地方分散の流れのなか、長岡市にサテライトオフィスを持つ首都圏企業は6社となり、長岡で暮らしながら首都圏企業に勤めるNAGAOKA ナガオカ WORKERワーカーの賛同企業も17社に増えるなど、IT企業や人材が集まるまちNAGAOKAながおかの姿が見えてきた。

先月には、楽天グループと人材育成や地域経済の活性化など7項目で協力する包括連携協定を締結した。楽天が教育分野に重点を置いた連携協定をするのは初めてで、長岡市と協力して、NaDeC BASEナデックベースを拠点に4大学1高専や地元企業と交流し、産学連携の取り組みを進めていく考えだ。

学術分野に蓄積された研究成果や技術を、どれだけ・・・・現実社会に実装できるか?というのが長年とりくんできた産学連携のテーマだった。それが産業や社会のイノベーションの成否を分けるポイントであり、社会の持続的な成長の力となる。

しかし、いつのまにか、従来の産学連携の発想では、なかなか新しいモノが生み出せなくなって久しい。情報技術の急速な発展・価値観の大きな変化・それに伴う市場(ニーズ)の激変──を受けて立つには、過去の成功体験に縛られない新しいマインドが必要だ。

研究・テクノロジー・アイディア・経営といった、多様な人材が集まる「オープンな場」を育て、いかに世界とつながり、世界に寄与するオープンイノベーションを実現していくかが、これからの課題だと思う。


「米百俵のまち」長岡は、多くのイノベーション人材が集まり、人材を育成し、世界に旅立っていく「イノベーションのエコシステム(生態系)」を推進していく。

NaDeCナデック構想とは

こうした、イノベーションのエコシステムをつくり、長岡への企業の進出や連携の核となっているのが、NaDeCナデック構想である。

NaDeC BASE


NaDeC構想は、産業イノベーションを起こすため、4大学1高専の「技術、デザイン、経営、看護」の4つ研究教育機能を活かし、学生の自由な発想と長岡の企業が持つ幅広い分野の経営資源を融合し、新たな産業の創出、次世代に対応する人材の育成を目指すもの。
2018年、大手通坂之上町地区市街地再開発事業の「人づくり・産業振興」の拠点における機能や事業について、3大学1高専(長岡技術科学大学長岡造形大学長岡大学長岡工業高等専門学校)から長岡市への提案を受けスタートした。

NaDeCナデック:長岡の中心市街地を核として、3大学1高専の位置を線で結ぶと三角錐=Deltaデルタ cone コ-ンの形になることから、その頭文字をとって名付けられた。崇徳大創立以前の命名である。

 

市は、長岡商工会議所を加えた6団体で「NaDeCナデック構想推進コンソーシアム」を設立した。2019年には長岡崇徳大学も加わり、現在は7団体で活動している。「人材育成」「産業創出」「交流協働」を3つの柱とし、コンソーシアムの発足以来、活動拠点となるNaDeC BASEナデックベ-スを中心として、さまざまな取り組みを進めている。最近の主な動きをご紹介しよう。

コンソーシアム (Consortium)=共同事業体

 

ファーストペンギンプログラム

起業を段階的に支援し、リスクを恐れず果敢に挑戦する起業家を育成するプログラム。各種セミナーの開催や学生企業家育成補助金有望スタートアップ育成補助金など、事業構想から企業として成長するまで、一貫した支援を行っている。昨年のブログでも紹介した(株)サケアイ(株)プロッセルはこのプログラムの出身だ。

※ファーストペンギン:天敵が潜む海に、群れの中で餌を求めて最初に飛び込むペンギンにちなんで名付けられた

 

ファーストペンギンプログラムは3年間で12件の起業を実現。画像は、同プログラムの一つ「リーンローンチパッドプログラム」の参加メンバー

      

 

イノベーション・ハブ

市内企業・4大学1高専・金融機関・行政機関など、幅広い分野の知恵や技術を持った人たちが集まり、オープンイノベーションで課題解決や新産業の創出などを目指す取り組み。
現在、ロボットIoTアイオ-ティ-」「介護」「AIエーアイ」「水」「発酵」の6分野のハブが立ち上がり、地域資源や各分野の先進技術を活用してそれぞれのテーマに取り組んでいる。

この他にも、当ブログで紹介した造形大と長岡高専が授業連携し、課題解決を目指す学学連携の取り組みや、4大学1高専の学生に対し、将来の職業選択において市内企業が選ばれるように学生と企業の接点づくりなど、さまざまな活動が継続中だ。

 

介護イノベーション・ハブ:  介護記録デジタル化/介護機器・ロボット調/持ち物確認 の3つのワーキンググループが、おのおの介護記録の効率化、介護者の身体的負担の軽減などの課題に取り組んでいる。

 

〇ミライエ長岡オープンへ

先日紹介したとおり、米百俵プレイス ミライエ長岡がいよいよ来年度から順次オープンする。
NaDeC BASEナデックベ−スは、その5階エリアに移転リオープンする。意思ある人材が交流するオープンイノベーションの拠点が誕生するのだ。これまで、NaDeCで積み重ねてきたものがここでさらに大きく花開くだろう。

また、起業支援の機能も充実させ、コ・ワーキングスペースを整備するほか、地元の銀行や長岡商工会議所(2年後に予定)も入居し、ワンストップサービスが提供できるようになる。

ここから長岡の起業エコシステム(起業が起業を呼ぶような環境・生態系)、さらにイノベーションエコシステムを形成していきたいと考えている。

 

米百俵プレイス ミライエ長岡5階の起業・創業・産業支援フロア(イメージ図)〜国内外で活躍するイノベーターらを迎え、起業家の育成、新しいビジネス支援のプログラムを展開する予定だ。

 

 

長岡では、持続可能な未来のためイノベーションが次々に生まれるまちづくりを進めている。来年オープンするミライエ長岡を核に、市内全域で、子どもたちを含む学生・教員研究者・地元企業技術者メイカー・市外から訪れる多様なクリエイティブ人材が集い、有機的にに交流する場を用意している。


   関  連  記  事:  長岡発 アフターコロナ新ビジネス 長岡発ロボットイノベーション はばたけ!世界を変えるデザイナーたち 進行形 “ミライ”へ長岡”


 タイトル画像:
 NaBeC BASEナデックベ−ス のエントランスで