昨年9月に、長岡市と NPO法人長岡産業活性化協会NAZEが「長岡ロボットイノベーションハブ」を共同で立ち上げた。以来、ロボット技術を使って生産性を上げ、ものづくり現場のイノベーションを牽引するためのネットワークとして働いている。
6月8日(火)、「長岡ロボットイノベーションハブ」の今年度初会合がNaDeC BASE で開催された。※ HUB:車輪の中心部の意、転じて、活動の中心地、結節点の意味で使われる
待ったなしの課題しっかり解決
コロナ禍により、あらゆる産業現場で、非接触・リモート・データ収集機能の向上など、さらなる進化が求められている。AI、IoT、ロボット(メカトロニクス)など、先進技術を取り入れた生産と経営革新が必須となる。これは、製造業にとってホットな課題だ。
先般のブログでも紹介したとおり、市は、経済産業省 関東経済産業局と包括連携に関する覚書を締結、国と一体連携して企業のデジタル化などへの支援体制を整えた。この土台を有効活用し、課題を着実に達成していこう。
今回の会合で、さっそく、経済産業省の「地域産業デジタル化支援事業」に採択された4社が、それぞれの事業における取り組みを紹介してくれた。
最初に紹介してくれた長岡電子(株)では、長岡高専の学生ベンチャーIntegrAIのAI画像認識システムをロボットの管理制御に導入し、生産管理の省人化・効率化を実現した。これはまさに、産学官連携によるオープンイノベーションの成果といえよう。
長岡ロボットイノベーションハブでは、企業がロボット導入を検討する際、その企業にハブメンバーを派遣し、現場を分析した上で、アドバイスやロボットのお試しレンタルなどを行っている。まさに一緒に走って行こうという「伴走型」支援だ。
市にはロボット導入経費を支援する補助金もあるので、ぜひご活用を。まずは気軽にハブの窓口に相談してほしい。
ハブのもう1つの使命
このハブにはロボットの導入とともに、もう一つ大きな目的がある。ロボット人材の育成だ。
長岡工業高校でのロボット実習授業をはじめ、長岡高専では一般向けロボットセミナーや実習、さらに企業向けロボットセミナーなどを行い、将来を見据えたロボット人材の育成に精力的に取り組んでいる。
市内外の企業、研究者が集まり、ロボットの活用や開発に取り組む姿は、「ものづくりのまち長岡」ならではである。市としてもこのハブを継続的に支援し、高い技術力を持ったものづくり企業と、4大学1高専との産学官連携によるさまざまな課題解決の取り組みを進めていく。
次なるステージへも
現在は、技術的な課題解決、新技術の導入といった面が活動の中心となっている。
一方でいま、あらゆる商品、サービスが急激な変化と淘汰に直面している。今こそ、ユーザーが本当に求めるモノはなにか? 世の中にとって真に必要なものはなにか? という原点に立つ「デザイン思考」が求められる。デザイン思考による商品開発は、長岡のもう一つの大きな課題=“下請けからの脱却”への大きなチャレンジにつながるはずだ。
すでに高い技術志向を持つ学生・研究者・企業に、さらに長岡造形大学で学ぶ若いデザイナーの新しい感覚と発想(デザイン思考)が加わることによって、長岡のものづくり産業のイノベーションが加速することを期待したい。
そして、これらの期待を具現化するための拠点が「米百俵プレイス」(仮称・令和5年度オープン)だ。イノベーションの「場」づくりと活動への支援に全力を挙げていく。
■ロボット導入支援補助金
〇内 容:中小企業が、生産性向上・人手不足といった課題を解決するため、新たに産業用ロボットの設備を導入する取得費の一部を支援する。
〇対 象 者:市内に事業所を有する製造業に該当する中小企業者等
〇対象経費:
・産業用ロボットの本体経費
・ロボット関連装置(ロボットハンド・ロボット架台等)
・ロボット周辺設備
・システムインテグレーション関連費(構想・メカ設計・製造組立等)
・搬入・据付費
※長岡ロボットイノベーションハブの個別相談を受けることを必須とする。
〇補助金額:補助率:対象経費の1/3以内
補助限度額:300万円を限度とする。
〇募集期間:現在募集中 ※予算に達した時点で終了
〇問い合わせ:産業支援課(0258-39-2222)
関 連 記 事: 新時代へ 国と連携 長岡発 学生ベンチャー 人づくりはまちづくり(米百俵プレイス)
タイトル画像: 長岡工業高校でのロボット講習会