「子どもの貧困」の拡大が懸念されている。コロナ禍で拍車がかかっている。困窮世帯への支援金など公による支援とともに、 地域全体で支援する 市民の動きも広がっている。その一つが、子ども食堂の広がりだ。
子ども食堂13か所に増加
今年3月に、越路地域の「岩田みんな食堂」が、5月には「関原みんな食堂」が新たにオープンし、長岡で活動する子ども食堂・みんな食堂は13になった。
新食堂はどちらも、感染防止のため、お弁当の配布という形でスタートしたが、準備期間に2年もかけたと聞けば、運営する方たちの熱意と本気度が伝わってくる。栄養たっぷりのおいしいお弁当は、地域に皆さんにとってうれしいプレゼントになったと思う。スタッフの皆さんに心から感謝するとともに、末永く活動が続くことを期待したい。
※長岡の子ども食堂は、みんな食堂という名称が多い。その心は”地域のみんなで一緒に”
「学び」が貧困の連鎖を断つ
食事の提供だけでなく、「学びの場」として子ども食堂を活用する動きも出てきた。
学校町にある「子どもみらい食堂」では、感染拡大で一斉休校となった昨年4月から、学習支援事業を本格スタートした。小中学生が宿題のドリルや試験勉強の教材を持参し、基本は自習だが、わからない問題があれは、ボランティアの大学生や高校生が教えてくれる。授業についていくのが難しい子、家庭の経済面や人間関係で塾に通えない子にとっても、貴重な学習の場になっている。
「学び」こそ貧困の連鎖を断つ、という。すばらしい取り組みだと思う。
子ども食堂を介して、自然に、家族のようなつながりが生まれ、地域のつながりが広がる。
互いに思いやる行為は、問題解決に向かって行動を起こすエネルギーを生む。感謝し、感謝されることで、心のエネルギーが循環し、また自分にめぐってくるように感じられるだろう。
企業からも支援の手
子ども食堂の運営を支援する民間からの動きにも注目してほしい。
先日、市内企業から、創業100周年の記念として、子ども食堂に対して長岡市共通商品券(300万円分)を寄附いただいた。ありがたい話である。
現物給付も含め、これからも、地元企業による「がんばる市民活動」への支援の輪、こちらも広がっていきそうだ。
市がスタートアップから下支え
長岡市では、子ども食堂の運営費用の補助金制度を用意し、その上で、情報提供・各関係団体等のつなぎ役など下支えを行っている。
スタートに当たっては、運営に興味がある方・協力したいという方の相談にのっている。現在も、新規オープンを目指す相談があり、窓口は継続的に利用できる。興味のある方は、ぜひお問い合わせいただきたい。
フードバンクによる支援
長岡では、フードバンク活動も広がりを見せてきている。
今年4月、NPO法人フードバンクにいがたから独立して、「フードバンクながおか」が設立された。市内のひとり親世帯に毎月精米5kgを配布する「長岡子ども笑顔プロジェクト」など、生活困窮世帯に食品を提供している。現在、対象世帯は約140世帯。200世帯まで拡大を目指しているそうだ。
長岡市との情報共有など連携に加え、企業や団体とも連携強化し、運営資金や人手の確保に向けて取り組んでいくという。
市では、フードバンクながおかの安定的な運営を支援するため、運営費を補助し、寄附の申し出があった団体をフードバンクにつないでいる。子育て支援にかかわる人々からフードバンク活動について理解を深めていただき、さらなる充実を期待している。
子どもの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることはあってはならない。援助が必要な子どもや家庭に支援が行き届くよう、行政・市民団体・地域が円滑に連携して効果的な活動にする必要がある。もちろん、家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもが健やかに育つよう目を配り、環境の整備や地域の活動の支援を継続していく。
<参考データ>
○長岡市内の子ども食堂一覧
○長岡市子ども食堂運営費補助金
・対 象:市内で子ども食堂を運営する団体で満20歳以上の責任者を有し、2人以上で構成されている団体
・対象経費:食材費、施設の賃借料、光熱水費、保険料、備品購入費等
・補助金額:上限5万円
・問合せ先:子ども・子育て課(電話39-2300)
○フードバンク活動応援補助金【R3年度新規】
・内 容:子どもの貧困対策のため「フードバンクながおか」の安定的な運営と自立を支援する。
・補助額:60万円(上限額)
・補助対象経費:人件費、賃貸料、光熱水費、通信費、交通費、消耗品費
関 連 記 事: みんな食堂 6月補正初日提案から
ふど
タイトル画像: 5/15(土) 関原みんな食堂開設初日のメニューはドライカレー弁当