新潟県の生産年齢人口 は、2020年の約122万人から2040年には約68万人と激減すると推計されている。これは危機的な数字だ──まさに長岡 の産業界にとっても、DX推進と外国人材の確保が急務となっているのである。

長岡市では「高度外国人材の活用・定着」を図るため、産官学金による長岡グローバル人材活躍推進協議会を設立し、市内企業への高度外国人材の受け入れを進めてきた。
今月、協議会のプロジェクトの一環として、モンゴル高専生による市内企業のインターンシップを初めて実施したので、その内容を紹介したい。

 

モンゴル高専生インターンシップオープニングレセプション(3月2日)

 

 

■なぜ、モンゴルか


モンゴルには日本式の高専制度を取り入れた3つの高専(モンゴル国立科学技術大学付属高専 / 工業技術大学付属モンゴル高専 / 新モンゴル学園高専)があり、長岡高専を含む全国の10高専が教員派遣などで支援している。日本語教育も充実しており、日本での就職を希望する学生も多い。
また、モンゴル3高専の設立に尽力したモンゴル国の教育科学大臣が長岡技術科学大学の卒業生であるという縁もあり、教育分野におけるモンゴルと長岡市のゆかりは深い。

そこで、長岡高専を運営主体として、モンゴル高専生のインターンシップ事業をスタートさせた。外国の高度人材を活用を目指す市内企業を支援するのがねらいである。今年1月にオンラインインターンシップで受け入れを希望する企業が学生を選考し、学生の人物像や日本語能力をチェック。選考を通った学生と企業とのマッチングを経て、長岡でのインターンシップを迎えた。

今回が初めてとなる現地インターンシップの参加者8名を受け入れた企業はNPO法人長岡活性化協会NAZEナゼの会員企業など8社だ 。

学生名 所属校・学科・学年 受け入れ企業名 ンターンシップ内容
  グンダライさん  新モンゴル学園高専
 機械学科 5年
 (株)プレテック・エヌ  機械加工の実習
  ザヤチメグさん  新モンゴル学園高専
 土木建築学科 4年
 (株)ダイチ  斜面防災の基礎知識研修
 設計業務体験
  タミルさん  新モンゴル学園高専
 電気電子学科 4年
 ケミコン長岡(株)  製造ライン体験
 プログラミング体験
  ツェルメグさん  新モンゴル学園高専
 電気電子学科 4年
 コンドウ印刷(株)  実務研修、他社見学  (異業種市内企業)
  トゥブシンバヤルさん  新モンゴル学園高専
 電気電子学科 4年
  (株)イートラスト  電気・通信等各部署を
 周り就業体験
  デルゲルジャルガルさん モンゴル国立科学技術大学付属高専 電気電子学科 4年  (株)スプリックス  WEB開発
  バドゥドゥラグさん モンゴル国立科学技術大学付属高専 電気電子学科 4年  マコー(株)  開発部門での実習
  ジャンバルサンジドさん 工業技術大学付属
モンゴル高専機械学科 4年
 北陽精工(株)  CAD実習、図面の読み取り、金属製品製造

 

 

3月2日(木)から14日(火)まで各企業でインターンシップを実施し、学生たちは担当社員の指導を受けながら、Webページの制作やプログラミング、工作機械の操作などに従事した。

受け入れ企業からは、「学生が想定していたよりも優秀」という声がほとんどで、日本語能力を含めたコミュニケーションも問題なく、「ぜひ採用したい」という企業もあった。また、学生たちの中には、「すぐに就職したい」「日本にまた来たい」という学生もおり、企業も学生も満足度の高いインターンシップ事業となったことを大変うれしく思う。今後の展開に大きく期待したい。

 

 

■長岡の文化に触れる


今月11日(土)、長岡でのインターンシップに参加してくれたモンゴル高専生8名に、長岡で働くことや暮らすことへの理解をより深めてもらうため、インターンシップ参加企業の皆さんとともに交流会を開催した。

長岡市国際交流センター「地球広場」タニタカフェで親睦を深めた後は、寺泊地域で日本海や魚のアメ横(寺泊魚の市場通り)を見学。参加した学生のうち5名は生まれて初めて見る海だったことから、大感激していた。その後、山古志地域で、この日最後となる「古志の火まつり」を見学、高さ25mの日本一の「さいの神」や雪中花火を堪能し、雪国ならではの文化にも触れてもらえた。

 

学生たちの長岡の印象は「景色が美しい」とのことだった。海や山に囲まれた自然の魅力にあふれる長岡を大いに気に入ってくれたようだ。ぜひ、今回参加できなかった同級生や後輩たちに長岡の魅力を伝えてほしいと思う。

 

モンゴル高専生の山古志地域視察ツアー(3月11日)
モンゴル高専生の寺泊地域視察ツアー。初めて見る海に一同大感激(3月11日)

 

 

 

 

■外国人材受け入れの拠点へ


モンゴルの方たちは人的ネットワークを重要視し、その土地に知り合いがいるか、コミュニティがあるかが大切だと聞いている。現在、市内には2,400人の外国人が暮らし、そのうち約400人は留学生で、モンゴル人在住者も70人いる。

長岡には、外国人市民の生活相談や支援、交流できるコミュニティの拠点「長岡市国際交流センター」があり、外国人を受け入れる文化(多文化共生)を育んできた実績とノウハウがある。その上、長岡にはものづくり企業が集積しており、その技術は世界に誇るべきものだ。学んだ知識を活かし、技術を習得したいという学生にとっては最適な環境だと思う。
こうした受け入れ環境のメリットを最大限に活かして、モンゴル高専生の受け入れ人数や参加企業の拡大を図り、市内企業への就業につなげていきたい。

人口減少、少子化の波に呑み込まれて右往左往しないよう、着々と外国人材の導入と定着を進め、長岡がモンゴル、ベトナム、インド、中国などの外国人材受け入れの拠点となることを目指していこう。

 

 


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 外国人人材 ベトナムの高度人材 多様性の力

                 
 タイトル画像:
 ケミコン長岡(株)で業務を行うタミルさん(新モンゴル学園高専4年)
令和5年3月10日(金)