今年もまた8月1日を迎える。
私たち長岡市民には、とうてい忘れることができない歴史的な日である。
昭和20年。あの夜10時30分、長岡空襲の悲劇は始まった。
爆撃機B29が長岡上空に飛来し、市街地に雨のように焼夷弾を投下した。多くの尊い命が犠牲となり、大勢の市民が大切な人をなくした━━。
長岡は、県内で唯一空襲によって大規模な被害を受けた都市である。私たちには「戦争がいかに悲惨であるか」「平和がいかに大切なものであるか」を、次世代に伝えていく責務がある。
“負の歴史”を背負ったまちが見事に復興を遂げた、この矜持 (誇りと自信) こそ長岡市民の共有財産として伝え続けたい。
※ 長岡空襲犠牲者の判明数は、現在 1,488 人となっている。
《長岡まつりの平和行事》
8月1日はいま、「長岡市恒久平和の日」となっている。
今年は日曜日で、例年通り「長岡市平和祈念式典」を開催する。感染防止対策を徹底し、長岡空襲殉難者遺族や市民など、参加者を200人に絞っての式典とし、犠牲者への黙とう・献花のほか、市内中学生による非核平和都市宣言の朗読など、追悼と平和への想いを発信する。
また、8月1日(日)から3日(火)まで、アオーレ長岡の市民交流ホールAで、追悼の市民献花、空襲殉難者の遺影展示をする。
このほか、戦災殉難者慰霊祭(平潟神社で)や柿川灯籠流しなども行われる。
《悲劇の記憶と経験を次世代につなぐ》
長岡空襲の体験者や遺族の方々が高齢となるなかで、空襲や戦争の記憶や体験を残し、いかに後世に伝えていくかが大きな課題だ。
市は昨年度から、「空襲から復興へ」写真カラー化プロジェクト (市、渡邉英徳東京大学大学院教授、庭田杏珠さん(東京大学2年生)、新潟日報社の共同プロジェクト)をスタートさせた。戦中から戦後の復興時代の白黒写真を、体験者の証言をもとにAIを使って着色し、空襲・焼け野原時代から復興に至る体験の記憶をより鮮明なイメージの画像に復元する。恒久平和を希求する心を風化させない“継承”の取り組みのひとつだ。
これらの画像を展示するので、ぜひご来場ただきたい。
展示期間:8月1日(日)〜6日(金)
場 所:アオーレ長岡ホワイエ
今年6月、長岡空襲殉難者遺族の代表を務め、戦災資料館開館当初から運営ボランティアとして活躍し、空襲体験の語りを続けてこられた金子登美さんが亡くなられた。
金子さんには、戦災資料館をはじめ、市内外の小・中学校などで、実に300回以上にわたり、空襲体験を語っていただいた。心より感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。金子さんのこれまでの活動の記録は、しっかりとアーカイブに保存し、今後の平和事業に活かしていくことにしている。
長岡空襲の体験者の記憶や体験の記録を残し、次世代へ伝えていくことは、長岡の使命である。あの凄惨な現実を決して忘れない━━と心に刻み、風化させない取り組みをしてゆく。
《今年も花火で想いを共有》
ご存じのとおり、長岡まつり大花火大会は、2年連続して中止することとした。
しかし、「慰霊と復興、平和」への想いと、コロナウイルスと戦うすべての方々への感謝とエール、「ウイルスに負けない」不屈の決意をも込めた花火を、支所地域もふくめ11か所で打ち上げる。
わずかな時間であっても、市民の皆さんから花火を楽しんでいただきたい。ぜひ、ご自宅などから花火を眺めていただければと思う。そして、同じ空を見上げ“長岡の想い”をつないでほしい。
*今年の花火の打ち上げ予定*
8月1日(日)
長岡空襲の始まった午後10時30分から打ち上げ
慰霊の花火「白菊」(10号3発)
8月2日(月)・3日(火)
両日とも、信濃川河川敷と5支所地域で午後7時30分から打ち上げ
「慰霊・復興・平和への祈り」(白色3発)
「新型コロナウイルスと戦うすべての人々への感謝とエール、コロナウイルス禍からの復興と早期終息を祈願する花火」(金色1発)
「エール花火」(スターマイン1台)
※2日・3日両日とも、信濃川河川敷と支所地域5カ所の合計6カ所に打ち上げ場所を分散
※打ち上げ場所は非公表、支所地域では町内会を通じて打ち上げ日時・場所等をお知らせ
※NCT,FMながおか, 長岡花火公式You Tubeチャンネルで長岡地域の打ち上げを生中継
《今年の平和祭と長岡まつり昼行事》
今年は、ウイルス禍において求められる「新しい生活様式」に対応した形で開催する。
平和祭や昼行事は、アオーレ長岡のアリーナを会場に、入場を事前予約制として行う。入場券をお持ちでない方は、YouTubeなどの生中継をご覧いただければと思う。
空襲を生きのび、焼け野原から立ち上がった長岡の先人の思い━━平和を願う心━━を、長岡では毎年、大花火大会をはじめとした長岡まつりによって、市民一人ひとりが再確認してきた。
このことを若い世代に伝え、長岡まつりの歴史と誇りを来年以降につないでいこう。
過去の悲劇を忘れなかった人たちが、津波から身を守ることができたように、長岡の歴史と誇りを、若い世代に語り継いでいきたい。けっして言葉だけ、形だけのものではない。“忘れた頃に必ずやってくる悲劇”を回避する力を、未来につなげていきたいと思う。
■8月1日に開催される行事
○長岡市平和祈念式典
・日時 8月1日(日)午前9時~9時40分
・会場 アオーレ長岡 アリーナ
・主催 長岡市
・共催 長岡市議会/長岡市非核平和都市宣言市民の会/新潟県教職員組合長岡支部
・主な内容 ①代表献花
②長岡空襲のお話(櫻井信子さん(当時12歳, 旧制長岡高等女学校1年))
③非核平和都市宣言の朗読(中学生代表)
○鎮魂たむけの花・長岡空襲殉難者遺影展示
・日時 8月1日(日)~3日(火)午前10時~午後4時
・会場 アオーレ長岡 西棟1階 市民交流ホールA
・主催 長岡市
・協力 長岡いけばなの会
・内容 長岡空襲で亡くなった方々を追悼する市民献花、遺影の展示
※以下の行事は、いずれも関係者のみで行われる。
○平和の森コンサート
・日時 7月31日(土)午後5時から
・会場 平和の森公園(本町3)※雨天の場合は表町小学校体育館
○戦災殉難者慰霊祭
・日時 8月1日(日)午前6時から
・会場 平潟神社社殿内(表町1)
○戦災殉難者墓前法要
・日時 8月1日(日)午前7時から
・会場 昌福寺(四郎丸4)
○空襲で亡くなった子どもたち・教職員と市民を追悼する集い~2021平和祈願祭~
・日時 8月1日(日)午前8時から
・会場 平和の森公園(本町3)※荒天の場合は表町小学校体育館
○第38回柿川灯籠流し
・日時 8月1日(日)午後10時30分から
・会場 柿川(一之橋から追廻橋の周辺)
■8月1日平和祭(主催:長岡商工会議所)
○時間 午後4時~6時
○内容
・“センバツ”民踊流し 出演:15団体147人参加(このほか1団体90人が生中継で参加)
各団体の選抜メンバーが、長岡甚句や大花火音頭を披露。
・ステージイベント 出演:悠久太鼓連合会、Y’sバトンスタジオ、長岡市消防音楽隊
○生中継
・ケーブルテレビNCT
・FMながおか
・YouTube Live「だいすき!にいがた!チャンネル」(NST)
■8月2日ふれあい広場(主催:(一社)長岡観光コンベンション協会)
○時間 午後1時~5時
○内容 郷土芸能や市民活動を発表するステージイベントを行う。
・ステージイベント 出演:中越高校チアリーディング部、長岡大手高等学校ダンス部、
ダイエープロビスフェニックスプールチアリーディング・HIPHOP、
Y’sバトンスタジオ、吟剣詩舞道劔豪会、長岡市消防音楽隊、長岡太極拳協会、
キッズチアLindaほか
○生中継
・YouTube Live「だいすき!にいがた!チャンネル」(NST)
■8月3日わんぱくおまつり広場(主催:長岡市大手通商店街振興組合)
○時間 午前11時30分~午後4時30分
○内容 ・ステージイベント(ヒーローショー、郷土芸能発表など)
・縁日市、風船コーナー
関 連 記 事: 長岡空襲 平和を架ける
タイトル画像:令和2年(2020)8月2日・3日に打ち上げた「慰霊と平和への祈り」花火