パンデミックの3年間で、社会は大きく変化した。

インターネットの利用とオンライン化が加速し、 リモートワークが当たり前の時代になった。一 方で、人と人が直接会う機会が減り、地域の祭りや年中行事、寄り合いなどの地域活動は縮小された。人口減少・超高齢化という抜き差しならない背景もあるが、これまで暮らしの中で育まれてきた人間関係が、しだいに希薄になったきたように思われることに危機感をおぼえる。

そんな今、孤独・孤立が社会問題として注目を集めている。

ながおか市民協働センター『ながおかの社会的処方箋

 

 

昨年5月の通常国会で、孤独・孤立対策推進法が成立し、今年4月1日から施行される。

政府が行った孤独・孤立に関する実態調査によれば、令和3年は36.4%、令和4年は40.3%の人が「孤独感がある」と回答したことが分かった。現在、孤独・孤立は誰にとっても身近な問題となっている。

こうした問題の対応策として、イギリスでは、地域活動や市民活動そのものを“薬”に見立て、患者(孤独を感じている人)の問題を薬剤の処方ではなく、「地域とのつながり」で解決する「社会的処方」と呼ばれている取り組みを行っている。

社会的処方は、地域活動や市民活動を通して、人とつながり、社会から必要とされることで、孤独・孤立の解消につなげていくというものだ。

 

長岡市においても、昨年度からアオーレ長岡の「ながおか市民協働センター」で、社会的処方の考え方を取り入れ、実践している。

そこで今回は、市民協働センターの取り組みと、市民活動の現状を紹介したい。

 

 

 

■市民協働センター

 

平成24年に市民協働推進条例を制定してから12年が経過しようとしている。過去のブログでも紹介した市民協働の理念が、着実に定着してきたと感じているところだ。

昨年度10周年を迎えた市民協働センターの登録団体数は、約5倍となる427団体に増え、「子ども食堂」など社会課題への取り組みも活発に行われてきた。センターへの相談件数も2倍以上の777件に増え、人や団体の紹介、広報PR、資金調達にいたるまで、さまざまな相談に対応してきた。

 

 

また、セミナー・講座をはじめ、登録団体のマッチングや交流を通じたネットワークづくり、市民活動情報誌「らこって」をはじめとするSNS・メールマガジンを通じた情報発信などに力を入れて取り組んできた。 

最近は「市民活動で人と直接つながりたい」という声が多くなっているという。感染禍を経て、人と会い、つながることの大切さを多くの人が認識したからだろう。市民活動は「社会課題を解決する活動」であるが、居場所づくりにもなる。人と共に行う活動そのものに価値があるのだ。

市民協働センターでは、これまで蓄積してきたノウハウを活かし、市民活動や地域活動を“薬”に見立て、一人ひとりにぴったりの“処方箋”を提供するため、4つの取り組みを進めている。 

 

①人や団体の紹介
 ボランティアを始めたい人や、活動に加わりたい人に、希望にぴったりな団体等を紹介

②活動の魅力を伝える
 HPやラジオ、市民活動情報誌「らこって」、SNS等で、市民活動団体の情報やイベントを発信

③活動に出会う場づくり
 「市民活動フェスタ」やワークショップ、交流会等を開催し、活動している人に出会える場を提供

④活動資源のサポート
 補助金や寄付等の資金調達の相談、市民活動のノウハウを学べる講座を開催 

 

令和5年度未来を創る市民活動応援補助金チラシ(募集終了)新年度も同様の補助金による活動支援を行う予定

 

■市民活動のこれから

 

市民活動によって人は人とつながり、孤立することなく、楽しく豊かに生きることができる。また、自宅や学校、職場とは別に存在する居心地のいい場所 = サードプレイスとしての機能もある。

「つながりがないこと = 社会的孤立」が増えている昨今、市民活動の効用と必要性は、ますます大きくなっていく。市は引き続き、市民の主体的活動を、未来共創補助金などを通じて下支えしていく。

 

市民協働センターを「社会的処方」のプラットフォームとし、今後は市内のコミュニティセンターや町内会と連携した市民活動の輪をさらに広げてきたい。そして、だれ一人取り残さず、つながりが育む豊かな暮らしを実現していきたい。

   関  連  記  事 :  地域のホットスポット “コミセン” 市民協働10年。新しい協働へ。

 

 タイトル画像 : 

令和5年9月30日(土)ながおか市民活動フェスタをアオーレ長岡全館で開催

市民活動団体の日ごろの活動のPRと団体相互の交流・ネットワークづくりを推進する場として、平成24年からスタート。今回は67団体が参加し、来場者は5,000人を超えた。