現在、長岡市には約2,600人の外国人が暮らしている。

その半数の約1,100人が市内企業等で、 技能実習生として、あるいは勤労者ワーカー として、専門技術や日本語能力を身に付け活躍している。

 

長岡市は、令和元年に長岡グローバル人材活躍推進協議会を設立し、アジア諸国を中心とした高度人材の受け入れを推進してきた。また市内企業に対して、外国人材活用推進アドバイザーや国際行政書士によるコンサルティング、在留資格手続きに関する無料相談等も実施している。

今年度は、専任の外国人受入サポーターを新たに配置して、留学生のインターンシップ先の企業選びや生活相談など、寄り添いながら支えることで、長岡への定着につなげていく活動を展開している。昨年から、キルギスやベトナムの大学、モンゴル高専からの高度人材就労の動きも活発になってきた。

 

そこで今回は、現在進行中の外国人材受け入れの取り組みを紹介する。

 

 

 

■ キルギス共和国

 

昨年10月、キルギス共和国を訪問し、日本への留学生送り出しで実績のある「アラバエフ・キルギス国立大学附属日本学院」、高度IT人材を輩出するアラトー国際大学、政府関係機関などを視察して、キルギス人材の受け入れ可能性を探ってきた(過去のブログ参照)。

今春、4月16日(火)に、アラトー国際大学のティレベック・セイトベック副学長とオソエフ・エリキンベック在日本キルギス共和国大使が来岡し、長岡技術科学大学長岡高専を視察し、研究者らと交流した。私も市長として様々な意見交換を行った。6月3日(月)には、アラトー大学と長岡技大の間で、学生交流を進めるための協定が締結された。

また、5月28日(火)には、アラバエフ・キルギス国立大学のチャラダンバエバ・アリグリ副学長が長岡を訪れ、長岡技大と学術交流協定を締結している。今後、教員・学生の交流機会を設け、共同研究や研究成果の共有などを進める予定だ。

アラバエフ大学は約18,000人、アラトー大学は約2,500人の学生が学んでいて、いずれの大学も日本での就労を目指す学生は多い。市としては、キルギスからの留学生が安心して生活できる環境を整え、受け入れを支援していきたい。

アラト-国際大学のティレベッとク・セイトベック副学長(左側手前から2人目)、オソエフ・エリキンベック在日キルギス共和国大使(同3人目)の一行と会談

 

 

■ベトナム共和国   

                                                     

私のベトナム訪問から5年目、ようやく大学交流が実現することとなった。

6月14日(金)、ベトナムのホーチミン市工科大学コンピュータサイエンス学部の3年生8名が表敬に訪れてくれた。長岡技大とホーチミン市工科大学との日本語教育プログラムの一環として、最先端研究の体験や研修、企業でのインターンシップを行うために来日したものだ。

 

学生たちは、「これまで学んできたAIやソフトウェア開発などの知識を活かしたい」「日本の高度な技術を学びたい」「日本社会や生活習慣も一生懸命勉強したい」と目を輝かせながら話し、その熱意が伝わってきた。 

ホーチミン市工科大学の3年生たちと  インターンシップへの意気込みなどを話してくれた

 

このプログラムによるインターンシップは、昨年に引き続き今年で2回目で、6月17日(月)から8月9日(金)まで実施する。昨年、インターンシップを受け入れた市内企業は、「学生たちは優秀で、真剣に課題に取り組んでくれた」「態度が真面目。ぜひ長岡で働いてほしい」と、学生たちを高く評価しており、今後の成果が楽しみだ。

 

 

■モンゴル人民共和国

 

昨年3月、市と長岡産業活性化協会NAZE、長岡高専が共同提案した「モンゴル・産業DX人材育成プロジェクト」がJICA草の根技術協力事業」に採択された。今年はいよいよ5月から3年かけて6,000万円規模のプロジェクトが進んでいく。 

このプロジェクトは、長岡高専がモンゴル高専でデジタル人材の育成を支援し、モンゴル高専生が長岡市内企業へのインターンシップを経て、就職につなげることを目指すもの。市内企業で不足するDX人材の確保にも寄与すると考えている。

 

 

すでに、市内の産業界には、率先してモンゴル人材を受け入れている事業者もいる。直面する人材不足に対応するためでもある。昨年度、中越鋳物工業協同組合は、市の補助制度を活用してモンゴルを訪問し、技能実習生5名の受け入れを決めている。

キルギス、ベトナム、モンゴルという三カ国と、長岡が教育/研究機関を通してつながり、国境を越えて人材の育成や就労を実現する態勢が整いつつあると言えるだろう。

 

これからも、日本で働きたい外国人材と人手が足りず苦しむ市内企業とを結びつけるために、支援を更に充実させることで、外国人が活躍できる「長岡モデル」を目指していく。

   関  連  記  事 :  キルギス訪問 モンゴル高専生のインターンシップ 多文化共生とグローバル人材

 

 タイトル画像 : 

アルプスアルパイン(長岡市)でインターンシップ中のホーチミン市工科大学のグェン・チュン・カンさん