今月1日(月)、長岡市歴史文書館れきしぶんしょかんがオープンした。

互尊文庫内にあった文書もんじょ資料室を、旧サンライフ長岡の建物に移転・リニューアルオープンしたこの歴史文書館は、長岡の歴史文書(古文書、歴史公文書など)の収集・研究・保存の新たな拠点となるものである。温故知新=先人の歩みを知って新しい発見に出会う──蓄積された人類の英知は公的財産(パブリックドメイン)だ──。
文書を研究することによって、未来の世代がどのような歴史評価や新しい知見を生むかは、だれも予想できない。歴史文書の収集・研究・保存・公開は、長岡市の使命だと考えている。

今回は、新たに開設した長岡市歴史文書館の紹介である。

 

令和5年7月1日(土)長岡市歴史文書館 開館式テープカット

 

 

■ 市史編さん室→文書資料室→歴史文書館へ

市史編さん室 (昭和61〜平成9年度)は、旧市役所柳原分庁舎(平成29年度解体)内に設置され、市域の歴史文書(歴史公文書、古文書など)を調査して、『長岡市史』全8巻を刊行している。

文書資料室 (平成10〜令和4年度)では、旧互尊文庫2階の閲覧室で市史編さん室が収集・保存した歴史文書を公開するとともに、市史双書の編集や古文書解読講座などの普及活動を行ってきた。中越大震災や市町村合併、新型コロナウイルス感染症といった大きな社会的変化の中で、資料所蔵者、長岡郷土史研究会、資料整理ボランティアの皆さんとまさに市民協働で、多くの歴史的資料の保存・活用を進めてきた。 

歴史文書館は、こうした市史編さん室12年、文書資料室25年、計37年の地域史研究と資料保存の蓄積を受け継ぐ長岡市のアーカイブであり、収集した資料をいつでも公開できる便利な“引き出し”のような施設である。

1階に閲覧・展示室、図書室、講座室を中心とする利用者エリア、2・3階に歴史文書の収蔵エリアを整備し、面積は文書資料室の約2倍となり、駐車場も十分確保されている。これまで以上に本気で郷土の歴史に関する文書の保存・活用や、調査・研究などの相談にも対応できるようになった。

利用者からは「館内が広くて居心地が良い」「資料の閲覧がしやすい」「駐車場が広くて良い」など、評判は上々だ。ぜひみなさんから気軽にご利用いただきたい。

 

閲覧・展示室内にある常設展コーナー
図書室 県内の全市町村史ほか郷土史関係の図書などが揃っている

 

 

 

 

 

 

 

歴史文書館の新たな魅力


歴史文書館には、常設の展示コーナーが設けられていて、現在、新たに発見された小林虎三郎の晩年の日記が初公開されている。

虎三郎が明治10(1877)年8月24日に亡くなる直前、療養していた伊香保温泉(群馬県)で書いた「伊香保日記」は、7月14日から28日の分までが知られていたが、公開中の日記は、これまでの分のほかに7月29日から8月7日分が含まれている。

特に7月31日の日記には、三島億二郎が見舞いに訪れたことが記され、友人の三島と故郷・長岡の近況を語り合う様子が興味深い。虎三郎の晩年の様子が分かる史料は少なく、この日記は貴重だ。7月29日(土)まで公開しているので、多くの方からご覧いただきたいと思う。

なお、展示コーナーでは、今後もさまざまな史料を公開する予定なのでご期待いただきたい。

 

 

常設展で初公開中の小林虎三郎「伊香保日記」(写真右)〜 明治10(1877)年7月31日には、「友人」三島億二郎が湯治中の虎三郎を見舞いに訪れたことが記されており、郷里長岡の近況を語り合う2人の様子がうかがえる。写真の左は弟・雄七郎「浴余漫筆」

 

 

■ 長岡の歴史を学び、伝え、究める施設へ

長岡市は、戊辰戦争、長岡空襲、自然災害によって多くの文化遺産を失ってきた。
歴史文書館では、戦禍や災害をくぐり抜け伝えられた貴重な文書をはじめ、約15万6,000点の歴史文書(古文書、災害復興文庫など)を保存している。館外でも約6万5,000点を保存しており、市全体では約22万点に上る。これらの史料をきちんと残し、長岡スピリッツと郷土の文化遺産を未来に伝えていこう。

オープンを記念して開催した「第1回れきぶん講演会」は、受付開始から2日で定員に達した。古文書解読講座もすぐに定員に達するなど、市民の皆さんの郷土史に対する関心の高さや、歴史文書館への期待を感じているところだ。

 

今後は、中央図書館科学博物館長岡戦災資料館河井継之助記念館をはじめ、学校、コミュニティセンター等と連携し、講演会や企画展など、郷土の歴史を学ぶ機会を広く提供していく。

歴史文書館をNAGAOKA市民の皆さんと一緒に育てていきたい。

 

 

<参考データ>

長岡市歴史文書館 施設概要
 ○所在地  長岡市長倉西町458-7
 ○開館時間 午前9時~午後5時
 ○休館日  日・月曜日、祝日、年末年始
 ○諸室面積 計905㎡
  ・1階:利用者エリア(427㎡) 閲覧・展示室、講座室、 図書室、事務室
  ・2・3階:収蔵エリア(478㎡)書庫、作業室
  ※館内に約15万6千点の歴史文書(古文書、災害復興文庫など)を保存、
   他施設に約6万5千点を保存し、計約22万点の歴史文書を公開
 ○連絡先  電話:0258-36-7832 FAX:0258-37-3754

 

 


   関  連  記  事 :
 与板の歴史、よいたの宝 長岡の縄文文化を世界に発信 峠 最後のサムライ 

                
 タイトル画像:
 長岡市歴史文書館の外観