつながり、交流の輪が広がっていることを大変うれしく思う。

 

 

 

■ よいたコミュニティセンター

来年4月、よいたコミュニティセンターが設立10周年を迎える。
恐竜公園の清掃活動をはじめ、多彩な取り組みを通して、コミセンに地域の人と知恵、情報が集まり、新たな活動が生まれる場になってきた。

「よいた検定」を受ける前の与板歴史講演会

例えば、コミセンのまちづくり部会で実施している「よいた検定」や「ふるさとよいたをもっと知ろう」は、豊かな歴史・文化を持つ与板ならではの活動だろう。

長期化する感染禍の影響で、地域のさまざまな行事やイベントが中止となり、皆さんの日々の楽しみや活躍の場が奪われていたように思う。が、どんな状況の中でも、住む地域への「愛着」と「誇り」が自然に生まれ、地域を丸ごと元気にするようなコミュニティ活動を続けていこう。市としてもしっかり支えていきたい。
市では「与板地域交流拠点施設」の整備を重点事業として推し進めている。

 

 

与板コミュニティセンターのスタッフ(センター長1人、主事3人)
歴史ボランティアガイドによる展示解説(与板歴史民俗資料館)

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 「ミニアオーレ」の建設

与板地域の人口減少率は、他の地域よりも低いのだが、高齢化による地域活力の低下が懸念される。

 ① 地域の人口 6,118人(令和3年4月1日現在)
 ② 人口減少率 11.4% (過去10年間の人口減少率)
    ③ 高齢化率  約35%

加えて、よいたコミュニティセンターや与板支所等の公共施設の老朽化対策が課題となっていた。そこで、コミュニティセンターと支所を集約した「与板地域交流拠点施設」の整備を、今年度スタートする(令和4年度は基本設計)。

新拠点施設は、現在の与板支所の敷地に建設する(予定)。
地域の交流・活動の場、協働による新たなまちづくりの拠点となるだろう。完成は令和7年度(予定)。利用するみなさんとの意見交換を重ねながら、実体的な整備を着実に進めることにしている。

地域の生活の質を高める地域コミュニティの強化は、市政の大きなテーマである。

地域を維持発展させていく機能を備えた『核』となる拠点をつくり、求心性を取り戻す──未来投資として、必要なハード(施設)の整備とともに、ソフト(人・組織・予算・アイデアなど)を充実させていきたい。

 


   関  連  記  事: 永遠なれ!与板打刃物 “トチオーレ”に決定

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旧黒川の川面を清掃するいかだは、発砲スチロールとベニヤ板で手作りしたもの。地域の建設業の方が中心になってつくりあげた”与板力”を見るおもいがする。