長岡の地域産業の起源は、明治期の東山油田の開発に伴う石油精製業・採掘機械製造業で、ここから工業化が進み、金属加工/ 機械/ 精密工業のまち =「ものづくりのまち」へと発展を遂げてきた。未来の長岡の発展も、「進化するものづくり」の如何にかかっている。

高度な技術力とその集積で、「長岡ではどんな難しい試作品でもつくれる」と評されている。長岡のものづくりの存在意義が高く認められているのである。人手不足と後継者難に悩む中でも、時代のブレイクスルーの先頭に立って進むべきポジションにあるのだと思う。そんな長岡の若者たちが将来の担い手になれるよう、さまざまな取り組みを進めていきたい。

今回は、将来のモノづくりの担い手=メイカーの話題をお届けしよう。

 

「長岡ものづくりフェア2020」。過去最高の約2万4千人が訪れ、市内34社・団体による実演や展示、体験教室を楽しんだ(アオーレ長岡)

 

■ 長岡ものづくりフェア~メイカーズながおかまつり

 

まず思い出すのは、新型コロナ禍前に開催した長岡ものづくりフェアだ。子どもたちはもちろん、多くの方たちから大変好評をいただき、同時に、日本のメイカー愛好家の注目も集めた──長岡のものづくり企業を知ってもらうよい機会となったフェアだった(ブログ記事1同2)。

 

コロナと共存の方向に向かう今年2月、「メイカーズながおかまつり」と銘打って開催されたフェア会場には、レーザー加工製品、ラジコン草刈り機など実用的なものから、メタバース、デジタルアート、コスプレ造形など、バラエティに富んだ24ものブースが並んだ。

当日は、家族連れや若者、さまざまな世代の方が市外・県外から訪れ、「発想がすごい。ものづくりを知らなくても楽しめた」「次は出展者として参加したい」といった声が寄せられ盛り上がっていた。イベントを機に、新たなメイカー(創り手/造り手)が誕生する手ごたえとともに、長岡が県内外からメイカーの集う「場」となっていく可能性を感じた。

 

「手をかざすと光るしくみ」の展示ー長岡造形大学の研究室や教育活動で製作した作品の展示ブースで
野菜アバターのブース~畑で収穫した野菜からアバターを作成

 

 

 

 

 

 

 

■ メイカーズ“クラブ活動

 

メイカー活動を継続・活発化させる動きもある。現在、月2回程度のペースで定期的に開催されているクラブ活動だ。ものづくりを趣味とする人から、ものづくり企業に勤める人まで、多彩な人々が集まり、メタバース空間やアバターの製作体験、ローコードによるプログラミング体験などを実施している。


まだ始まったばかりの活動だが、縦型組織を飛び出したフラットでオープンな場ができるといいな、と思う。実際、みんなでひたいを寄せてアイディアを産み出す姿からは、メンバーそれぞれの専門・得意分野を超えた技術交流が生まれ、新たなアイデアが創出される好循環が生まれることが期待できる。

 

クラブ活動のワンシーン~活動を通して、自然と参加者同士の交流や情報交換が生まれている

 

■ ミライエ長岡で会いましょう

 

米百俵プレイス ミライエ長岡のオープンまで1か月を切った(7月22日オープン)。
5階には、NaDeC BASEナデックベースが拡充移転し、イノベーションサロン、ものづくりラボが整備される。ここはアイデアを形にする創作活動を集中して支援する場となる。さらに同フロアには、メイカーが生み出した作品(市内企業の開発商品、大学の研究成果や作品も)に実際に触れ、体験する形での展示紹介コーナーを置き、ユーザー(市民・消費者)とのダイレクトなインターフェースをつくる予定だ。

 

多くのメイカーたちが、研究・交流・活動する新たなステージ、出会いや交流を通してイノベーションを生むオープンな場として、大いに活用いただきたいと思う。市が、メイカーの自由で多彩な発想や活動のサポーターとなり、メイカーズコミュニティから新しいモノや価値が次々と生み出されていくようバックアップしていく。
米百俵のまちとして、モノづくり人材の育成、新規ビジネスやスタートアップの創出、地域産業の発展につなげていきたい。

 

 

 

 

   関  連  記  事  長岡ものづくり2020ものづくり、ネクスト 長岡発ロボットイノベーション 永遠なれ、与板打刃物

                
 タイトル画像:
 メイカーズながおかまつり。

画像は、はんだづけとプログラミングを組み合わせた体験コーナー