梅雨から台風の期間は、水害のリスクに最大限の備えが必要だ。

思い起こすのは、7.13水害(平成16年7月13日の新潟・福島豪雨災害)のこと… 。刈谷田川の決壊などで長岡にも甚大な被害をもたらし、中之島地域では3名の尊い命が失われた。長岡にとって忘れることのできない、忘れてはならない記憶である──。

今年も13日に「7.13水害防災メモリアル」が開催された。

 

献花 7.13水害防災メモリアル

 

種まきをする子どもたち(今年5月)


このメモリアルイベントは、現在、中之島ラブフォー隊の皆さんが主催・運営している。皆さんは10年以上にわたり、7.13水害のメモリアル公園である「’04(ラブフォー)中之島記念公園」に花を植え、公園の維持管理をしてきた市民団体だ。

今年も、5月に植栽会が開催され、参加したみなさん(中之島中央小学校3年生児童・地域のみなさん・企業など約80名)の手でプランターや花壇にヒマワリの種がまかれた。

このヒマワリは個人・町内会・団体・企業のプランターオーナーの皆さんの協力で大切に育てられ、今夏も見事に花開いてくれた。

 

 

忘れられない7月13日──この日に合わせてヒマワリが咲きそろう

 

■ みんなで継承活動

7.13水害を風化させない──地域では若い世代に災害の記憶をつなごうと熱心に継承活動が行われてきた。

NPO法人キズナの森」は、中之島中央小学校で防災講話を行うなど、水害を知らない子どもたちに体験と教訓を伝える活動に力を入れている。

 

 

 

先月から今月にかけては、中之島中央小学校と中之島中学校を会場に「7.13水害防災アーカイブ」パネル展示を実施。当時の写真や資料およそ30点が展示された。

水害時、中之島中央小学校と中之島中学校の周辺は水没し、子どもたちと先生が一晩校舎で夜を明かした。その記録が残されている。水害の記録は子どもたちの目にどのように映っただろうか。水害の恐ろしさだけでなく、どのように乗り越えてきたのか、これからどのように備えてゆくのかなど、地域の災害経験史として受け継がれてほしいものだと思う。

■ 親子で楽しむ防災活動

親子サークル「POP☆STAR」では、結婚等を機に中之島に移り住んだ、水害を経験していない親子を対象に、昨年「中之島☆親子防災プロジェクト」をスタートさせた。子育て世帯を中心に普段から中之島コミュニティセンターに集まり、交流や意見交換を行っているサークルだ。

プロジェクトでは、中越市民防災安全士会のアドバイスを受けながら親子で「楽しく」防災について学べるイベントを企画して参加者から大変好評だという。

 

 

 

先月5日の「災害避難所体験講座」には、親子など約20名が参加した。講座では、避難所の疑似体験として、ダンボールパーティションやダンボールベッドの組み立て、防災グッズの体験使用が行われた。参加者からは、「ダンボールベッドの組み立ては初めての経験だった」、「避難所の様子を体験することができ勉強になった」などの声が寄せられ、意味ある親子活動であったようだ。

 

今後は、災害時に役立つ料理法を学ぶ「防災パッククッキング講座」が開催されるという。
※活動には、長岡市の「持続的な地域づくり団体支援補助金」が出ている

水害の記憶を継承する取り組みや防災活動は、いつ起こるかわからない災害への備えである。こうした活動が日常的に行われることで地域コミュニティの結びつきが強まり、いざという時の命を守る行動に生かされる。市としても、引き続き、地域コミュニティ・市民団体による防災活動を後押しし、「地域の力」との相乗効果で、災害時の安全度を高めていきたい。


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 タイトル画像: 7.13水害防災メモリアル祈りの花輪