長岡は、ハワイ真珠湾攻撃を指揮した山本五十六連合艦隊司令長官の出身地であり、ホノルル市はその攻撃で大きな被害を受けた。一方、 長岡もア メリカ軍の空襲により1,489人の尊い命が失われるなど、甚大な被害を受けた県内最大の戦災都市である。

この両市は平成24年(2012)に姉妹都市となり、これまで市民の平和交流や青少年の教育交流を進めてきた。

平成26年からは、毎年12月7日(日本時間8日)にホノルル市の真珠湾で開催される式典に、日本の自治体で唯一、長岡市が招待されている。

今回は、ホノルル訪問(真珠湾式典への参列)についての報告である。

■真珠湾で平和への決意を示す

12月7日午前7時50分(現地時間)から、ホノルル市の真珠湾国立記念公園で「真珠湾追悼式典」が開催され、長岡市議会の池田和幸議長と共に出席した。また、今年は戦後80年の節目であることから、6年ぶりに市内高校生や市出身の大学生など9名がホノルルを訪問し、式典にも出席した。

この式典の2日前には、トランプ大統領は12月7日を「全国真珠湾追悼記念日」と宣言。アメリカ国民に対して、「常に警戒を怠らず、私たちの自由を脅かすいかなる敵をも殲滅(せんめつ)する準備」をしておくように求め、「攻撃の犠牲になった人々に敬意を表し、半旗を掲げること」を要請するなど、緊張感が漂う中で当日を迎えた。

式典は米海軍などが主催し、出席者は約3,000人。真珠湾攻撃開始時刻の7時55分に合わせて黙祷し、約2,400人の死者を悼んだ。現在、真珠湾攻撃を経験したアメリカ側の存命者は12人と聞いていたが、今回参列した方はいなかった。
主催者あいさつとして、国立公園局責任者・トム・レザーマンさんは、「長岡市長をはじめとする長岡市訪問団の参列に感謝する。ホノルルへの訪問は深い友情と平和への取り組みが反映されたもの」と述べた。

長岡市とホノルル市は、今では延べ2,000人を超える双方の市民が往来し、友好を深めている。攻撃の舞台となったホノルル市を訪れ、式典に参列することは、今なお戦禍により尊い命が失われている国際情勢にあって、平和を願う長岡市民の思いを国や世代を超えて発信できる貴重な機会であると考えている。
戦後80年の節目に、次の世代を担う長岡の青少年と共に市民の平和への決意を示すことができたことを大変意義深く感じている。

翌日の12月8日には、真珠湾ヒッカム統合基地内のフォード島で開催された「日米共催真珠湾攻撃戦没者追悼式典」に参列。この式典は、真珠湾攻撃による死者約2,400人と日本軍人65人を追悼するために、平成26年(2016)から実施されているもの。当日は、イゲ前ハワイ州知事、ブランジアーディ・ホノルル市長、レザーマン国立公園局責任者をはじめ、米軍関係者、退役軍人団体、日系人団体など、全体で約90名が参列した。

■未来を担う若者が平和交流

今年、戦後80年の節目に合わせて、学生平和交流プログラムを実施し、市内の高校生や大学生9名がホノルルを訪問した。このプログラムは平成23年(2011)から令和元年(2019)まで毎年実施していたが、新型コロナウイルス感染拡大により中止して以来、6年ぶり10回目の実施となった。

今回は9人が4日間の日程でホノルルを訪問。日系人で編成された米陸軍の「第100歩兵大隊」の記念館やハワイ大学などで、日系人や大学生と交流した。また、前述した「真珠湾追悼式典」にも参列。

式典後、参加した学生たちからは、「戦争を仕掛けた側の国の人間として見られていると覚悟して臨んだが、和解と未来への希望を強調する場だった」「長年の努力で築かれた関係を継ぎ、交流と平和の対話を広げたい」など、しっかりとした感想を述べていた。いずれの学生からも「長岡空襲と山本五十六につながる長岡出身だからこそ、平和について学び発信したい」という強い思いを感じることができ、これまで取り組んできた平和事業や国際交流事業の成果でもあると再認識した。

新年の1月には、長岡市の中学1年生15名がホノルルを訪問し、戦跡地見学や学生交流を行う予定だ。こうした事業をきっかけに、多くの青少年が、長岡はもちろん、日本そして世界で活躍する国際人として大きく羽ばたいてくれることを期待している。

   関  連  記  事 :  ホノルル長岡姉妹都市 10周年 30年続く青少年の国際交流 ホノルルとの経済交流 平和を架ける

 

 タイトル画像 : 

日米共催真珠湾攻撃戦没者追悼式典
主催者を代表し、在ホノルル日本国総領事館・長徳総領事と米ハワイ方面海軍・コリンズ司令官が献花