みなさん、耳タコだろうが、少子高齢化と人口減少が加速している。この現実は、身の回りを見れば如実に実感させられる。 そこへ、降ってきたの が新型コロナウイルス禍だった。

私たちは、いやが応もなくこの状況に対応していかねばならない。なんであれ目標を定め、取り組みを進める──これのみなのだと思う。


さて、長岡市の
政策目標は、長岡を「選ばれるまち」にしていくことだ。
今年度(令和3年度)予算のキャッチフレーズは、「直面する危機から市民を守り、暮らしやすく、選ばれるまちをつくる予算」であった。過去記事はこちら
そして、新年度(令和4年度)予算案のキャッチフレーズは、「感染禍を乗り越え、新たな価値の創造による活力あるまちづくりを加速する予算」である。記者会見資料はこちら


地方分散(地方移住)の流れをつかみ、若者の定着を促してゆかなければならない。あらゆる場面で、変化の波を的確にとらえ、新しいアイデアと手法・手段で新しい価値を生み出していきたい。官民の力で、長岡版イノベーションを推進していこう。

イノベーションとは、物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味に誤認されることが多いが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自律的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。 (ウィキペディアより)

そこで今回は、長岡版イノベーションの展開の一つNaGaOKaながおかオープンイノベーション事業を紹介しよう。この事業は、民間企業などの先進技術やアイデアを活用し、地域課題・行政課題の解決につなげていくもので、市が補助金を交付し、官民共同で“実証実験”に取り組んでいる。

 
■ 除雪技術の継承と管理の効率化
寺泊385号線での除雪作業(寺泊竹森)

実施主体:(株)長岡計器

雪害をいかに克服するか、これは長岡にとってはバイタルな課題だ。だが今、高齢化が進む除雪オペレーターの技術をいかに次世代に継承するか、が大きな問題となっている。
昔のような徒弟的な継承ではなく、技術を標準化してだれでも習得可能なものにしよう、というのがこの試みだ。除雪車にカメラを設置してオペレーター育成のための教育映像を作成し、その技術習得上の有効性を検証する。

併せて、道路管理者による除雪状況の確認を効率化するため、除雪車に通信端末を取り付け、作業映像を事務所からリアルタイムで確認できる環境を構築し、その有効性も検証する。⬇下図参照

 

 

■ スマホアプリを活用した保健事業のオンライン化 
スマホとウェアラブル端末を利用したオンライン保健指導

実施主体:(株)PREVENTプリベント   

これまで市の保健指導は、家庭訪問や窓口への来訪など対面型が中心だった。フルタイムで働く人は忙しくて時間がとれないとの声が多いし、ウイルス禍下では対面は難しい。もっと効率的な保健指導のやり方はないのか?──これが認識されていた課題だ。

そこで、オンラインによる指導にシフトすることで、感染禍でも保健事業の継続実施、業務効率化が図れるかを検証する。

ウェアラブル(着用)端末で計測した心拍数などのデータをスマホ画面で見ながら保健指導が受けられるなど、より科学的な手法が導入できると聞いている。⬇下図参照

■スマートパーキングの実現

実施主体:日信電子サービス(株)新潟営業所

まちなかの駐車場情報をネットで提供しているパーキングナビながおかは導入から15年が経ち、地図表示もやや古く、スマホ未対応、など利便性が高いとは言えない状態にある。
米百俵プレイス ミライエ長岡の令和5年度からの順次オープンを控え、よりスマートな駐車場案内としていきたい。

そこで、アオーレ長岡駐車場・大手通り地下駐車場・長岡市営大手口駐車場・長岡市営表町駐車場の4か所に情報収集端末を設置し、専用サイトにて駐車場の満空情報の配信を行う。PC同様、スマホやタブレットでも閲覧できるスマホフレンドリーなサイトを提供し、利用者の利用シーンや利便性について調査・分析することでUI/UXの改善効果について検証する。⬇下図参照

※ UI (User Interface )・・・利用者との接点、操作性
    UX(User Experience)・・・利用者の体験、使い心地

 

 

 

「NaGaOKaオープンイノベーション」事業は、今年度で3年目を迎える。

従来は、クローズドイノベーション(自前主義の研究開発)が常識だった。しかし、急激な変化と多様なニーズに対応するためには、あらゆる壁を超えて知恵を集めるオープンイノベーションが圧倒的に有利だ。成果は人類全体の英知=パブリックドメインとして社会に貢献する。オープンイノベーションで未来を拓いてゆこう──長岡からこう呼びかけたいと思う。

NGOKエヌジ-オーケー=失敗してもいい、失敗を恐れず、失敗も受け止め、学ぶ」という姿勢で、地元の民間事業者と協働してきた。先入観を排し、さまざまな実証実験を継続的に行い、導入への有効性を粘り強く探っている。現在進行形である。

昨年度行った多言語映像通訳を活用した外国人児童生徒への学校生活支援は、多言語映像通訳サービスみえる通訳を活用し、外国語を話す子どもや保護者と円滑なコミュニケ―ショーンが図られたとの評価がなされ、実際に今年度の導入へとつながった。

 

感染禍によりデジタル化が加速する中、スマホなどを活用したICT技術やサービスは目覚ましく発展している。行政課題や地域課題の解決に、民間企業との共同事業は効果的であり、企業の技術開発にも大きなメリットがあることが分かってきた。

今後も、地元の民間企業や4大学1高専などと、さまざまな実証実験を通して行政サービス、そして市民生活の向上を図り、長岡のイノベーションを推進していく。


   関  連  記  事:   危機、暮らし、選ばれるまち 2022年スタート 新規開設【移住定住相談センタ–】 教育構想“エデュ-ダイバー”


 タイトル画像:
  

「多言語映像通訳を活用した外国人児童生徒への学校生活支援」の実証実験

多言語通訳サービス「みえる通訳」を活用し、通訳オペレーターを介して外国語を話す児童・生徒や保護者との会話を円滑に進める