学校給食の必要性や重要性は、今や、だれからも認められている。
以前は、お弁当のほうが親子の絆を深める、 といった主張もあったが、核家族化 と共働き家庭が増える中で、今はそのような意見は影を潜め、家庭における子どもの食事・栄養の問題をフォローしてくれる学校給食の役割が重視されている。「ぜめて1日1食、学校給食で栄養バランスのとれた、安全安心な食事を食べさせたい」といったような声すら聞かれるくらいである。
子どもたちにとっても、各家庭にとっても、なくてはならないものとして定着した学校給食ではあるが、実は地域(自治体)によって、その中身には大きな差があるというのが実態だ。
長岡市では、おいしい給食、栄養価の高い給食を基本とし、給食を通して健全な食生活を身につけ、長岡の食文化を継承する「食育」を推進している。教育委員会と栄養教諭(学校での食育の推進役)、調理担当の取り組みを紹介しよう。
■ 「減塩」
3年前から「ながおか減塩うまみランチ」と題し、月1回、全市立学校で共通の減塩メニューを提供している。子どものころからおいしい減塩食を識っていれば、生活習慣病予防に役立つはずだ。もちろん通常の給食でも、「だし」を効かせたり、食材の風味を生かした調理を行うなど、塩分を控えるためさまざまな工夫を講じている。
また、給食だよりなどで、子どもたちだけでなく先生や保護者への啓発を行い、家庭でも減塩に対する意識を高め、実践できるよう取り組んでいるところだ。
■ 地産地消=「地場もん」を味わう
長岡市の給食では、地場産食材の使用も積極的に進めている。
お米は100%長岡産のコシヒカリ。
教育委員会では、長岡野菜などの地場産農産物の情報とともに、メニュー・レシピの例などを学校につたえ、各学校での献立作成や食育活動につなげている。この時季は、もうすぐ旬を迎えるユウガオ(“ゆうごう”)を使ったアイディアメニュー(麻婆/カレー/中華炒めなど)の情報を共有して長岡野菜の旬の味・新しいふるさとの味をも学校給食を媒体に伝承していこうとしている。
身土不二 (=我が身を育んでくれる“環境”は、心身の健康に深くかかわるという考え)という言葉が示唆するように、新鮮な地物を食するのは合理的な態度だ。おまけに輸送費節減で環境にもやさしい。
さらに──
卸売市場やJAに学校給食の必要量の集荷と調整を行う長岡独自の流通システムを構築してもらい、野菜を安定的に仕入れることができるようにしている。これは、生産者にとっても安定した価格で計画的に生産できるなどのメリットがあり、地元ならではのことだ。『健康を志向する食』と農水産業、流通、経済などさまざまなフィールドでさまざまな人々が子どもの給食に関わり、支えていただいていることを大変ありがたく思う。おかげで、ゆくゆくは食料環境の学習にもつながっていきそうだ。
『食』とともに広い視野角で思考できる人材が育まれゆくことを切に願いながら、今後も、皆さんの協力を得ながら、地場産物の使用を拡大していきたい。
関 連 記 事: 食生活で“セルフケア” 今こそ長岡産農産物!
タイトル画像: 全国学校給食週間にあわせ、「発酵」をテーマにした給食を全市立学校で実施した。この時のメニューは、里芋と車麩の味噌がらめ/なめ茸和え/酒かす豚汁(今年1月、写真は新町小のもの)。