いま、日本経済は急速な円安と物価高騰(インフレ)に見舞われている。現在進行形だ。
この先どうなるのかという不安が広がっている。 すでに長年 にわたって賃金水準が低迷し、製造業は世界市場で急速に競争力を失ってきたという現実が横たわっている・・・。
なかんずく中小企業での人手不足や売り上げの伸び悩みは深刻であり、労働生産性の向上、高付加価値経営への転換、新製品の開発、新分野への参入などの必要性が指摘されて久しい。むろんデジタル化は「待ったなし」の課題だ。長岡の中小企業もそれは「百も承知」のはずで、こうした個別課題は市が関与することでないのは私も十分承知している。
しかし、IT化やデジタル化には、往々にして委託業者への高額な支払いが生じ、経営を圧迫するという本末転倒の事例も多い。やはり、外部への丸投げではなく、できるだけ自前でやること(内製化・DIY)が大切ではないだろうか。この考えに賛同し、サポートがあれば自らデジタル化(DX)に取り組みたいという地元中小企業を、全力で支援していきたいと考えている。
今回は、市がNPO法人長岡活性化協会NAZEと連携し、市内企業のデジタル化を支援する事例を紹介をしたい。
■ デジタル実装のモデル事業をスタート
今年4月、NAZEに「ものづくりデジタルオフィサー(MDO)」を配置し、市内製造業のデジタル化の伴走型支援をスタートさせた。ついで、「製造業デジタル化実装モデル事業」を8月から開始。デジタル化の経費を一部補助することで製造業者が取り組みやすい成功モデルをぞくぞくと生み出し、市内企業に広く展開していこうというものだ。
〇製造業デジタル化実装モデル事業
補助対象者 ①NAZE会員企業 ②市内に事業所を有する中小企業等
補助金額 月額上限30万円
期 間 6か月 ※経費の1/2を補助
現在、9社から申し込みがあり、出足は好調だ。各社さまざまなデジタル化の取り組みを進めている。以下に紹介するのは主な事例だ。
☆(有)大塚木型製作所 見積書作成システム構築事業 ☆
☆ エヌ・エス・エス(株) 社内業務効率化ツールの導入 ☆
☆(株)プレテック・エヌ タブレットによる作業入力のシステム化 ☆
■ 長岡ならではの伴走型支援
こうした実装実験の過程で、NAZEと長岡アイティ事業協同組合が連携し、デジタル化支援チームが結成された。単なるデジタルツールの導入ではなく、企業が課題や停滞を“改善”するためのデジタル化支援(DX)を伴走型で進めている。
支援チームには製造業のデジタル化のノウハウが蓄積される。この蓄積ノウハウを次の新しいケースに活かして更につなげようというのは、地域全体で助け合って競争しながらも成長しようという長岡らしさにほかならない。大変な時は無条件で助け合う──雪国マインドだ──長岡人の心を思い出す。
また、MDOはより複雑な案件を、支援チームはライトな案件を担当することで、これまで以上に機動的かつ企業側に寄り添って対応できる。
多品種・小ロットが特徴の製造業・ものづくり企業において、デジタル化による仕入れの適正管理や省人力化は必須だ。小宅MDOが群馬県の製造業のデジタルチェーン化に取り組んだ際は、生産性が30%向上したという。
製造業デジタル化実装モデル事業は、現在も募集中だ。デジタル化に取り組みたい企業の方は、ぜひNAZE(℡0258-42-8700)に相談いただきたい。
市では、これからも製造業をはじめ、市内企業のデジタル化を強力に支援していく。
関 連 記 事 : イノベーション加速化補助金 ICTで安心保育 情報技術は集落を支援する
タイトル画像: 令和4年4月13日(水) 小宅MDOが(有)大塚木型製作所(長岡市北陽)訪問。同社は製造ラインや事務処理の合理化を模索しており、デジタル化に取り組むことにした。