世界経済フォーラムが 今年の6月に発表した2023年のジェンダーギャップ指数(GGI)で、日本は146か国中、125位という結果だった 。これは過去最低で、特に経済の分野で123位、政治の分野では138位。平成28年の女性活躍推進法施行で、国を挙げて女性活躍に取り組んでいることになっているが、ジェンダーギャップ(格差)は、世界で最悪レベルというのが日本の現実である…。
過去ブログで取り上げたように、長岡市では女性の起業家が増えてきている。もちろん、ジェンダーギャップの解消はまだまだこれから。少子高齢化により働き手が減少し、新潟県では若い女性の県外流出が著しい。女性が個性と能力を十分に発揮でき、多様な価値観を認める社会をつくることは、長岡市にとって必須の課題だ。
■ 女性が働きやすい職場へ
先日、ミライエ長岡でシンポジウム「女性活躍とダイバーシティが未来を切り拓く」を開催し、基調講演で女性活躍の全国的な動向や先進事例を、続いて市内企業の事例などを紹介した。
参加してくれたみなさん──なかには経営者や管理職、人事担当者の方も──は、男女共同参画へのポジティブ・アクションの具体的イメージやヒントを受け取ったのではないだろうか。講演内容に「ビール初の糖質ゼロの商品は、女性研究者の育休中の体験が原点だ」という紹介などもあり、女性を含む多様な意見、自由な発想が創造性につながることを再認識した。
シンポジウムでは「はたプラチナ賞」の表彰式も行われた。
この賞は、業務や職場環境の改善に関して創意工夫ある優れた活動を表彰するもので、市内企業の働き方改革を加速させるべく、今年度創設したもの。受賞者の活動の一部を紹介しよう(くわしい概要はこちら)。
◇大光銀行
・6か月以上の育児休業を取得した社員に対し
夕食の宅配費用を支援
・上位職を目指す女性を増やすため、
営業職比率を増加させた
・全国的な研修へ参加させるなどによる意識改革
◇日本精機
・管理職を対象に女性の健康を学ぶセミナーを実施
・健康管理室に生理用品、制服等の着替えを常備
・制服を経血汚れが目立たないようデザインと
カラーに変更
このシンポジウムほかにも、女性活躍をめざすさまざまなイベントや事業を展開しているので、紹介しておこう。
○ 女性のアイデアコンテスト2023
仕事でのキャリアアップ、家事、子育て、健康、休日の過ごし方など、長岡を暮らしやすくするアイデアを募集し、男女ともに暮らしやすいまちづくりを目指す
※今年度募集は終了(結果発表は1月を予定)※昨年度の結果はこちら
○ アンコンシャス・バイアスセミナー
社員のモチベーション低下を引き起こすなど、女性活躍推進の障壁として注目されているアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・偏見)への認識を深め、職場を活性化させるセミナー
○ 女性の可能性を広げる学び合い講座「Well-being」こちら参照
女性が自分らしく働き、暮らすためにできることを考える連続講座。夢を実現した人の体験談など
○ Waffle Campホームタウンin長岡 こちら参照
市内女子中高生を対象にしたウェブサイト講座。理工系で働く女性の進路についてのキャリアトークや、大学生との進路相談も実施
■ 意識を変えて、社会を変える
男性や組織のトップが意識や行動を変えなければ、女性活躍、多様性のある社会は実現しない。私も昨年から「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会 (事務局:内閣府)」に参加し、全国の男性リーダーとともに、ジェンダーギャップの解消や女性活躍の推進に取り組んでいる。思い込みや前例に縛られず、女性の思いや能力がもっと自由の発揮できるようになれば、バランスのとれた働きやすく、暮らしやすい社会になるだろう。
では、意識を変えるにはどうしたらいいだろう? 変えるべき、変わるべき、といった“べき論”では人は動かない。
地球のバランスが崩れていると警告するSDGs(持続可能な開発目標)を持ち出すまでもなく、気候変動(異常気象)への対応に迫られている現実は、物とエネルギーが循環する社会、自然の摂理によるバランスこそ必要だ、という意識変容をわれわれに迫っている。
同様に、ジェンダー平等は、人間社会のエネルギーが循環し、バランスするために不可欠な意識変容と行動変容として、われわれに求められているといえないだろうか? SDGsの目標5では『ジェンダー平等を実現しよう』として掲げられているのは、ご存じのとおりである。
今後もあらゆる分野で、女性の意見や価値観が反映され、女性もリーダーとなって意思決定に参画する環境づくりと、意識改革を進めていこう。
関 連 記 事 : 志ある女性の起業支援します 「女性活躍」その先に広がる世界
タイトル画像 : 11月23日(木)「Waffle Campホームタウンin長岡」(ミライエ長岡)
女子中高生を対象としたウェブサイト制作講座。ITの楽しさに触れるほか、理工系で働く女性や大学生の先輩から話を聞く機会も設けられた。画像は参加者とウェブサイト制作を指導した先生たち。