前回の記事で、日本初の「イノベーション地区」の形成を目指す長岡市・内閣府地方創生推進事務局・ 東京大学連携機構不動産イノベーション研究 センター(CREI)の連携協定について紹介した。
長岡が選ばれた理由は、4大学1高専・行政・産業界のまれにみる協力体制のもとで、イノベーションや起業創業の動きが具体的にリアルに出ていることがある。
この動き1つがサテライトオフィスの進出だ。長岡市が積極的にサテライトオフィスの開設を支援してきた結果、これまでに首都圏企業を中心に6社のオフィスが開設されている。今月1日には、NAGAOKA WORKERの1期生7名の入社式が行われ、「長岡ワークモデル」の実践に向けイノベーティブな第1歩を踏み出した。
そして、次なる注目ムーブメントが、共同で働く新しいワークスタイル「コワーキング」だ。長岡では、そのための空間「コワーキングスペース」が、中心市街地で続々と開設されている。従来の首都圏企業向けに加え、市内事業者への支援にも力を入れたことで勢いづいたと感じている。
今回は、そのようすを紹介したい。
■ テレワーク対応型オフィスの開設
昨年度、市では「テレワーク対応型サテライトオフィス等開設補助金」を新たに創設し、オフィス誘致の受け皿の拡充を図ってきた。この施策に呼応し、補助金を活用して、自社ビルの空きフロアにコワーキングスペースを開設する動きがまちなか地域に出てきた。
①Dia Plaza長岡 5階
旧イトーヨーカドービルの4階にはすでに、㈱東急エージェンシーと㈱SPRIXがサテライトオフィスがある。このたび、5階にも事務所6区画が整備され、現在、入居者を募集している。
ここには、入居事業所の関係者が利用できるコワーキングスペースが整備されているので来客も含めさまざまな企業人が自然に触発しあう交流コミュニティが生まれる場となるだろう。
②ドルミー城内ビル 3階
同じく駅前には、コワーキングスペースを整備した「ノマドワーカー長岡」が操業する予定(5月以降)だ。フロア内にはオープンスペースや2人、3人収容のブースなどが設けられる。
こちらは、首都圏などから出張等で訪れる人をターゲットとしており、ビルオーナーが運営するレンタカーの利用もできるよう計画しているという。
■ 空き家をリノベーション
サテライトオフィス開設のトレンドは、新鮮さや快適さを実感できるデザイン性を備えていること。このトレンドに沿った物件の改装ニーズが高い。昨年度、市でも「テレワーク対応型賃貸用オフィスリノベーション補助金」を創設していて、サテライトのみならず起業創業オフィスの受け皿拡大を目指している。
4月5日(火)、JR長岡駅から徒歩7分のところにコワーキング&シェアスペース「ゆるり屋」がオープンした(補助金第1号, 写真上)。築五十年の2階建て一軒家をリノベーション、元々あった和室や土間を活かしながらテレワーク環境を整備した (個室も用意されている) 。人と人とがゆるやかにつながっていく「サードプレイス=第三の場」を目指し、イベントの開催や情報発信も計画中だという。
今後の取り組みに期待したい。
新年度(令和4年度) 分の補助金申請をスタートしたところ、早くも数件の問い合わせを受けていて、テレワークや分散型・共同型など、新しい働き方を広げていこうとする動きに手応えを感じている。
来年夏に先行オープンする「米百俵プレイス ミライエ長岡」には、NaDeC BASE内のコワーキングスペースが拡大され移転する。中心市街地を「イノベーション地域」にするためにも、新しいスタイルのオフィスが面的に広げていく必要がある。“ナガオカ”が地方分散の受け皿となり、何よりもイノベーティブな起業創業が産まれる環境(イノベーションエコシステム)の構築を目指して戦略的に進めていく。
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タイトル画像: ナデック・ベース(市民センター地下)のコワーキングスペース