雪国の住人にとって、降雪期に黙々と稼働してくれる消雪パイプは、物凄くありがたい存在だ。
消雪パイプは、昭和36年に全国ではじめて長岡市坂之上町の市道に設置された。発案者は「元祖・柿の種」浪花屋製菓の創業者今井與三郎さんだ。消雪パイプこそ、雪対策におけるイノベーションの先駆である。
今井さんは、昭和39年に登録した実用新案権を、翌年、長岡市に無償譲渡してくれた。そして昭和44年、長岡市が消雪パイプの実用新案権を一般公開し、この画期的な仕組みが全国の雪国に広がっていったのである。

私心なく皆がよかれと行動するのが、雪国のマインドだ。
雪が積もると道路の白線が見えなくなるなど、道路事情が一変するため、私たちには常に自発的な判断と行動が求められる。スリップして進めない車を、居合わせた者が力を合わせて脱出させたり、、通りすがりの市民同志が当たり前に助け合う風土が昔からある。
雪国マインドは私心なき助け合い。世の中がこのようになればいいのに、と思う。機会あるごとに、雪国方式として広めてゆきたいと考えている。

 

38豪雪の時は消雪パイプが なかった

さて、はかり知れない恩恵をもたらしてくれている消雪パイプであるが、信濃川の恵みで地下水が潤沢にあればこその話であって、地下水が枯渇したら万事休す。地盤沈下の恐れが出てくる。
冬場の地下水の節水は、重要な課題だ。

ということで、長岡市地下水保全条例を制定し、地下水の節水ルールを定めたり、大口需要者である企業はもとより、町内の消雪組合単位での自動節水装置(降雪感知器を使用)の取りつけなどを進めてきた。
今冬、さらに節水を意識しやすいようにと、色と目盛りで「見える化」した下図のような地下水位情報をネットに公開している。

 リアルタイム情報のチェックは、こちら から !

 

 

観測地点は消雪用の井戸が一番密集している2地点で、IoTを使ったリアルタイム情報を、パッと分かる“絵”で見せているので、ぜひご活用願いたい。

 

このシステムは、長岡市とベンチャー企業とのマッチングプログラム(平成30年度総務省StartupXAct事業)により実現したものである。

 

 





 関  連  記  事 :    われらが動けば

 

 

 

■指数表示導入箇所
・川東地区…長岡高校  ・川西地区…蓮潟中央公園

■地下水指数の表示方法
※12月1日現在(消雪パイプ本格稼働前)の地下水位を100とする
・100~80…青(説明:まだ余裕がありますが、大雪に備え地下水の無我使いは控えましょう)
・70~60 …黄(説明:降雪により地下水位が低下しています。地下水の節水に努めましょう)
・50~40 …オレンジ(説明:大雪により地下水位が低下しています。地下水を節水しましょう)
・30~  …赤(説明:大雪により地下水位が大幅に低下し、消雪パイプの水の出が悪くなるおそれがあります。不必要な散水は控えましょう)