2021年に開催された東京五輪では、 スケートボードや自転車ＢＭＸフリースタイル、スポーツクライミングなど新しい種目が注目を集めた。今年のパリ五輪でも、新たにブレイキンが採用されている。これらのスポーツは、「アーバンスポーツ」と呼ばれている。
長岡でも、この分野で世界的な活躍をしているアスリートがいる。国際大会であるX Games Chiba BMXフリースタイルフラットランドで、2023年優勝の片桐 悠選手と、2022年優勝の早川 起生選手だ。
そして、こうしたトップ選手の活躍だけでなく、アーバンスポーツに親しむ動きが、一般の方の間にも広がりつつある。
今回は、長岡のアーバンスポーツの普及・啓発の取り組みについて紹介する。
■アーバンスポーツの可能性
アーバンスポーツは、“過激な”パフォーマンスを競うエクストリームスポーツ（Xスポーツ）の中でも都市での開催が可能なものをいう。音楽やファッションなどとも融合するスタイルが自由な空気とともに受け入れられ、若者を中心に急速に広がりを見せている。
東京五輪で、その離れ業や華やかな競技風景に接し、驚いた人も多かったのではないだろうか。また、スケートボード女子ストリートで、西矢 椛選手が日本最年少（１３歳３３０日）の金メダリストとなるなど、若い世代の活躍も印象的だった。
個人的には、純粋に勝敗や順位のみを競うスポーツとは違った良さを、アーバンスポーツに感じている。その成り立ちを考えれば、遊びやカルチャーの延長線上にあるものが競技化され、生まれたのがアーバンスポーツだと言えるだろう。
競技後、選手たちがお互いの技をたたえ合い、観客もまた共に喜び、楽しみ、体験を共有しているかのような印象だ。若者や子どもにも人気がある新しいスポーツとして、大きな可能性を感じる。
全国的にもアーバンスポーツを活用した地域活性化が広がっており、政策的な話をするなら、スポーツツーリズムやにぎわいづくりなどの効果が期待できる。
■体験による裾野拡大
長岡市では今年度、スケートボード、ＢＭＸ、ボルダリングなどのアーバンスポーツ体験会を実施し、アーバンスポーツの認知度向上に取り組んだ。
９月の「ながおかスポーツ・レクリエーションフェスタ」では、ＢＭＸの試乗や、世界で活躍するライダーがパフォーマンスを披露してくれた。１０月の「ジュニアスポーツフェスタ」では、スケートボード体験会を開催し大変好評だった。また３月１７日（日）には、国営越後丘陵公園で小学生向けのボルダリング体験会を開催した。
さらに、子育ての駅ぐんぐんの屋根付き広場で、利用ニーズを探るためスケートボードの社会実験を行った（１月１３日(土)〜３月２０日(水)）ところ、延べ３０４人の利用があった（３月１３日時点）。幅広い世代にスケートボードを体験してもらったようだ。
一方で、スケートボードは、騒音や禁止場所での滑走などがよく問題となる。そうした対立や衝突のない形でスケートボードが楽しめる環境作りをするため、４月半ばからは、長岡市民文化公園での社会実験を予定している。興味のある方は、ぜひ、ご参加を！
■新たなスポーツを活用したまちづくり
長岡市スポーツ推進計画では、令和５年度から本格的に動き出す中学校部活動の地域移行を契機に、ジュニア世代の運動量の確保や、スポーツを「する・しない」の二極化解消のため、時代に応じた新たな活動にも取り組むことにしている。
アーバンスポーツは、スポーツを身近にし、運動を習慣づけるうえでも注目すべきものだと考えている。音楽やファッションなど、他の文化との親和性が高く、今までスポーツに親しんでこなかった人をも惹きつける魅力がある。旧来型の部活動に見られた上下のタテ関係から離れたスポーツの世界が待っているともいえるだろう。
来年度、普及活動にあたる地域おこし協力隊を任用し、効果的な情報発信や関係団体への活動支援を行う予定だ。
スポーツで子どもたちを育てる環境づくりの実現に向け、アーバンスポーツやeスポーツなど新しいスポーツの普及を図っていきたい。そして、スポーツを楽しみ、健康で生きがいを感じる「スポーツによるまちづくり」を進めていこう。
関 連 記 事 ： 地域おこし協力隊 活躍中！ どこでも開くeスポーツの扉
タイトル画像 ：
令和５年９月９日「ながおかスポーツ・レクリエーションフェスタ2023」アオーレ長岡
BMXの体験会と、世界で活躍するライダーで長岡出身の片桐亮さん・悠さんによる華麗なパフォーマンス