日本人にとって、胃の病気は長らく身近な存在であった──文豪 漱石が胃潰瘍の大出血で亡くなったのは よく知られている。デビュー作『吾輩は猫である』に、ジャム大好き先生 珍野苦沙弥ちんの くしゃみ(モデルは作者本人)が登場するが、漱石自身大変な甘党だったようだ。イギリス留学中に苺ジャムとの運命的な出会いが?  いや、 話が横道にそれてしまった。。。


今日の本題。

長岡市は「胃がん撲滅」をめざしている。市民の健康を守る施策の1つだ。胃がんの危険因子(原因)というと「ピロリ菌」である。ピロリを除菌すれば胃がんにかかるリスクが限りなく小さくなる。
※ 市民の死亡原因は全国と同じく“がん”が1位、うち、胃がんが肺がんに次ぐ2位  下図参照

1994年  国際がん研究機関 (WHO世界保健機関 の専門機関)が「ピロリ菌は胃がんの原因」と認定
2014年「胃がん対策はピロリ菌除去に重点を置くべきだ」と発表

 


ちなみに、ピロリ菌は幼少時に親・近親者や井戸水などから感染する。いまどき「口移し」で子どもに食べさせる親はいないと思うが、知識もなく保菌の可能性の高い高齢者の孫やひ孫に対する「口移し」は、ご法度である。愛情あらばこそ気をつけてほしい。



ピロリ菌退治で確実に・・・胃がん撲滅へ成果をあげることができる! それならばと、長岡市は5年前から胃がんリスク検診を始め、ピロリ菌除去を推進してきた 。

 1.   H26年度から :  4070歳を対象(5才刻みで)
5年間(H26~30)の受信者は 26,669人。感染者  7,380人(受診者の28%)。除菌治療開始者  5,161人(70%)。96人に胃がんが発見され、早期治療に直結している。
胃がんリスクをチェックできた受診者の安心感につながった。


 2.   H28年度から : 中学2年生を対象   教育委員会担当
幼い頃に感染するため、幼児期の感染予防と若い世代(胃粘膜の萎縮が進行する前に発見するとよい)のピロリ菌除菌が肝要だ。そこで、中学生(長岡市立中学の2年生全員) を対象にピロリ菌検査を実施、この4年間で陽性・擬陽性が313人見つかり、除菌実施者は 148人であった。(令和元年12月31日現在)
令和2年度からは、新潟大学附属長岡中学校と市外の中学校に通う長岡市在住の生徒も対象にする(3月議会に予算案提出予定)

一度除菌すれば再感染することはない、つまり、長岡の子どもは成長して以後も胃がんなど胃病リスクがとても小さい──ということになる。


そして今年度 から、新たな胃がんリスク検診の対象年齢を20歳からに拡充した。

 1.2  R元年度から :  2065歳を対象(5才刻み)
これにより、 1.  2. のはざまの年齢層をカバーする。
※ 1. の施策が一巡したため、65歳までとした


 

ピロリ菌は胃潰瘍の危険因子でもある。今なら漱石もピロリ退治で胃潰瘍の苦痛から解放され、もっと長生きし(49歳という若さで亡くなっている)、いっぱい傑作を残しただろう。
ピロリ除菌は、健康のための小さな一助である。
困難な時代にあって、健康こそが何より大切だ。毎日の生活のなかで、心の在り方を整え、心身ともに健やかであれるよう、自分のできることを一つひとつやっていきたいものだと思う。

冒頭画像:顕微鏡でみたピロリ菌