今年6月、市は「イノベーション都市 長岡」の実現に向け、 NTT東日本と 連携協定を締結した。
ICT(情報通信技術) の活用はもちろん、デジタル技術や新しい考え方を持つアクティブな人材育成をたゆみなく進めてゆく。NTT東日本は、「デジタルの力で、長岡の発展に寄り添いたい。行政や教育の分野などで役に立ちたい」と意気込みを語ってくれた。新たな発想や先端技術で、市民生活の向上と産業活性化を図る「長岡版イノベーション」を政策の柱に据える長岡市にとって、力強いパートナーの誕生だ──と紹介しておきたい。
今後、双方の持てるものを活かし、日本海側のデジタル拠点都市・長岡の成長をプロモートしてゆくことになる。デジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進やイノベーション人材の育成、高速通信網の整備、ICTによる文化芸術の創出振興ほか、あらゆる可能性とともに未来を拓いてゆこう。
■ 次世代のICT技術者育成に向けたフォーラム
先月27日(水)、協定のキックオフイベント「第1回長岡技術フォーラム」を開催した。
デジタル社会をけん引するICT技術者や地元のICT起業家が一堂に会したこの注目イベントでは、持ち寄ったテーマ(ケース)について意見交換をする目的で、デジタル技術がどのように有用に使えるかなど興味深い紹介がされた。
とりわけの注目は、天才プログラマーとして知られる登大遊 さんの県内初となる講演だ。
NTT東日本特殊局員でもある登さんは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のサイバー技術研究室長、ソフトイーサ(株)代表取締役、筑波大学客員教授など、さまざまな顔を持っている。昨年、テレビ番組の「情熱大陸」にも登場しているから、ご存知の方も多いと思う。
登さんは、「日本にはアプリケーション・ソフトウエアの開発人材はいるのだが、OS、クラウド、通信、セキュリティ等のプラットフォーム技術を開発する人材がいない」と話し、試行錯誤しながらでもデジタルの基幹技術を開発する環境と人材育成が重要だと訴えていた。
長岡には4大学1高専の学生5,000人が学び、テクノロジーとデザインなどを専門とする学生や研究者がおり、ポテンシャルは非常に高い。今後、「新しい米百俵」の一環として、日本で不足しているICT技術者を多数輩出できるまちを目指していきたい。
■ 子どものプログラミング体験はゲームから
長岡技術フォーラムと同じ日、NaDeC BASEでは、市内小学校の上学年を対象とした初心者向けプログラミング体験イベントが開かれていた。
これは、「米百俵プレイス ミライエ長岡」の子どもラボでの展開を視野に入れた先行事業でもあり、今回参加した15人の子どもたちは、人気ゲーム「マインクラフト」を使って、バーチャル長岡づくりに挑戦した。
ながおか技術教育支援機構から派遣された講師は、テキストを元に、バーチャルの世界でさまざまな色の長岡花火を打ち上げたり、川や田んぼなどを作りながら、プログラミングの基礎を伝授していた。
子どもたちからは、「普段のゲームとは違いパソコンのキーボードを使うので難しかったけど、慣れたら面白い」「時間が短かった。楽しかったからもっとやりたい」「次回も参加したい」と好評だった。
ちなみに登さんは、小学2年生からプログラミングを始め、のめり込んでいったという。今後、プログラミング教室もNTT東日本との協力関係の中でグレードアップしながら開設し、ICT人材への門戸を豊かに広げていけるだろう。
いよいよ来年夏には、ミライエ長岡が先行オープンする。子どもラボなどでは、子どもたちの興味や好奇心に応じてさまざまなプログラムを用意し、新しい学びや交流ができる場が提供する。未来を担う子どもたちが楽しみなが学べる環境を用意し、ICT人材、イノベーション人材の育成を土台から推進していく。
関 連 記 事 : まちづくりとイノベーション都市 イノベーションエコシステム
人づくりはまちづくり(米百俵プレイス) 発酵/バイオ/循環型社会
タイトル画像:
7/27(水)「プログラミングを体験!バーチャル長岡を創ろう!」(NaDeC BASE)