真珠湾追悼式典で最も印象付けられたのは、サバイバー(生き残りの元軍人)が高齢となり、 年々 亡くなっていく現実だ。 出席すること が できたサバイバー は10人余、若くても90代後半で、記憶の伝承が課題だ。 ほとんどのスピーチが「未来世代に戦争のむごい歴史を伝え継ぐことが重要だ」と訴えた。
戦争体験者がまだ生存している今、ホノルルに長岡の青少年を派遣する意義はとても深いと思う。
青少年(今回は5人)のホノルル派遣は「長岡市学生平和交流プログラム in Honolulu」によるものでこれで9回目。これまでに78人(引率含む)が参加。当初大学生、専門学校生、大学院生のみだったが、高校生にも拡大した。
ホノルル市議会議員の方たちからも、「ホノルル議会及びホノルル市は長岡との交流を非常に重要視している」との発言が相次いだ。
「山本五十六の出身地と真珠湾のある市が姉妹都市であることは、他の姉妹都市関係にはないパワフルな意義がある。世界に平和を発信できる力を持っている」と。
これは、長岡−ホノルルの青少年による平和交流がアメリカで高い評価を受けており、これまでの交流の積み重ねの成果だと感じている。
平和を希求することをタテマエと見る向きもあるだろう。しかし、平和こそが、人類が生存可能な地球を維持するために、何よりも本気で実現しなければならない最優先課題だ。
■交流プログラムの内容■
○事前に行う研修(戦災資料館・五十六記念館の訪問、平和についてのディスカッション準備など4~5日間)で長岡の視点で見た戦争の歴史を学ぶ
○ホノルル訪問でアメリカの視点で見た戦争の歴史を学ぶ
・真珠湾追悼式典出席
・ハワイ大学生や地元高校生との交流・平和についての意見交換
・黒焦げ水筒記念式典出席
・青少年シンポジウム
・戦跡見学(戦艦ミズーリ、アリゾナ記念館、真珠湾航空博物館(前太平洋航空博物館))
・パンチボウルでの献花
・イゲ州知事夫人面会
■参考■
平成28年12月6日 青少年平和シンポジウム「平和共同宣言」
私たち、長岡とホノルルの学生は、今日ここで出会った。
長岡、ホノルル両市は、戦争のきっかけとなった真珠湾攻撃から75年経った今、和解への道を歩み始めている。
私たちはそれぞれ異なった経験をしている為、相手を思いやることが大切である。私たちは、異なる国で生まれ、異なる教育を受けて来た。したがって、一人ひとり、和解に対する捉え方が違う。その為、和解を進めるにあたって、結果ばかりを求めるのではなく、その過程を重視し、慎重に交流を重ねて来た。私たちは、互いを尊重することで、長岡とホノルルの絆を築いたのだ。
両市の学生が直接話し合うことには大きな価値がある。なぜなら、異なる文化の存在を知り、それを理解しようと試みることは友好関係を築くことに繋がるからだ。友好関係の構築は、和解への一歩である。今日、長岡の学生は真珠湾で何があったのかを学び、ホノルルの学生は、自分自身とは違う意見に出会っても、自分の強い意志を持ち続けることを学んだ。悲しみや苦悩を共有した私たちは、互いの過去を許し合い、そして友となった。友の命は決して失いたくない。この友を思う気持ちが国境を超えて広がれば、世界の恒久平和に繋がるであろう。友情が思いをつなぎ、お互いの理解を深める。そうすることによって、私たちが愛し誇りと思う未来を築くことができる。
私たちに今求められているのは、平和の使者として、平和に向けて活動、行動する勇気である。それは、過去の出来事を許し合う勇気、自分の無知を認める勇気、異なる文化を受け入れる勇気、そして世界の平和のために手を取り合う勇気だ。今まで、多くの私たちの先人が、平和の使者として、様々なことに尽力して来た。これからは、次世代を担う私たちが彼らの思いを引き継ぎ、平和の使者としての一翼を担う。
私たちは互いに心を開き、先入観を持たず交流を続けていく。そして私たちが得た知識や経験を自分の周りの人たちへ発信し続ける。
私たちは自分の得意なこと、好きなことを活かして恒久平和を実現するためにそれぞれが活動し続けることをここに誓います。
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