完全収束までには今少し時間がかかりそうだが、新型コロナ新規陽性者数がようやく落ち着いてきた。コロナ禍は大変な困難であったけれど、 この 間、多くの人々が生活を見直し、何が自分の人生にとって大切かを考え、「命と健康」が私たちの最大の関心ごとになった。このことを真の意味で「価値観の転換」にしていきたいものだと思う。
「命と健康」を育む市の政策の1つ、バイオエコノミーでは、持続可能な循環型社会の創生を目指している。米作を始めとする農業生産・地域に受け継がれてきた発酵技術・最新のバイオ研究など、地域資源を最大限に活かして、あるべき循環型経済の未来像を描き出そうとしているところだ。
昨年6月、バイオ戦略にもとづく 「地域バイオコミュニティ」の認定(国内4地域)を国から受けた長岡市は、7月に推進母体「長岡バイオエコノミーコンソーシアム」を設立した。JA/米菓製造会社/酒造会社/長岡技科大/長岡高専/金融機関/県の研究機関など29機関が参画し、バイオと地場のものづくり産業を結びつけ、新しい産業の芽を育てる取り組みを進めている。
今回は、地産地消のシンボル「長岡野菜」の枝豆を紹介し、循環型社会について話してみたい。
■ 幻の枝豆「越一寸」
食卓に彩りを添え、身近な食材としておなじみの枝豆。夏のイメージが強いが、9月に旬を迎える「越一寸」をご存じだろうか。
今月16日(金)、「越後ながおか越一寸えだまめ協議会※」の皆さんが、今シーズンの越一寸の販売開始の報告に訪れてくれた。
越一寸は、9月中旬からのわずか10日間ほどしか味わうことができないことから、幻の枝豆と言われてきた。名が表すとおり少し小ぶりなのが美味しさのポイント、他品種と比べ香りと甘さが強く、ゆで上がりの鮮やかな緑が特長だ。
試食してみると、甘くて、香りが強いことにびっくり! 器に盛った越一寸が、またたく間になくなってしまう。
8月20日(火) から県内イオン全店やJA越後ながおか直売所で販売が開始され、順次首都圏のイオンでも販売される。ぜひご賞味いただけたらと思う。
※長岡市、JA越後ながおか枝豆生産部会、JA越後ながおか、県長岡地域振興局、イオンリテール㈱の5者で構成。2015年9月に設立。
■ 「越一寸」ブランド化へ
越一寸の生産拡大・販路拡大を目指す前述の協議会が設立されて以降、出荷額は約4倍(4.4t→18t)を達成、販路も1都10県に拡大するなど、連携した取り組みの成果が上がっている。
昨年は越一寸を使ったスイーツ「越一寸ぎゅーっと大福」の販売や、食感・風味・色合いはそのままに、収穫時期以外にも味わえる「冷凍枝豆 越一寸」を試験販売し、幅広い世代への知名度向上と通年展開に力を入れた。
この協議会の一員である長岡市も自信を持って越一寸のブランド化を後押ししている。魅力をアピールし、ひいては越後平野のど真ん中にある“長岡 NAGAOKA”の知名度向上につなげている。
■11品種の「リレー栽培」
長岡市における枝豆の作付面積は約50ヘクタール、生産量は約90tを誇り、全国有数の枝豆生産量である新潟県の中でも主要産地の1つとなっている。
また、収穫シーズンが長いのを利用した「リレー栽培」が行われている。7月下旬から10月上旬にかけ、おおよそ11品種の枝豆が次から次へと出荷されるのだ。👇下表参照
JA越後ながおかでは、作付面積の拡大のため2017年に園芸流通センターを設立。生産者が枝豆専用の収穫機を共同で利用できるようにしたり、収穫後の選別・出荷作業をJAが支援して生産者の負担軽減を図るなどしてきた。これらの成果が、販売ルートに歓迎される安定的な生産体制の確立だ。さらには、組織的なリレー栽培による生産量拡大・長期供給が実現し、季節野菜の枝豆をロングタームで店頭に並べることができるようになった。
関係者の努力が長岡産枝豆の認知度向上につながっていることを称賛したい。
よく知られているように、枝豆は肥料がなくても育つ。そして、土壌の窒素成分を増やすので(マメ科植物との共生的窒素固定)、コメなど他の作物と組み合わせるとその作物への肥料も削減できる。大きなメリットだ。こうしたマメ科植物の活用は、循環型農法の原点のひとつであり、エダマメ(大豆)は、バイオコミュニティ長岡にとって貴重で象徴的な作物だ。
循環型社会の基本は「食とエネルギーの循環」──。これは、生きている世界のありのままの法則にのっとってくらすことに他ならない。今後も長岡市は、循環型社会の推進と長岡野菜のブランド化・生産流通拡大に力を入れて支援してゆく。
関 連 記 事 : 未来を創るバイオコミュニティ 学校給食 おいしいよ! GIマーク”大口れんこん”
タイトル画像: 越一寸パッケージ(背景にのぼり旗)。今月20日(火) から、イオン長岡店など
県内のイオン全店、JA越後ながおか直売所で販売を開始。