ひきこもり」は大きな社会的課題のひとつだ。

ここでいう「ひきこもり」とは、社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など) を避けて、おお むね6ヵ月以上にわたり家庭にとどまり続けている状態のこと。

内閣府が2022年11月に行ったアンケート調査によると、15歳~64歳でひきこもり状態にある人が全国で推計146万人。これは、生産年齢人口(15歳~64歳)の約2%にあたる。また、ひきこもりの高齢化に伴う「8050問題(80代の親が50代の子どもの生活を支える状況)」も全国的に深刻化している。

 「ひきこもり」をマイナスイメージだけでとらえることなく、当事者が解決を望む場合には、多様な社会的支援が用意されるべきだろう。

今回は、長岡市のひきこもり支援を紹介する。

 

 

 

 

 

■ひきこもり相談支援室を開設

 

長岡市では昨年の7・8月、ひきこもりの実態調査を行った。ひきこもり期間が10年以上が44%と、長期化しているケースも多く、計218人がひきこもり状態にあることが判明した。この数字は調査で確認できた人数なので、実際にはもっと多くの方々がひきこもり状態にあると思われる。 

この調査で「どこに相談したらよいか分からない」という声が多かったことを受け、今年4月に、ひきこもり相談支援室を、長岡市社会福祉センター「トモシア」内に開設した。保健師や専任のひきこもり支援コーディネーターが相談を受け付けている。

 

開設から約2カ月で、なんと55件もの相談があった。相談者の多くはひきこもり当事者の家族や親族。悩みを自分たちだけで抱えて孤立し、先の見えない不安に苦しんでいるのが分かった。また、自分と同じ境遇にある人と話をしてみたい、社会とつながるきっかけの場はないか、などの声が聞こえてきた。

 

こうした現状をふまえ、この度、ひきこもりの支援機関・団体をまとめた「ひきこもり支援の地域資源ガイド」を発行した。社会とつながる接点やよりどころが身近にあることを知ってもらい、困窮した状況から抜け出すための一助になればと思う。

このガイド(市のHP)に掲載されている機関、団体を核に、ひきこもり支援のための官民ネットワークを年度内に構築する予定だ。

 

 

 

 

■少し進んだカタチの支援を

        「こんぺいとう」の内部

 

市では、ひきこもりの方の居場所支援も行っている。

今年4月から、ひきこもりの方の居場所(愛称「こんぺいとう」)を、越路ハイム地域生活支援センター内に開設した(営業日時:毎週木曜日・午後1時~4時 ※スタッフ常駐・予約不要)。

ぜひ、気軽に立ち寄ってのぞいてみてほしい。本を読んだり、お茶を飲んだり、寝っ転がったり──気ままに過ごす空間がここには用意されている。

 

 

ひきこもり支援のポイントは、いかにして「また社会とつながりたいという意思を回復してもらうか」であるという。ボランティア活動や地域活動への参加、柔軟な就労形態などが、その一助となることも多い。

 その一方で、「ひきこもり」を、即「問題行動」ととらえるのは適切ではない、ともいえる。
「ひきこもり」に、多様性を失った社会からの離脱(結果的あるいは意識的な)という側面があるとすれば、問題は社会の側にもあり、社会の変化や対応によって解決につながる可能性がある、ということになるからだ。

一例を挙げれば、今やインターネットによって、自宅など勤務先以外の場所で仕事ができるようになった。集中できる環境の中で、創造的で充実した作業ができるテレワーク在宅勤務は、さらに拡大していく。とすれば、IT技術などのスキル習得が「ひきこもり」の解決につながる場合もあるだろう。在宅のままで就業でき、社会とつながることができれば、「ひきこもり」はむしろ時代を先取りした生活様式だともいえる。

さらに、仮想現実バーチャル・リアリティでのビジネスや交流が普及し、多くの人々が仮想現実の中でも活動し、生活する時代が到来するかもしれない。その時には、「ひきこもり」の定義はまったく違ったものになるだろう。

 

社会の変化を見据えながら、今後も、当事者や家族の悩みをしっかりと受け止め、解決に向けた幅広い支援に力を入れていく。市民のみなさんにも、ひろくご理解とご協力をお願いしたい。

 

   関  連  記  事 :  孤独に克つ社会的処方 “不登校”に寄り添う

 

 タイトル画像 : 

ひきこもり相談支援室のPRカード(名刺サイズ)

市有施設各所で配布し、ひきこもり相談支援室を周知している