産業の活性化にはイノベーションが必要だ。 特に中小企業は、意識的・意欲的にイノベーションを呼び込むことが『事業継続と発展の 必須条件』だといわれている。
「米百俵のまち」長岡は、いまこそ、イノベーション人材の育成に力を注ぐときだと考えている。Nadec 構想などによる若者の起業・創業支援や、子どもたちのためのプログラミングやデザイン思考の講座は、その取り組みの一例だ。
長岡の学生たちは、いち早くこうした時代の動きに反応し、自分の興味・関心のあるテーマに果敢に取り組んできた。その素晴らしい活躍を紹介しよう。
■相次ぐ活躍
今年10月に開催された「NHK学生ロボコン」に、長岡技術科学大学ロボティクス部(チーム名:RoBoPro長岡)が出場し、見事初優勝!栄誉に輝いた。
矢を的に投げ込んで得点を競う「 投壺 」という競技で争い、世界大会への切符を手にした。先日、ロボコン部の皆さんが優勝の報告に訪れ、来たる12月にオンライン開催される世界大会に向け、「国内大会よりもさらに精度を高めたロボットで世界に臨みたい」と意気込みを語ってくれた。世界一を目指し、ビッグに挑戦してほしい。
また、長岡工業高校ロボット部は、全国高等学校ロボット競技大会県予選に出場し、準優勝に輝いた。9月のことだ。惜しくも全国大会出場は叶わなかったが、競技における得点能力が高く評価され、ロボット大賞を受賞した。
同じく、長岡工業高校放送局の映像作品が、6月に開催された「NHK杯全国高校放送コンテスト」県大会で3位に輝き、全国大会に出場している。作品は、 長岡産業活性化協会NAZEと長岡高専がケニアの食糧課題解決に取り組む様子をドキュメンタリー映像にした「世界を救うムシ」だ(映像はコチラから)。
メンバーのみなさんによる報告会に参加させてもらい、ロボットの実演や映像作品を目の当たりにしてきた。まず、感ずるのはみんなの心の熱量だ。この熱い想いで目標に向かい、納得ゆくまで努力を惜しまない姿がとても頼もしい。
「世界を救うムシ」に注目するなど、彼らの視点が単なる自分の興味にとどまっていないことにも感心する。仲間と共に、世界を救う人材へと成長をしてくれることを願ってやまない。
■長岡ものづくり企業が学生を支援
こうした学生の活動を、市内のものづくり企業が支援している点が、長岡らしさだと思う。
長岡工業高校放送局の映像作品は、NAZE主催の映像制作講習で、会員企業でもある学生起業家の㈱THE TWOから撮影・編集技術の助言を受けている。専門的な指導を受けたことで技術とモチベーションを高め、全国大会を目指すことができたという。
また、長岡工業高校放送局はNAZEの協力で、市内企業の紹介動画「NAGAOKAピカイチ・カイシャ・カタログ」を制作。高校生の目線で、企業のピカっと光る「一番」を紹介するこの動画は、長岡のものづくり企業の魅力や技術力の発信のほか、高校生が企業について深く知る機会ともなっている。就職活動にも役に立ち、協力関係が相乗効果を生んでいる。(動画視聴は、YouTube「NAZEチャンネル」から)
■人材育成も産業界と連携
長岡工業高校では、授業でロボット講習会が受けられる註1)。これは、「長岡ロボットイノベーション・ハブ註2)」が行う人材育成のプロモーションで、このような地域の産業支援団体による県立高校へのカリキュラムの提供は、県内初の取り組みである。
註1) 2年前、市が長岡工業高校と締結した「デジタルものづくり人材育成に関する協定」の一環
註2) NPO法人長岡産業活性化協会NAZEと長岡市が共同で立ち上げたネットワーク
機械工学科電子機械コース3年生40名を対象に、産業用ロボットを使用したプログラム作成と実習が行われている(講習全12回)。市内のものづくり企業が実習の講師を務め、最新のロボットを貸し出すなどして、実践的な学生の学びを主導している。
関係者はみな、高校時代からロボット工学の基礎を理論だけでなく、実際的・現実的な技術として学ぶ意義を熟知している。新時代の“デジタルものづくり人材”を育てる土壌ができてきたと感ずる。
長岡の若者の活躍は、長岡の人材育成の成果である。関係者の連携を促進剤として、長岡の”デジタルものづくり人材”の育成を加速させたいと考えている。
そして──、
令和5年から「米百俵プレイス ミライエ長岡」が順次オープンする。
多くの人が集い、楽しみ、交流する中で、若者の起業・創業が生まれ、地域産業のイノベーションが生まれる場(コミュニティ)を創ってゆく。イノベーション人材の育成と産業振興に、産・学・行政・市民協働で取り組んでいきたい。
関 連 記 事: 長岡発 学生ベンチャー チャレンジは止まらない 人づくりはまちづくり(米百俵プレイス)
タイトル画像: 長岡工業高校ロボット実習の様子