昨年5月1日に開館した栃尾地域交流拠点施設トチオーレが人気を博している。オープン5か月で来館者 10万人を達成。1周年を目前にしたこの 4月には堂々の20万人──新型コロナウイルス禍によりさまざまな制限があった中、これは実に驚異的なペース──を達成した。旧地域交流施設と比較するとよく分かる(下表参照)。
来 館 者 数 | 年 間 | 月 平 均 |
栃尾文化センター+栃尾市民会館(H30)の合計 | 109,837人 | 9,153人 |
栃尾地域交流拠点施設トチオーレ(R4.5~R5.4) | 211,774人 | 17,647人 |
トチオーレが栃尾活性化の起爆剤となり、地域に新たな価値が生まれ始めていることをご想像いただけると思う。今回は、トチオーレのこの1年を振り返ってみよう。
■1周年記念イベント
ゴールデンウイークに、トチオーレ1周年を祝う記念イベントが催された。ハンドメイドフェス/二十歳のつどい/ジャズナイト/栃尾てまりまつり など、伝統と新たな試みをミックスしたフージョンイベントに、地域内外から幅広い世代が来場して大いに賑わった。
初日29日(土祝)の開館1周年記念セレモニーでは、快晴の中、家族連れを中心に大勢が訪れ、飲食・ハンドメイドの出店、音楽ライブなどをエンジョイし、大型連休の開放感を存分に味わっていた。施設と半屋外空間、公園が一体となったトチオーレならではのイベントだった。
トチオーレのオープン前からを機運を盛り上げようと立ち上がったのが「栃尾地域交流拠点施設イベント実行委員会」だ。メンバーは地元地域団体・商工会・観光協会・社会福祉協議会・保育園・栃尾高校などで、まさに「オール栃尾」。長岡大学などの外からの若い力の協力もあり、地域内外のグループ・団体が、音楽会などのイベントを自主的に企画開催するムーブメントにつながってきた。今後が楽しみだ。
■リアル交流拠点として
トチオーレに多くの来館者がある要因として、ストリートラウンジを中心としたフリースペースの存在が挙げられる。ストリートラウンジは、フリーWi-Fiと電源が完備されており、窓に面した空間は明るく、開放的だ。ここで学校帰り中高生が勉強に励んだり、会社帰りの人が資料を作成したり、地元の人がおしゃべりしたりと、今までの栃尾地域では見られなかった光景が広がっている。家族連れでの来館も増え、公園で遊んだ後、キッズスペースがある図書館で絵本を読むなど、長い時間過ごせることも好評である。
ホールや和室などは地元のサークル活動などでほぼ毎日埋まっていて、キッチンスタジオは、子ども会やコミュニティセンターの料理教室に活用されている。音楽スタジオは、地域外の人からも多くの利用がある。ピアノにドラムなども設置された本格的なスタジオは、市外の音楽愛好家も通うほどだ。
フリースペースに保育園児の作品を展示したところ、祖父母世代から大変喜ばれた。地元サークルの作品展示に、来館者が足を止めて見入る姿も多いという。こうした動きは当初の想定以上であり、地域の皆さんが手ずからトチオーレを育てていただいていることを実感してうれしく思っている。
■ 着実に、どんどん広がる将来展望
数年後に、国道289号通称八十里越が開通すれば、隣接する福島県はもとより、東北や北関東からも峠を越えてたくさんの観光客が新潟県を訪れるようになる。長岡市の東の玄関口となるのが栃尾地域なのだ。その暁には、トチオーレの注目度はますます高まっていくだろう。
トチオーレを起点に地域内の道の駅R290とちおや道院高原、杜々の森、そして醸造のまち・摂田屋、ながおか花火館、寺泊魚の市場通り(魚のアメ横)などに足を延ばしてもらう『市内周遊ルート』を、ナガオカのルート観光資源として育てていきたい。
今年度は、トチオーレと雁木通り、商店街、上杉謙信ゆかりの名所・旧跡をつなぐ誘導看板を整備するなど、一歩一歩取り組みを進めていく。トチオーレを拠点に地域の皆さんと協力し、交流人口の拡大、新たな価値の創出を図ってゆく。そして、もっと広域に市全体の、越後の中心ナガオカの豊かな自然と歴史や食文化──きれいな水と食に恵まれたナガオカの魅力──をアピールしていこう!
タイトル画像: 2023年4月29日 1周年記念イベント「ハンドメイドフェス」(大ホール)