世界でも、日本各地でも、大規模な自然災害が続発している。生活も大きな影響を受けている。今後さらに影響が拡大するのは、もはや 必至 である。
未来世代に残す持続可能サステナブルでバランスのとれた世界をつくるためには、気象変動はもとより、地球規模の課題をどうにか解決しなくてはならない。パリ協定SDGs(エスディージーズ)等は、持続可能な開発による社会課題の解決を求めている。

この持続可能な開発手法の1つとしてバイオエコノミー── 世界人口の増加に伴う食糧・水・エネルギー不足などの課題を、バイオマス生物資源バイオテクノロジーを使って克服しながら、C O 2排出抑制と新たな産業振興と経済成長を実現する──が世界スタンダードとなりつつある。これは、化石資源を基盤とする社会・経済からの転換を意味する。 

※エコノミー:economy =経済

 

主催者あいさつ〜長岡バイオ エコノミー・シンポジウム 2020/1/17

 

世界であらゆる産業が「バイオ化」しているなかで、日本の立ち遅れは致命的だともいわれるが、産業イノベーションをめざす長岡としては、地域資源や特性を活かしたバイオエコノミーに取組むべきではないか? そこで、最初のステップとして発酵を科学する〜 長岡バイオエコノミーシンポジウム」をアオーレ長岡で開催することとなった。

シンポジウムには、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 から中鉢理事長をはじめ研究者30人が来岡して参加、長岡技術科学大学など市内大学・高専の「発酵」技術の研究者、県の関係機関、地元の食品企業による研究事例が報告され、市内外関係者らが活発に意見を交わし合った。

バクテリアなどの微生物・藻類・菌類といった「小さな命」(まだまだ解明されいない未知の命)こそ、私たちヒトの起源であり、共生のパートナーである。微生物たちから世界の在りようを学び、消費型経済社会(←エネルギーの中心は石油や原子力)を変えていくなら、自ずと共生型の循環経済社会にスイッチしてゆくとの考えだ。

 

ポスターセッション会場 (アオーレ長岡ホワイエで)

 

今回は、バイオの代表的な分野である「発酵」について、科学的な視点からの認識を共有することから始めよう、というのがシンポジウムのテーマだった。

ここ長岡は「コメ」を中心に農業と食品製造業が盛んで、食品製造に関連する機械を作る企業がある。発酵・バイオ産業関連の分厚い集積のある地域だ。発酵をはじめとするバイオエコノミーの開発拠点にふさわしいことがシンポシウムの参加者の共通認識になったと思う

醸造はじめ昔の人の知恵や技術やノウハウが実験実証されたり、新しい試みを科学的に検証してもらえたら、地域の担い手たちが切り開く道はとても明るく照らしだされるだろう。

今後、関係者によるイノベーション・ハブを立ち上げ、発酵・バイオ技術を活かした産業創出と地域循環型社会を目指し、取り組んでいく。多くの方々の参加をお願いしたい。

 

 

 

 

 

長岡バイオ エコノミー•シンポジウム / ポスターセッション一覧   17団体56枚 

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 未利用バイオマス資源を活用した微生物ものづくり
〜長岡技大との協同研究〜    ほか計20枚
長岡技術科学大学 IoTやAI技術を駆使した次世代ものづくり
                                                                 ほか計16枚
長岡工業高等専門学校 早い・安い・巧い宝探しの方法をつくりだす 
〜微生物の統合スクリーニングプラットフォームの開発〜                                                      ほか計6枚
4-1 新潟県農業総合研究所食品研究センター 乳酸菌ウオヌマ株の雑菌増殖抑制効果
4-2 新潟県醸造試験場 「尿素非生産性に伴う酵母識別DNAマーカーを付与した新潟清酒酵母の開発」
4-3 長岡市環境部 SDGs実現に向けた環境政策~生ごみバイオガス化事業の取り組み〜
4-4 長岡大学 酒粕で長岡を盛り上げよう!
4-5 朝日酒造(株) 日本酒ができるまで
4-6 吉野川(株) パイナップル様の吟醸香を生成する新規酵母の開発
4-7 新潟県醤油協業組合 新潟県醤油協業組合の取り組みと課題
4-8 JA越後長岡 堆肥発酵熱を活用した地域農業の振興
4-9 (株)プラントフォーム 魚の排泄物を肥料に有機野菜を育てる循環型農業「アクアポニックス」
4-10 岩塚製菓(株) 米菓の製造から販売における当社の抱える課題
4-11 (株)原信 『発酵の力で! 廃棄物の地域循環』
4-12 (株)大原鉄工所 日本におけるバイオガス関連事業の事例紹介
4-13 北越コーポレーショ(株) 環境に配慮した紙づくりとエネルギー生産
4-14 国際石油開発帝石(株) INPEXの低炭素社会への取組み(NEDO-CO2有効利用技術開発事業について)

 

 

冒頭画像の説明佐賀市のシンポジウムでの発表スクリーン画面。この場で長岡との連携が提案された。さっそく、同じ方向を目指す自治体としてチーム活動を始めることとした。
  関 連 記 事  “責任ある未来づくり”