長岡版イノベーションを推進する長岡市では、高付加価値の新製品・新技術開発やDXデジタルトランスフォ-メ-ション推進、脱炭素・ 省エ ネなどに取り組む市内企業に対して、さまざまな補助金を設け支援している。

しかしながら、補助金メニューの多さから、「どれを選択したら良いか迷う」「利用しにくい」という意見があり、それならばと整理統合した新制度「イノベーション加速化補助金をこの4月にスタートさせた。シンプルになってより利用しやすくなった。

今年は、8月末までの三分の一半期で早くも41件の事業の採択に至った。秋以降も多くの企業から活用していただきたいと思っている。

今回は、この補助金の活用事例を紹介しよう。

 

■ イノベーション加速化補助金の紹介

技術高度化・新製品開発

 〇概   要    技術高度化や高付加価値化を促進する新製品・新技術を支援
 〇対 象 者 市内に事業所を有する中小企業等で製造業または情報サービス業
 〇補助金額  (1) 新技術の開発:対象経費の1/2以内(上限200万円)
        (2) 新製品、新技術に係る知的財産権の取得:対象経費の1/2以内(上限50万円)
    〇採択事例 ・医薬品製造用コンテナの乾燥機の開発
                        ・IoTスイッチ技術を用いた療育向けカメラアプリの開発
                        ・養鯉場に最適な高度水質維持装置の開発 など

 

 

養鯉場に最適な高度水質維持装置の開発(悠久町(株)鱗)。良好な水質維持のため長岡技術科学大学などが持つ、浄化能力の高いろ過装置技術について共同開発を行い、水浄効率が高く、低コストの高度水質維持装置の開発を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デジタル技術活用支援

〇概   要    生産性向上や新ビジネス展開のためのデジタル化、ECサイト出店を支援
〇対 象 者    (1) 市内に事業所を有する中小企業等
                        (2) 市内に介護施設を有する社会福祉法人または医療法人
〇補助金額  (1) デジタル設備・システム・サービスの導入:対象経費の1/2以内(上限200万円)
         ECサイト等への出店事業:対象経費の1/2以内(上限50万円)
       (2) 長岡介護イノベーション・ハブの開発製品の導入:対象経費の1/2以内(上限50万円)
〇採択事例 ・在庫管理・品質管理システムの構築
                        ・オンラインによる受発注サービスの構築
                        ・ECモールへの出店事業 など

再生可能エネルギー・省エネ推進支援

〇概   要 脱炭素化、再エネ・省エネに関する製品開発に取り組む事業を支援
〇対 象 者 市内に事業所または本社を有する事業者
                       ※太陽光発電などの脱炭素化は全業種、製品開発、機器の入替等は製造業のみ
〇補助金額 中小企業者:対象経費の2/3以内(上限200万円) ※大企業:1/2以内(上限200万円)
〇採択事例・工場への太陽光パネル設置
     ・廃熱エネルギーの有効活用 など

 

太陽光パネル設置(鉄工町 (株)丸菱電子)。本社工場、第二工場に合わせて216枚の太陽光パネルを設置。雪国でも太陽光パネル設置のメリットがあることを積極的にPRしていきたいという。
克雪対応の縦型両面太陽光パネルによる再生可能・省エネルギー化に取り組もうという事業者も。※画像は長岡技術科学大学で行った垂直両面受光パネルの実証実験の様子

 

 

バイオエコノミー推進支援

〇概   要 バイオ産業の創出に向けた新製品の開発や設備・技術の導入などを支援
〇対 象 者 (1)市内に事業所または本社を有する事業者
                     (2)代表となる事業者が市内に事業所または本社を有するグループ
〇補助金額 対象経費の2/3以内(上限200万円)
〇採択事例  ・樹木チップによるミミズ養殖及び肥料生産システムの開発事業
       ・アクアポニックス
を活用した機能性農作物の開発事
       ・「越後 ど発酵」共同プロジェクト事業 など

 

(株)プラントフォーム/ 柏露酒造(株)/(有)たちばな/新潟県醤油協業組合による商品開発。食品ロスであった柏露酒造の酒粕、プラントフォームの規格外野菜を活用し、「越後ど発酵」ブランドとして「古志漬け(無農薬レタス)」(写真左)「古志漬けの素(発酵調味料)」(写真右)を開発し、県内の小売店や飲食店での販売を開始

 

 

 

本補助金の申請は10月31日(月)まで。ぜひ多くの企業からご活用いただきたいと思う。
また、②デジタル活用支援のECサイトへの出店事業については、期限を設けず、予算上限に達するまで申請を受け付けている。今後、ECサイトへの新規出店やスキルアップに関するセミナーなどを実施しながら、市内事業者のECサイト出店を積極的に支援していく。

 

新型コロナウイルス禍や物価高騰で、経済環境は一層厳しさを増してきた。今こそ経営体質の改善やデジタル化、新たなビジネスモデルの構築に取り組む時ではないか。支援に力を入れ、経済の発展を推進していきたい。


   関  連  記  事 :
 長岡が支援する起業創業 世界を牽引するイノベーション人材

 

              
 タイトル画像:
   

多品種・小ロット生産に対応した在庫・品質管理システムの構築 (株)長岡金型(西陵町)

これまで紙の日誌で管理していたものをタブレット端末に入力し、データベースでの管理に移行することで、業務の効率化につなげるもの。画像は製品情報をシステムに入力する様子