いま、わが国のあらゆる分野で、人材不足が大きな課題となっている。

企業にとって、 優秀な人材を確保できるかどうかは死活問題だ。行政(市 役所)においても、複雑化・困難化する市民ニーズに対応していくために、優秀で意欲ある人材の確保が欠かせない。ところで、必要とされる「優秀な」「能力のある」人材とは、どのような人物だろうか?

最近よく耳にするのが、IT人材・DX人材の不足だ。デジタル技術を使って業務を効率化したり、改革したりできる能力。さらに新しい発想・アイディアで事業を変革できる能力。こうした能力が求められているという。

生成AIホワイトカラーの仕事の半分を自動化する、ともいわれている今、デジタルやプログラミング技術をある程度理解し、仕事のなかでスキルアップしようという意欲はやはり必須であろう。現代版の「よみかきそろばん」というべきか。そして、市民ニーズに応ずるための多様で高度な専門職も求められている。 

長岡市職員の来年4月採用の募集がスタートしたので、その概要を紹介する。

 

 

 

■ 多様な人材を求める

 

前期日程の職員採用試験の受付期間は5月7日(火)まで。後期日程の試験案内は7月1日(月)から、社会人対象の試験案内は9月1日(日)からの配布を予定している。

採用職種・採用予定人数など、詳しくはこちら

 

プログラミング言語Pythonパイソンを指導する職員(「デジタル人材」採用)

○デジタル人材

基幹系システム標準化の対応や、さまざまな分野におけるDX推進業務などに従事する。現在、庁内へのタブレット端末、生成AI、クラウドサービス等の導入に携わっている。
(令和5年4月採用1人、令和6年4月採用3人、令和6年度職員採用試験は社会人対象で募集予定)

 

○心理士

専門的な家庭児童相談や子どもの発達に関する相談への対応などの業務に従事
(令和4年10月採用1人、令和6年4月採用1人、令和6年度職員採用試験は後期日程で募集予定)

 

デザインを学んだ経験を生かした文書を作成する職員(「デザイン・クリエイティブ人材」採用)

○デザイン・クリエイティブ人材

政策・企画、広報、文化振興、まちづくり、その他分野の業務に従事。この春採用された職員の一人は、ふるさと納税業務の担当となった。
(令和6年4月採用4人、令和6年度職員採用試験募集中)


○作業療法士

児童福祉施設において、児童の発達・自立支援などの業務に従事
(令和6年4月採用1人、令和6年度職員採用試験募集中)

 

○福祉職員

福祉や教育分野において、福祉行政に関する施策立案、子どもや障害者などへの支援、小中学校での児童生徒等からの相談対応などの業務に従事
(令和6年度職員採用試験募集中、社会人採用でも募集予定)

 

 

 

■採用試験にもさまざまな工夫

○先行実施枠の実施

優秀な人材の早期確保を目的として、今年度から土木技術職員などを対象に先行実施枠を新設。前期日程より約3カ月前倒しのスケジュールで、最終合格の通知は5月下旬を予定している。

 

現場立ち合いをする職員(右)

 

○社会人採用試験の年齢要件拡大(予定)

社会人対象の専門職種における上限年齢を40歳から45歳に引き上げる。

 

○SPI3導入を拡大

より多くの人に採用試験を受けてもらえるよう、民間企業で広く利用されている就職採用テスト「SPI3」を保健師や作業療法士、消防職員などの試験科目に導入。 

 

 

 

■働きやすい職場づくり

 

人材の確保には、男女ともに働きやすい職場づくりが重要だ。

長岡市は男性職員の育児休業取得促進に力を入れている。取得率は以下のとおり。

 

  令和1(2019)年 令和2(2020)年 令和3(2021)年 令和4(2022)年 令和5(2023)年
 育休取得率
(長岡市男性職員)
5.5 % 21.4 % 24.1 % 57.4 % 72.9 %

 

取得率は年々増加して、昨年度は70%を超えた。ちなみに新潟県の男性取得率は27.7%(令和4年)だ。

これは「育児参画シート」の提出や所属長との面談の義務化、男性職員(妊娠中の妻を持つ人、未就園児を持つ人、育児に不安を感じている人)を対象とした「『子育て+仕事』両立研修」の実施、育児支援制度や先輩職員の声を紹介した「子育てハンドブック」の普及など、職場全体で育児休業を取りやすい環境づくりに取り組んだ成果と思う。

“パパ職員”の育児休暇取得率は年々増加している

また、女性管理職の登用率の向上にも積極的に取り組んでいる。

女性管理職の割合は13.9%(令和5年4月1日時点)から15.9%(令和6年4月1日時点)へと、1年で2ポイント増加。今後も引き続き、女性職員のキャリア支援研修などを実施し、登用率向上に努める。

 

「ひとづくりはまちづくり」という「米百俵の精神」を受け継いできた長岡市。

人こそが最大の経営資源であるという考えのもと、これからも人材の確保、職員の育成、そして個人がその能力をより発揮できる職場づくりを進めていく。

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 タイトル画像 : 令和7年4月採用の職員採用試験ポスターから。長岡駅はじめ、市内各所に掲示し、PRしている。