日本中で人手不足が顕著だ。長岡市も例外ではない… 。必要な人材が確保できない──製造業・建設業・農業・サービス業・福祉業界など、あらゆる分野で抱えている悩みだ。

人手不足を打開する方策のひとつとして、海外人材の受け入れがあり、すでにベトナム・モンゴルや東南アジア諸国のかなりの人が長岡で働いている。今後のさらなる受け入れ可能性をさぐるため、市内事業者とともに視察団を編成し、キルギス共和国 を訪問してきた。今回は、このたびのキルギス視察の報告である。

 

令和5年10月10日(火) ポロトア副大臣(左側女性)、クダイベルディエフセンター長(その奥)等と意見交換(労働・社会保障・移民省&在外市民雇用センターで)

 

■ なぜキルギス?

 

今年6月、オソエフ・エルキンベック在日本キルギス共和国大使の表敬を受けた。長岡とキルギスとの接点は、これが初めてである。

このとき、大使からキルギスの人材受け入れについて打診があったのがご縁の始まりである。8月の大使の再来岡の折には、長岡技術科学大学への視察や長岡まつり大花火大会を観覧されるなど交流を深め、実現したのが、今回のキルギス視察訪問だった。

 

“中央アジアのスイス”とも呼ばれるキルギス共和国を皆さんはご存知だろうか。国土面積は日本のほぼ半分位で、人口は670万人と決して大きい国とは言えないが、近年、国をあげてITや介護、観光分野等で学んだ専門人材の送り出しに積極的に取り組んでいる。

 

 

※ 地図はクリックすると拡大します


1.首都 ビシュケク(Bishkek)   
2. 人口 670万人(2022年 国連人口基金) 
3.言語 キルギス語が国語(ロシア語は公用語)
4.主要産業 農業・畜産業、鉱業(金採掘)
5.国土の4割が標高3,000m 以上の高地
※ 1993年 国名改称 キルギスに (旧称キルギスタン)

 

 

  キルギス 日 本 (参考)ベトナム
国土面積 19万8,500㎢  37万8,000㎢  32万9,241㎢ 
人 口 670万人  1億2,445万人  9,946万人 
GDP 110億ドル  42,311億ドル  4,138億ドル 
 (1人あたりGDP) 1,626ドル  33,822ドル  4,110ドル 
大学進学率 53.5%  63.2%  28.2% 

(出典:外務省基礎データ、JICAキルギス資料)

 

首都ビシュケクの街並み

 

実は昨年、日本とキルギスは「外交樹立関係30周年」を迎えたところだ。

今年7月には両国の友好協力関係が進展し、日本政府とキルギス政府間で在留資格「特定技能」に係る協力覚書(MOC)を交換した。そして、今月17日(金)から20日(月)にかけて、サディル・ジャパロフ大統領が来日することになっている。など、キルギスへの注目度が高まっているところだ。

 

令和5年10月10日(火) アラバエフ・キルギス国立大学附属日本学院の歓迎レセプションで「米百俵のまち 長岡」を紹介
■ キルギスの印象

 

JICAジャイカキルギス共和国日本人材開発センター(KRJC)の皆さんと

キルギスの街は若者であふれ、活力にあふれていた。平均年齢が27歳というから、なるほど印象どおり若い人が多い国なのだ。日本(平均年齢約49歳)とは逆のピラミッド型の人口構造で、30歳未満が60%を占める。

また、実に不思議な“縁”を感じさせる逸話が残っていた。「かつてキルギス人と日本人は兄弟で、肉が好きな者が南に行ってキルギス人となり、魚が好きな者が東に行って日本人となった」という伝承だ。そのせいもあるのだろうか、この国では、どこに行っても歓迎されているように感じた。「キルギスは親日国」との事前情報のとおりだった。

調べてみると、チュルク(テュルク)語族(キルギス語はこの1つ)の語順は日本語と似ていて、日本語とキルギス語の祖語は同じである可能性が高い。してみると、兄弟だった──はるかかなたの昔にではあるが──という伝承にはわけがありそうだ。


実際、
キルギス人と日本人は顔が良く似ている。料理も日本人の味覚に合う。大学進学率は53.5%、識字率も99.2%と日本と同等の高水準にある。

その一方、農畜産業以外に産業がなく、GDPの3割以上が国外にいる出稼ぎ者の送金である。視察先や現地メディアに対して私は、「米百俵」の話とキルギスへの貢献(相互協力)関係を強調してきた。米百俵の精神は、キルギスの発展にも大いに貢献できると確信しているところだ。

 

 

ISITO(イシト)医療専門学校で日本へのインターンシップを希望する学生からの質疑応答
アラバエフ大学附属日本学院で日本への就職を希望する学生との意見交換、質疑応答

 

 

 

 

 

 

 

■ 視察の成果と今後の展開

 

アリポフ輸出経済外交部長等と(キルギス国外務省で)

キルギスの政府関係者との意見交換において、人材交流に関する連携の提案があった。
今後、人材交流の枠組みづくりに向けて、両国のカウンターパートを構成し、連携に向け取り組みを進めていく。日本への学生送り出しの実績がある「アラバエフ・キルギス国立大学」と高度IT人材を輩出する「ALA‐TOO(アラ・トー)国際大学」の視察では、盛大な歓迎を受けるとともに、多くの学生から「日本で働きたい、活躍したい」という熱いアピールをもらった。この2大学と長岡の4大学1高専との交流連携について、今後、具体的な調整を進めていく。

 


▼アラバエフ大学訪問の映像

 

視察団の参加者からは、
○キルギスの学生からは、日本で働いて技術を身に付けたいという意欲を感じた。
○長岡にITを学んだ彼らがインターンシップに来てくれたら、長岡の産業はもっと元気になり面白くなるかもしれない。
○介護業界も人手不足で、多くの外国人材を受け入れている。キルギスの学生は向上心や日本への関心が高く高い可能性を感じた。力を合わせ、長岡らしい温かい介護を実現したいと思う。

 

などと手ごたえを感じていたようだ。
今後につながる成果を得ていただいたことに感謝したい。

 

今後は、あまり時間を置くことなく、人材の送り出し機関として認定されているアラバエフ大学附属日本学院を通じて、日本語を習得し社会福祉・IT等の専門教育を受けた若者の受け入れを実現したいと考えている。 

長岡は長年、国際交流(姉妹都市交流)で多文化共生の文化を培ってきた。その経験とノウハウを活かし、海外の若者が長岡に溶け込み、地元産業の働き手として活躍する「長岡モデル」を市民総意でつくっていこう!        

アラバエフ・キルギス国立大学附属日本学院でアブドラエバ学長、四橋日本学院代表理事等と意見交換

 

■キルギス視察の概要

 

日 程:10月9日(祝・月)から10月13日(金)4泊5日

ALA-TOO 国際大学でルスタム副学長、ザイトペク副学長、イル国際連携室長、ダルサダ博士と意見交換

滞在先:キルギス共和国 ビシュケク特別市(首都)

視察日:10月10日(火)終日、11日(水)終日、12日(木)午前

視察先:【政府関係機関】
      ①労働・社会保障・移民省、在外市民雇用センター(人材送り出しの所管)
      ②キルギス外務省
      ③在キルギス日本大使館
      ④JICAキルギス日本人開発センター


    【ビジネス・人材交流関係機関】
      ①アラバエフ・キルギス国立大学附属日本学院  
      ②ISITO(イシト)医療大学、専門学校        
      ③ALA‐TOO(アラ・ト-)国際大学工学情報学部  ☆こちらも参考に
      ④キルギスハイテクノロジーパーク  

      ⑤プライサー ビシュケク(現地進出の日本IT企業)      
参加者:市長を団長に関係部長、介護・医療法人、IT事業者、製造業など総勢16名
   ※長岡商工会議所や長岡産業活性化協会NAZE、介護事業長岡モデル研究会を通じて募集

 


   関  連  記  事 :
 モンゴル高専生のインターンシップ 多文化共生とグローバル人材 外国人人材

               
 タイトル画像 :
 
令和5年10月11日(水) ALA-TOOアラ・トー 国際大学の学生と意見交換

参加した学生は150人以上になった