9月末をもって、国の「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が全面解除された。市民全員の協力で、 長岡市内における新型コロナウイルス の感染状況は落ち着いている。
もちろんまだまだ感染防止を継続しなければならないが、ここは身近なところで、秋の行楽シーズンを楽しみたいものだ。遠出しなくても、長岡には個性あふれる博物館や美術館があり、芸術の秋に合わせた企画展も開催されている。ご紹介しよう。
■世界で人気のアートを紹介 栃尾美術館
栃尾美術館は、旧栃尾市の市政40周年を記念してつくられた美術館だ。上杉謙信ゆかりの栃尾城址を借景に、栃尾の街を一望できる高台に建っている。2つの展示室で、郷土ゆかりの作家の作品を展示する所蔵品展と、企画展が開催されている。
現在、企画展では━━
人気絵本シリーズ『リサとガスパール』が紹介されている。フランス生まれの作家夫妻が手がけるこの絵本シリーズの企画展は━━原画や書き下ろしの絵画など、約140点が展示されていて━━見ごたえ十分。幅広い年代のファンや小さな子ども連れの家族に好評だ。
会期は11月21日(日)まで。栃尾美術館へは長岡地域からもトンネルを越え、たくさんの方が出向いている。今回の企画も、ぜひご覧いただけたらと思う。
■城下町の歴史文化を伝える 与板歴史民俗資料館(兼続お船ミュージアム)
与板歴史民俗資料館は、平成21年(2009) の大河ドラマ『天地人』の主人公 直江兼続とその妻 お船の方や、与板で生まれドイツで修行した日本初のビール醸造家 中川清兵衛など、人物に特化した展示が特徴だ。
これら常設展示のほか、豊かな歴史・文化を持つ与板ならではの特別展もご覧いただきたい。
10月5日(火)からは「与板ゆかりの画家 三人展」が開催される。日本画壇の重鎮 三輪晁勢、大矢黄鶴(長岡市名誉市民 大矢紀画伯の父 )、洋画家 金子保の見ごたえのある大作約20点が展示される。
■終焉の地で清貧の心に触れる 良寛の里美術館
良寛ゆかりの地である和島地域には、今年創立30周年を迎えた良寛の里美術館がある。
良寛とその愛弟子 貞心尼の書や詩歌を中心に、ゆかりの文人 墨客の作品も展示されおり、今も多くの人々に愛される良寛の人柄に心ゆくまで触れることができる。
いま、良寛没後190年を回顧して「晩年の良寛遺墨選展」を11月7日(日)まで開催している。良寛が晩年を過ごした木村家所蔵の書状など、普段は公開されない貴重な品々が約40点並ぶ。
長岡のゆかりの詩人でフランス文学者の堀口大學は、良寛の書について、
「そこには文学があり、そこには美術があり、そこには人生観がある」
と、その魅力を表現している。
■日本海に浮かぶ魚の城 寺泊水族博物館
海のまち寺泊に水族館が誕生して、今年で90年。
昭和6年(1931)、上越線の全線開通を記念して開催された博覧会に合わせて開館した。現在の純白八角形3階の建物は、昭和58年(1983)に建て替えた3代目である。
世界各地の珍しく貴重な魚たち━━ その数は約300種 10,000点━━をたのしく鑑賞することができる。
また、1階「大回遊水槽」で行われるダイバーによる餌付けショーは大人気で、エサを持って水槽に入ったダイバーに集まる魚たちの群れは迫力満点だ。
10月31日(日)まで「寺泊水族館90年のあゆみ」を展示している。寺泊水族館の歴史を振り返る企画展だ。今秋は、寺泊水族館のディープな歴史と魅力を楽しんでみてはいかがだろうか。
■行ってみて見て、長岡の魅力
長岡には魅力がいっぱいある。特に合併後は、各地域にバラエティに富んだ特徴ある歴史と文化が継承されていて、魅力満載のまちになった。
今回紹介した美術館や博物館からさらに少し足を延ばせばその地域の食や名産、自然に触れることができるだろう。“良寛” でいえば、和島だけでなく、寺泊や与板、旧長岡にも史跡があり、出雲崎・分水(燕市)へと楽しみのルートは延びていく。
ところで、道の駅「ながおか花火館」がオープン1年を迎えた。
コロナ禍にもかかわらず、この1年で130万人の来場があった。しかしながら、来てくれた人が長岡のほかの魅力にも触れてくれたか?というと━━、それはこれからの課題、というのが正直なところだ。
各地域の見どころをリンクさせ、観光客や交流人口の増加につなげていきたい。
関 連 記 事: モウイッテミタ? ながおか花火館
タイトル画像: 栃尾美術館で開催中の「リサとガスパールのおもいで展」のチラシ