早くも・・・降雪シーズンに突入した。気候変動の影響なのか… 。
今年の冬は「気温が平年より高く降雪量が少ない暖冬傾向」という予報(気象庁発表)ではあるものの、近年の異常気象による災害の激甚化・頻発化を考えると、異常降雪の発生リスクも高くなっていると思われる。油断はできない。

大雪警戒のタイムライン 5フェイズ

 

長岡市では、昨年12月の豪雪の教訓を踏まえ、国・県をはじめとする関係機関との情報共有体制を強化した。

さらに、新しく「大雪警戒タイムライン」を作成してマニュアルを運用しやすくした。気象情報と時間経過による5フェイズの警戒レベルを設定しており、いざというとき躊躇なく行動する。すなわち、段階に応じた職員体制を速やかに整え、市民・事業者への呼びかけや要請を的確に行う──という万全の態勢で今冬に臨む。

今回は、長岡市の除雪対策の現況などについてお話しよう。

 

 

■オペレータの能力を拡張する装置

 

除雪オペレータの高齢化や人手不足が依然として課題となっている。
令和元年に市が実施したアンケート調査では、50代以上のオペレータが50%を占め、オペレータの確保に苦慮している除雪業者は66%にものぼっていることがわかった。人材の養成・確保とともに、人員不足に対応した除雪体制の構築が必要で、市では、デジタル技術を活用した除雪に力を入れているところだ。

除雪ガイダンス装置の画面〜路肩端や道路中心線と除雪車との距離を探知し、数値と音声でアラートを出す

 

4年前、長岡市は 除雪イノベーション研究会を立ち上げ、産学官でタッグを組み、新技術を活用した課題解決に取り組んできた。中でも除雪作業を支援するガイダンス装置導入は、オペレータ問題の解決をターゲットにしてる(過去のブログ)。


この装置は、除雪車と障害物 (道路上の縁石やマンホールetc.)までの距離を音声と映像でオペレータに示す。予めインプット済みの道路の諸情報と、リアルタイムなGPS位置情報をかけ合わせて距離情報を算出し、どこまで除雪すればよいか、適切なガイドとなってくれるのだ。「人間 (オペレーター)能力を拡張してくれるお役立ちツールというわけだ。

令和2(2020)年12月から翌年3月にかけて、実際の除雪作業の場で検証を行った際の評価は──

 

    1. 位置情報の精度が高く、不具合も発生しない
 2. 地吹雪など視界が悪い状況でも安全に作業ができる
 3. 経験の浅いオペレータも安心して除雪作業ができる
 4. オペレータの技能向上、早期育成につながる

 

これらの評価を踏まえて、今年は計15台の除雪ガイダンス装置を配備した。視界不良の気象条件下や若手オペレータにとって、大いに役に立ってくれるだろう。今後、装置の導入効果を踏まえ、技術の継承や担い手育成を進めていく。新しい人材からも、デジタルツールを使ったオペレーションに是非挑戦してもらいたい。

 

 

 ■ 管理システムで省力・時短を実現

 

除雪車に設置した「稼働記録計」今年度、市内の全除雪車に稼働記録計とあわせてLTE通信端末を設置

市内の機械除雪の総延長は約1,540km(車道1,315km、歩道225km)にもおよび、降雪時には、最大400台の除雪車が稼働している。

これまでは、除雪作業を終えると、除雪車搭載のSDカードを除雪本部や支所などに持参し、市の担当者が稼働記録(時間・距離など)を手作業で集計する処理をしてきた。これが関係者にとって大きな負担となっていた。

 

そこで今年度、国のデジタル田園都市国家構想交付金を利用して、除雪稼働管理システムを構築した。すべての除雪車に通信機能付き稼働記録装置を搭載し、稼働データを自動的に除雪本部や支所などに送信することにしたのだ。作業後の集計作業も自動化される。これにより、「今、どこで作業しているのか」を、除雪本部でリアルタイムに把握することが可能になり、次のような効率化を見込んでいる。

  • 本部における稼働記録処理が自動化され、短縮時間を市民対応に充てることができる(試算では、事務処理31時間→7時間、77%の削減)
  • 運行を状態を即時把握できるため、市民からの問い合わせ・要望に迅速かつ正確に対応することができる
  • 稼働ルートの見直しが容易となり、除雪の効率化・サービス向上につなげられる
道路除雪技術者講習会 この日は除雪稼働管理システム操作研修を実施。除雪業者26社55名が参加 した。

 

先月15日に市が開催した「道路除雪技術者講習会」の参加業者からも、負担軽減に対する期待の声が寄せられた。デジタル技術による効率化・サービス充実はもちろん、豪雪時の早期通行確保、除雪の担い手確保にもつなげられるはずだ。

デジタル技術の応用で高効率な除雪体制を構築して冬期の市民生活をしっかりと守り、安全安心なまちづくりを常に前進させていきたい。

 

令和5年度 長岡市除雪出動式  中貫保育園の園児も駆けつけ、除雪作業に従事する皆さんへ感謝と激励をしてもらった (10月25日)

 

今や、だれもがデジタル社会の進展を実感している。期せずして新型コロナ感染禍がデジタル化に拍車をかけたようだ。今後半世紀、超高齢社会の伸展が続くことを考えれば、あらゆる分野で新技術の考案・活用を加速させないと対応できなくなるだろう。新技術といっても、かつての”そろばん”や電卓、パソコンと同じ。進化版”そろばん”を使いこなしていきたいものだ。

デジタル化・ICT技術によるイノベーションが、万人に開かれた共通基盤(ユニバーサルなもの)となり、私たちの生活を良き方向に導いてくれることを信じて進んでいこう。

※2070年の高齢化率は38.7%に達する見込み(令和5年版高齢社会白書 高齢化の現状と将来像

 
   関  連  記  事 :
 除雪イノベーション 雪国マインドで

                
 タイトル画像 :
 
令和5年度長岡市除雪出動式(10月25日)

出席した除雪業者の皆さんと共に、無事故・無災害で除雪に取り組む決意を新たにした。