いよいよ今週22日(土)、「米百俵プレイス ミライエ長岡」西館がオープンする。ミライエ長岡が建つ場所は 「米百俵の精神」の発祥地=国漢学校 の跡地で、長岡藩大参事・小林虎三郎が唱えた“人づくりはまちづくり”という教育第一主義を今に伝える歴史的な場所だ。このミライエ長岡西館に野本恭八郎尊思想の精神を受け継ぐ互尊文庫がリニューアル移転する。これまでにない新しいコンセプトで本を紹介する新しい図書館──イノベーションのまちNAGAOKA にふさわしい──の誕生だ。

今回は、ミライエ長岡の中心の一つとなる新しい互尊文庫をフィーチャーしよう。

 

※互尊思想…互尊独尊の思想とも言われ、元来、人間であればみな同等の価値があり、自己を尊重すべきであると同時に同じように他人も尊敬すべきである、という野本恭八郎の思想

 

大正記念長岡市立互尊文庫  本館は2階建て(1階に事務室、児童閲覧室など)、書庫は耐火性の高いレンガ造りの3階建て。当時としてはモダンな建築物だった。

 

 

 

■ 新しいスタイルの図書館


大正7(1918)年に長岡市初の公立図書館として開館した互尊文庫は、創設者・野本恭八郎の唱えた「互尊思想」から名づけられた。

野本恭八郎(互尊翁)は、実業教育こそ郷土発展の道であると考え、産業人の修養の場として互尊文庫を市に寄付した。法律・経営・産業など専門分野や教養本を収集し、多くの産業人が集まる談話室が設置された。情報と教養、そして議論や話し合いによって切磋琢磨することが、長岡の産業に新しい力を与えたのである。

 

4代目となる今回の新生互尊文庫は、互尊思想を受け継ぎながらも、そのスタイルは従来の図書館とは全く異なる。一番の特徴は、テーマ別に本が棚に並べられている──つまり、従来行われているようなNDC(日本十進分類法) による配架ではない──ことだ。

エリアテーマ:「くらす」「はたらく」「ひらめく」
選 書 テ ー マ:「食べる」「こどもたちのために」「自分らしく働く」など15テーマ

市民読者の興味や課題、潜在的な欲求や悩みにも触れるキーワードを用いて本棚を構築することで、眺めるだけでも楽しめる図書館になっている。テーマ別の選書はブックディレクター幅允孝さんにお願いした。来館していただければどなたも、そのキュレーションセンスになるほどと頷かれると思う。

さらに、ICタグシステムによる図書管理・約400席の座席・15タイトルのオンラインデータベース(これは県内最大規模)など、読書環境は大変充実している。無料Wi-Fiを完備しており、個人のスマートフォンや貸出用タブレットで、900タイトルの雑誌を読むこともできる。館内での会話や写真撮影の制限は極力行わず、蓋付きの容器であれば、飲食可能であり自由度も高い。


約4万冊の本がみなさんを待っている。ぜひ多くの市民からご利用いただきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 人づくりの図書館へ

私も視察してみて、とても開放的で、居心地のいい空間になったという感想を持った。
何より、わが国でもあまり例を見ないテーマ別の配架や書架のレイアウトによって、まるで「本の森」に入り込んだような気分になるのが新鮮だ。きっと、入館されたどなたもお気に入りの場所が見つかり、思いもよらない本に出会え、さまざまな刺激や喜びや発見の宝庫になると思う。

長岡市出身で天才プログラマーに認定された清水亮さんも、図書館のすばらしさを伝えている(詳細はコチラ)。図書館の魅力は、知識や情報に触れて学べる場であることだが、現代版互尊文庫はさまざまな人との出会いや交流を通して、新しいアイデアが生まれ、市民協働・起業創業・イノベーションが生まれる「ミライエ長岡」の中核施設だ。図書館によるイノベーションに期待しよう!

 

米百俵の精神と互尊思想を受け継ぎ、新互尊文庫を10年先、100年先の未来を創る人づくりの拠点として、皆さんと共に育てていきたい。

 

互尊文庫内にあるミライエハウス (ミライエ長岡3階) 小学生の創造力を育むワークショップのメイン会場

 

 

 

 

 

 

 


   関  連  記  事 :
 開かれた「場」をつくろ 図書館の進化、市民とともに   

                
 タイトル画像:
 
新しい互尊文庫(ミライエ長岡3階)

奥(北側)に向かって書架が高くなっており、見やすく配架されている