地方における積年の課題──

特色ある4大学1高専が立地し、全国から若者が集まっている。これは間違いなく長岡の“強み”である。 大学高専と 親和性のある地場産業も優秀だ。しかしながら、卒業生の多くが首都圏で就職する(市内就職の割合1割未満)。彼らの地元定着は、積年の課題だった。。。

ようやく今、この課題解決の足がかりが実現化してきた。

 

その1)「長岡ワークモデル 」

「長岡ワークモデル」とは:長岡で暮らしながら、首都圏にある本社社員として働く新しいモデル。待遇は本社採用・本社勤務と全く同じ。その実践者は NAGAOKAナガオカ WORKERワーカー だ。

1月20日(水)。長岡市は、音楽配信で有名な株式会社USEN-NEXT HOLDINGS(東京都品川区)と「長岡ワークモデルの推進に関する協定」を締結した。全国に先駆けてのことである。

記者会見でUSENゆうせんの執行役員が語った『協定に至った理由』は、
◎長岡には技術系の優秀な人材が豊か
◎東京から時間的に近く(新幹線で約90分)、利便性が高い
◎企業人や学生が日常的に交流できるコ・ワーキングスペースの整備をすでに長岡市が準備している──
などであった。

学歴不問で採用するとのこと。

 

 

その2) サテライトオフィス

また同日、システム開発を手掛ける株式会社ジョイゾー東京都江東区)社を「長岡市サテライトオフィス等開設促進事業補助金」の第1号に決定したことを発表した。
コロナ後の地方分散の流れは、着々と現実化している。

左から(株)ジョイゾーの四宮代表取締役、私、地元居住社員の星野さんと小林さん


ジョイゾー社のサテライトオフィスはJR宮内駅近くに開設される。
すでに長岡近辺に暮らしながらリモートワークする社員2名が勤務。同僚社員が訪れた際に、隣接する「醸造の町・摂田屋」はもとより、長岡観光をエンジョイしつつ仕事ができるワーケーションに使ったり、地元の学生やエンジニアが集まるコミュニティスペースとしても活用するという。

その3)「新しい働き方」を培う

ウイルス禍で「新しい働き方」「新しい日常」が定着していくことは間違いない。前述のワーケーションは、その好い例だ。
「長岡ワークモデル」はまだ試行段階であるが、市は、企業人や学生などが情報交換する“場”=地元企業との連携やビジネスチャンスが生まれる「長岡ワーカーのコミュニティ」をつくっていく。こういった“インフラ”は、今回の2社が共通して求めているものだ。

NaDeC BASEナデックベース(ながおか市民センター地階)

米百俵プレイス(仮称)」が、令和5年度から順次オープンする。

米百俵プレイスは、人づくり・産業振興の拠点である。
※現在、大手通坂之上地区市街地再開発事業として整備を進めている

米百俵プレイスの先行施設 NaDeC BASEナデックベース では、産学官協働のもと、市内大学の授業や講演会、ビジネスセミナー、起業教室など多彩な活動が行われ、大学・高専と企業がコラボする拠点へと成長してきた。真に自立したパーソナリティ同志がオープンに話し合ったら、どんどん進化するだろう。

米百俵の精神スピリットは、確固たる未来投資への意志に根ざしている(諦めのガマンではない)。ゆえに、長岡市が整備するコ・ワーキングスペースは単なる箱ものとは違う。ことを成そうとする人たちが、同志やソウルメイトにも出会うチャンスを見つけにくるところプレイスになってほしい。

長岡で育った若者や長岡で学ぶ若者が、長岡に住みながら大手ITアイティー企業やグローバル企業などで働くことを実現していきたい。地元企業への就職に加え、地方分散時代の働き方の選択肢が増えることで、ユーJジェイアイターンの増加が期待できるはずだ。

米百俵プレイス(仮称)の「交流サロン」は、コ・ワーキングスペースに最適

<参考データ>
■ (株)USENゆうせんNEXTねくすと HOLDINGSほーるでぃんぐす  概要
○本社所在地:東京都品川区上大崎三丁目1番1号
○代表者:代表取締役社長CEO 宇野 康秀
○資本金9,563万円 売上高1,931億円 従業員数4,865人(2020年8月現在)
○主な事業等
音楽配信などの店舗サービス事業の(株)USENをはじめ、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業、メディア事業の6つのセグメントで事業を展開(USEN-NEXT GROUP)。HD傘下23社の事業会社を統括。東京証券取引所第一部上場。

■長岡市と (株)USEN-NEXT HOLDINGSの協定項目
①長岡ワークモデルの推進
㈱ USEN-NEXT HOLDINGSは、関係のある首都圏のIT企業等と連携し、長岡ワークモデルを導入する企業誘致と人材採用に努める。
②人材のネットワーク化とコミュニティ形成
市は、NaDeC BASE等の市内コワーキングスペースを拠点に、多様なNAGAOKA WORKER が集い、ビジネスが生まれる場となるコミュニティ形成に取り組む。
③地元定着・UIJターン推進
市と㈱ USEN-NEXT HOLDINGSは、長岡で学ぶ学生に対し、長岡ワークモデルによる地元定着を呼びかけるほか、NAGAOKA WORKER 導入企業と連携し、首都圏からのUIJターンを推進する。

■(株)ジョイゾー  概要
○本社所在地:東京都江東区木場6-6-2
○代表者:代表取締役 四宮靖隆 
○資本金:200万円 従業員数:18人
○主な事業等
サイボウス株式会社の「kintone(キントーン)」をベースとしたシステム開発と連携サービスを提供。サイボウズ公認SI(システムインテグレーション)パートナー。


長岡市サテライトオフィス等開設促進事業補助金
長岡市内に本社・支社等を有しない企業がBCPに基づいて長岡市内にサテライトオフィス等を開設する際に、オフィス改修費、通信環境整備費やオフィス賃借料、サテライトオフィス等での雇用に要する経費など最大で1社あたり500万円を補助。今年度の募集期間は3月15日(月)まで。

  関  連  記  事: サテライトオフィス誘致と 分散の受け皿(ピンチはチャンス)  ながおかスポーツコンパス 

 タイトル画像: (株)USENゆうせんNEXTねくすと HOLDINGSほーるでぃんぐすの住谷執行役員(オンライン参加)とともに協定書にサイン