今年3月、長岡市は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、長岡市カーボンニュートラル チャレンジ戦略 2050を策定した。第1期計画では、
 ① 省エネ対策を徹底的に進める
 ② 日常でふつうに再生可能エネルギーを使う
 ③ 地域資源の循環を促す
を基本方針とした。目標は温室効果ガス43%削減 (2013年度比)、達成期限は2030年度である。市民・事業者・行政の協働で達成に向けて邁進する。

今回のブログは、雪国対応太陽光パネルの実証実験について紹介。戦略2050のスタートを契機に、市内事業者とともに取り組んでいるホットトピックスである。

 

積雪地での太陽光パネル設置の工夫(栃尾地域)

令和3年度、長岡技大に調査委託した「市内における再生可能エネルギー(太陽光発電)の可能性調査」では、冬期3カ月の発電が0でも年間発電量は東京の約8割程度になると分かった。

■ 実証実験さらに細かに順次スタート!

これまで、雪国での太陽光発電は、冬季の発電量や雪の重みによるパネルの耐久性などがネックとされてきた。では、雪国での普及はむずかしいと諦めるべきだろうか? スキー場で真夏並みに日焼けした経験のある雪国人(私自身も)には、可能性はあるとしか思えないのではないだろうか、、、

そこで長岡市では、昨年9月、雪国での太陽光パネルの普及を目的とした「太陽光パネル設置に関する技術提案」の募集を行った。その結果、市内3事業者と長岡技術科学大学から提案があったので、東北経済産業局の支援制度「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業補助金」に応募して採択され、雪国対応太陽光パネルの実証実験に着手する運びとなった。

来月から順次、中央図書館やハイブ長岡、JR長岡駅大手口のペデストリアンデッキなどの公共施設に、壁掛け軽量太陽光パネルや窓ガラス一体型の太陽光パネルを設置し、耐雪性や発電量などの性能評価と、普及に向けた技術要件をチェックしデータを集め計画を遂行してゆく。

この実証実験後には、今後の展開に関するアイデア募集と、パネル設置事業者への研修会を予定している。併せて、公共施設への設置を拡大し、民間活力を導入したPPA(電力購入契約)手法の活用も検討していきたい。

 

<実証実験の概要>
内 容 設置数 発電規模 設置場所(予定) 提案者
1-1 壁面タイプ(建屋) 1式 10kW 中央図書館

長岡技術科学大学

1-2 壁面タイプ(建屋) 1式 10kW ハイブ長岡
1-3 壁面タイプ(建屋) 1式 10kW 栃尾産業交流センター おりなす
1-4 壁面タイプ(建屋) 1式 10kW 寺泊水族博物館
2-1 縦型両面(屋上) 1式 10kW 長岡技術大学 工作センター棟
2-2 平置耐荷重(屋上) 1式 10kW 長岡技術大学 工作センター棟
  3 窓ガラスタイプ(ガラス一体型) 1式 10kW 長岡駅大手口 ペデストリアンデッキ
  4 角度可変架台 1式 11kW 長岡中央浄化センター ㈱イートラスト
  5 自立型ソーラースタンド 各1基 95W×2 市民防災公園,道の駅良寛の里わしま  敦井産業㈱
  6 ソーラー照明灯 3基 65W×3 長岡駅東歩行者専用道 (シンボルロード)
  7 移動型蓄電池付太陽光パネル 1基 234 W 川口泉水地区センター    ㈱長測
  8 屋内用移動式太陽光パネル 各1基 234 W×2 米百俵プレイス ミライエ長岡, 川口公民館
  9 ソーラー照明灯 6基 120 W×6 川口温泉アクセス道路
10 防犯カメラ付きソーラー照明灯 4基 120W×4 川口温泉ほか
 

 

■ 新産業創出@ながおか

 

実証実験に先立って長岡市は、昨年7月に長岡市省エネ・再エネ産業振興プラットフォームを設立した。市内企業の脱炭素化への支援と、脱炭素分野への新規参入を目指プラットフォームには、今現在、産学官金31の団体・企業が参画している。実証実験で得られたデータやノウハウを手に、長岡の開発者魂があれば、太陽光パネルの雪国での普及や新製品・新たな施行技術の開発につながるばずだ。ここから新産業の創出へとつながってゆくだろう。

 

令和4年7月19日(火) 長岡市省エネ・再エネ産業振興プラットフォーム設立総会

 

 

市ではこのほかにも、「長岡市カーボンチャレンジ戦略2050」に基づいて、低炭素化や脱炭素化につながる取り組みを積極的に展開してゆく。

別の記事で紹介した「イノベーション加速化補助金(再生可能エネルギー導入・グリーン新製品開発)」には太陽光発電設備の導入として6件の申込があり、今年度新規で立ち上げた「事業所用高効率機器導入支援事業補助金(高効率の照明機器・空調機等の導入)」には32件の申込みがあるなど、市内事業者のみなさんの意識の高まりを感じている。

 

これからこのプラットフォームを軸として、環境と経済の好循環によるカーボンニュートラルの実現に向けて、オールテクノ長岡で士気高く前進していこう。

 


   関  連  記  事 :
 支援中!生きぬく地域企業         

                
 タイトル画像:
 
垂直両面受光パネル(長岡技術科学大学)