本年1月1日に発生した能登半島地震。長岡市内では、中之島地域において震度6弱 (県内最大)を観測した。

地震直後、寺泊地域を中心として204か所の避難所を開 設、市内全域で最大593人が避難した。住宅や公共施設の被害をはじめ、断水なども発生した。市内の被害状況は、重傷者1名・軽傷者4名、住家の半壊4件・準半壊5件、一部損壊388件となっている(1/29現在)。

罹災りさい証明書の発行、住宅の応急修理、各種税や保険料の減免等などの支援制度については、市HP詳細が掲載されているので活用いただきたい。

今回は、能登半島地震にともなう当面の対応についてである。

 

地震当日の寺泊地域の避難所の様子(寺泊小学校体育館)

 

 

 

■ 長岡市内の津波対策と被災者支援

 

今回、新潟県に30年ぶりの津波警報が出された。寺泊地域では508人が高台の避難所に退避している。

東京大学地震研究所佐竹健治教授(地震学)によれば、日本海の活断層は陸地に近く、津波の到達時間が早いのが特徴だという。実際、今回も輪島港では、地震発生とほぼ同時の午後4時10分に第1波を観測している。

さらに佐竹教授からは、これから私たちが注意すべき情報が提供されている。佐渡沖に延びる断層がまだ割れ切っていないので、今後この断層が動いて、新潟県に大きな被害が出る恐れがあるというのだ。(NST県内ニュース:佐渡沖に活断層の割れ残り… 【新潟】

 

そこで、長岡市は地震発生後に短時間で到達する津波対策と被災者支援について、総額3,221万5千円を専決処分による予算措置をとり、対応することとした。

 

津波対策

  1.  津波情報の発信の多重化・・・2,008万1千円

緊急告知FMラジオ

迅速な避難行動のために導入・拡充するもの。津波警報発表と自動連動して避難を呼びかけるシステム。


 (1) 緊急告知FMラジオの追加配布(1,680万円)
  配布対象:津波浸水想定区域の約1,200世帯(寺泊地域)
  ※無償貸与・配布済みの町内会や要支援者などを除く

 (2) 情報発信ツールの拡充(328万1千円)
  警報発表時に自動でスマホなどに発信する。
  ※市公式LINEながおかDメールプラスX(旧Twitter)
携帯電話(登録者)

 

2.  津波監視カメラの設置・・・913万4千円
   迅速かつ正確な状況把握のため、海岸部に監視カメラを設置

被災者支援

  1.  生活再建支援金の支給・・・300万円
         住宅被害が半壊以上の世帯へ支援(半壊最大50万円を6件分見積もり)
  2 . 寺泊地域の合併浄化槽の復旧支援については、既決予算で対応(900万円)

上記の緊急対策以外にも、津波に対する市民への意識啓発や観光客への津波避難の周知、緊急避難場所の環境整備などの対策を強化する。

 

■被災地支援(市外)

ご存じのように、石川県をはじめ震源地に近い被災地の被害はほんとうに甚大だ。また、新潟市も大きな液状化被害を被っている……

長岡市では、いまだ復旧されていない被災自治体を支援をしている。救助活動のほか、上下水道施設の復旧などの支援するために市職員や民間事業者の派遣、物資の提供を行ってきた。

 
人員派遣
  •  消防・緊急消防援助隊として石川県へ 108人  【1/1~4(27人)、1/4~8(27人)、1/7~11(27人)、1/11~15(27人)】 ※今後も国の要請を受け対応する予定
  •  水道・配水管修繕のため新潟市へ 3人【1/2~6】
  •  給水支援のため上越市へ 2人【1/2】
  •  応急給水のため十日町市へ 4人【1/4】
  •  漏水調査支援のため石川県七尾市へ   12人【1/16~21(6人)、1/21~26(6人)】 
  •  管路修繕支援のため石川県七尾市へ 2人【1/21~26】  ※長岡管工事業協同組合の業者も同行
  •  漏水調査・管路修繕支援のため石川県七尾市へ(予定) 8人【1/31~2/5(4人)、2/5~10(4人)】
  •  被災建築物応急危険度判定・新潟市へ 8人【1/5(2人)、1/6~7(4人)、1/9~10(2人)】
  •  下水道下水道施設の被害調査のため石川県羽咋市へ 4人【1/8~13】
  •  住家被害認定調査・「チームにいがた」を通じて新潟市へ 4人【1/23~27(2人)、1/27~31(2人)】
          ※チームにいがた:県と県内市町村による大規模災害時の連携支援体制

 

七尾市に向かう水道災害復旧支援隊出発式(水道局前, R6.1.18)
下水道管の被害状況を調査する長岡市職員(石川県羽咋市, R6.1.12)

 

 

 

 

 

 

 

 

物資支援
  • 石川県穴水町(1/12)へ 
     非常用トイレ(エマージェン) 10箱(1,000回分)
     (市がチーム中越に託し、被災地へ届けられた)
      ※チーム中越:市内の団体から構成されたボランティア団体
  • 石川県七尾市(1/18)へ 
     段ボール更衣室&授乳室3基
     非常用トイレ30箱(3,000回分)
     飲料水500mlペットボトル)24本入り×52箱

     書籍「中越大震災」2冊

 

 

この他にも、燕・弥彦総合事務組合のごみ処理場が損傷したため、1月22日から長岡市の寿クリーンセンターで可燃ごみの受け入れをしている。有事には地域間で支え合うことが不可欠だ。

長岡市も災害時には全国から大きな支援を受けてきた。恩返しも大切。そして、できる者ができる事をできる時にをする──お互い様も大切だ。
被災地に出向いて支援活動をしてくれた方々、ご苦労さまでした!
引き続き、能登半島地震の被災地の復旧・復興を支援していきますので、よろしくお願いします!

 

今年は、中越大震災と7.13水害から20年という節目の年。改めて災害対策のシステムを整備するとともに、防災意識を高め、災害に負けない、強いまちづくりをさらに進めていく。

 

 
   関  連  記  事 :
 “逃げ遅れゼロ”戦略 地域力は防災から  

                
 タイトル画像 :
 
令和6年1月5日 長岡市をはじめとする消防職員による救助活動 (輪島市町野町)