新潟県の発表によれば、昨年の県の観光入込客数は5,616万人で、コロナ感染禍前(2019年:7,330万人)の約8割に回復した。
長岡市でも、 寺泊の魚の市場通り(魚のアメ横) の 入込み客は、昨年206万人を記録して感染禍前を上回り、この夏も県内外から多くの方が訪れた。オープンから2年半で来館者300万人を達成した 道の駅ながおか花火館では、海外からの観光客も増えてきている。

そこで今回は、ふるくからの醸造文化(バイオ文化)が根付いている「醸造・発酵のまち」摂田屋・宮内地区で進む、観光振興のトピックを紹介しよう。循環社会や健康志向の時代の意味ある観光拠点として、注目していただきたい。

 

発酵を楽しむイベント「HAKKO trip」(2022年)では、発酵食品を使用したメニューや醸造商品を販売する「発酵マルシェ」を開催(主催:長岡の発酵ミーティング)

 

 

 

 

■「 旧機那サフラン酒製造本舗を起点に

 

摂田屋・宮内地区には、多くの国登録有形文化財が点在している。
なかでも機那きなサフラン酒製造本舗の「鏝絵こてえの蔵」は、むかしから大勢の方々に親まれ地域のシンボルになってきた。荒俣宏著『黄金伝説―近代成金たちの夢の跡 探訪記』では、表紙と第1章「黄金伝説への旅ーサフラン酒王」で紹介され、日本の近代産業の精華として高く評価されている。
中越大震災では「鏝絵の蔵」をはじめ歴史的建築物が大きな被害を受けた。しかしその修復をバネに、地元の市民団体、蔵元の皆さんを中心にまちづくりを積極的に進めてきた。2018年、市が旧機那サフラン酒製造本舗の土地・建物を取得し、情報発信・交流拠点施設「米蔵」を整備(過去記事)。その運営を担っている摂田屋のまちづくり会社ミライ発酵本舗では、music saffron(ミュージックサフラン)摂田屋サンデーグッドモーニングマーケットなど、地域密着型のイベントを定期的に開催してきた。

さらに、地元の若手事業者や長岡造形大学長岡大学長岡農業高校の学生が企画・運営に関わるHAKKOハッコーtripトリップ、新潟大生による体験型企画のセッタニアなどのイノベーティブな活動もとてもおもしろい。その結果、感染禍の中でも来街者は順調に増え続け、今年度の月平均来場者は約3,450人(7月末時点)、米蔵オープン当初(2020年度)の月平均1,530人を2倍以上も上回った。

 

 

古民家や蔵をリノベーションした飲食店などが新たにオープンし、地元の発酵食品を使用したメニューやオリジナル商品も評判がいいようだ。

 

カフェのある「米蔵」では、発酵食品などの販売展示・イベント開催が行われる。
旧機那サフラン酒製造本舗庭園池に泳ぐ山古志の錦鯉約40匹。池の修復には長岡技大、長岡高専が協力した。
 

 

 

 

 

■「摂田屋・宮内地区」の連携キックオフ!

6月、摂田屋・宮内地区の「麹の香り漂う醸造・発酵のまちの磨き上げ」事業が、観光庁歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業に採択された。全国から多数の応募があった中、採択されたのは14事業、県内では本市のみ。長年にわたる地元町内会、蔵元、市民団体、若手事業者の皆さんの熱心な活動と、観光のポテンシャルが高く評価された結果である。関係者の皆さんの精力的な活動に拍手したい。


続く7月には宮内地区で秋山孝ポスター美術館長岡がリニューアルオープンした。

 

秋山孝ポスター美術館長岡 再オープン記念式典であいさつ (7月8日)

 


昨年1月に逝去された秋山孝氏の遺志を受け継いだご遺族から建物と2,000点を超える作品を市に寄贈いただいたものだ。観光案内機能やカフェスペースを新たに設けられ、同日、摂田屋では、「旧機那サフラン酒製造本舗」の庭園の池に錦鯉を放流した。この池に錦鯉が泳ぐのはなんと約60年ぶり! ※老朽化した池を修復した

醸造・発酵のまちづくり協議会設立準備会で


先月8月28日(月)に開かれた「醸造・発酵のまちづくり協議会」設立に向けた準備会では、関係者の思いを共有するとともに、魅力づくりのためのキーワードを出し合うワークショップを行ったばかりだ。

 

宮内3丁目にある宮内駅は上越線の終点である。これは鉄道マニアでなくとも長岡周辺の住人ならみなよく知っている事実ではないだろうか??  もちろん、信越線も通っているし、隣の長岡駅には新幹線がきている。宮内駅直結の摂田屋・宮内地区は、日本全国のみならず世界につながる交通アクセスを持つ観光拠点でもある。

加えて、今夏の猛暑に危機感を抱いた方は多いだろう──私たちの意識変容を迫る酷暑の連続だった(まだ暑さと渇水は続いているが…)。観光も地球環境に配慮したサステナブルなものが求められる時代になったのではないだろうか? 醸造の町は、そのニーズにきっと応えてくれるだろう。

今後も関係者の皆さんとともに、摂田屋・宮内地区の魅力向上、情報発信に取り組んでいく。市民の皆様もぜひ「醸造のまち」を訪れ、楽しみ、一緒に魅力を広く発信していただきたい。

 


   関  連  記  事 :
 バイオ文化を紡ぐ「醸造のまち」 発酵/バイオ/循環型社会

         
 タイトル画像:
 
「摂田屋サンデーグッドモーニングマーケット」の様子(8月27日)。

毎月第4日曜日に米蔵の前で開催。発酵をテーマに、地元の出店者が並ぶ。