先日、記者会見で令和7年度当初予算案を発表した。キャッチフレーズは、 「都市としての拠点性を高め、選ばれるまち長岡の礎を創る予算」だ。
国内外の政治経済情勢は不透明感を増し、ますます予測が困難な時代になってきた。
日本の30年に及ぶ低成長=デフレの時代はようやく終わりを告げたが、今後20年で生産年齢人口は2割以上減少すると見込まれ、新たな経済社会への転換が求められている。
国は、新しい地方創生の形として、多極分散型の多様な経済社会の構築を掲げた。長岡市は中越圏域の中心都市として、人の流れや企業の拠点分散の受け皿となることで、「選ばれるまち長岡」の実現を目指していく。
今回は令和7年度の新年度予算案の紹介である。
■令和7年度予算案の重点施策
一般会計の総額は1,452億6,500万円で、前年度から8.4%の増額編成とした。特別会計と企業会計を合わせた総予算は2,319億8,370万円で、前年度に比べ5.5%の増となった。
重点施策は、次の5つの柱で構成した(詳細はコチラ)。柱ごとにピックアップしてご紹介しよう。
Ⅰ. 安全・安心で誰にも優しく寄り添う市民協働のまちづくり
たらい回しのない長岡の救急医療体制の堅持や、介護事業所等に対するテクノロジー導入支援の拡充により、医療・福祉をさらに充実させるとともに、困難を抱える人への支援を強化する。
また、市民ぐるみの防災体制を強化するとともに、誰もが住み慣れた地域で安心して住み続けられるよう、生活環境の維持・確保に取り組んでいく。
- 中越圏域における救急医療体制の維持 3億9,000万円【拡充】
- 市内基幹3病院の医師の確保など、医療体制の維持に向けた支援を拡充
- 介護テクノロジー導入の支援 1,850万4千円【拡充】
- 補助金対象機器を追加、DXや事業改善に取り組む事業所を伴走型で支援
- ひきこもり相談・支援体制の充実 1,052万円【拡充】
- 居場所支援の開催場所と回数を増加
- 浸水対策の強化 7,600円【新規】
- 学校町雨水貯留施設を整備、千秋が原ポンプ場の排水機能を強化
- 町内会の支援 5,416万1千円【新規】
- 物価高騰の影響を受ける町内会の活動を支援
- 豪雪地帯の除雪支援 1,150万円【新規】
- 高齢者世帯を対象とした玄関先除雪をモデル地区で実証実験


Ⅱ. 子どもや若者の育ちと学び、夢への支援
引き続き「子育て日本一」に向け、発達支援の「長岡モデル」と子育てしやすいまちへ向けた体制を整備する。また、学校教育の環境整備とともに、「米百俵の人材育成」で学校外の学びの場も充実させ、子どもの学びをしっかりと支えていく。
- こどもの発達相談・サポート体制の充実強化 1億2,069万2千円【拡充】
- 発達支援アドバイザーを増員
- 特別支援教育の充実 4億8,553万5千円 【新規】
- 発達支援アドバイザーを配置、インクルーシブ教育ソフトを導入
- 配慮が必要な子どもへの支援体制の充実 1億9,310万1千円【拡充】
- 受入れを拡大する私立保育園等への支援を拡充
- 児童クラブ・児童会館のサービス向上 8億1,841万7千円【拡充】
- ICT活用で利便性を向上、安全・安心なサービスを提供
- 休日の中学校部活動の地域移行に向けた環境の整備 6,021万4千円【拡充】
- 経済的困窮世帯や遠距離参加者の負担を軽減
- ミライエ長岡で多様な学びの場の提供 1億7387万円 【拡充】
- 中高生向けのAIやものづくりをテーマとした学校外の活動など
- 不登校児童生徒の支援体制の充実 2,045万4千円 【新規】
- 校内教育支援環境を整備し、校内教育支援センター支援員を配置


Ⅲ. イノベーションとDX支援による産業のさらなる成長
地域のDXを推進するとともに、循環型社会に対応した新産業の創出を図っていく。さらに、物価高騰等の環境変化に対応した地域経済の下支えや、産業界の多様な人材の確保と人手不足対策にも力を入れる。
- AI活用による産業界のイノベーション推進と地域活性化 1,062万円【新規】
- ながおかDXセンターでAI社会実装など
- ミライエ長岡における産業支援機関との連携体制の構築 437万1千円【新規】
- 地域企業のイノベーション創発を支援
- 長岡市カーボンニュートラルチャレンジ戦略2050の推進 3億2,009万円【拡充】
- 太陽光発電市場の参入事業者を育成
- 中小企業の資金繰りの支援 15億3,935万5千円【拡充】
- 物価高騰対応制度融資の信用保証料の補助率を引き上げ
- 働く女性の支援 1,212万8千円【新規】
- テレワークで働きたい女性や女性起業家のさらなる成長を支援
- 企業のデジタルワーカーの活用支援 844万5千円【新規】
- テレワーク導入を促進する企業を伴走型で支援
- 外国人人材受入環境の整備 2,386万1千円【拡充】
- 外国人材マッチングプラットフォームの相談窓口を試行開設
- 地元就職、U・Iターン就職の促進 2,084万4千円【拡充】
- 首都圏大学を卒業し、市内就職する学生の移転費用を支援


Ⅳ. 長岡の歴史・魅力の発信と地域を元気にする活動の推進
長岡空襲と終戦から80年にあたる今年。史実と平和の尊さを後世に伝える取組に力を入れるとともに、長岡花火やふるさと納税を契機とした観光プロモーションをはじめ、観光資源の魅力向上により、インバウンドや関係・交流人口の拡大につなげる。
- 長岡空襲・戦後80年事業および平和事業の実施 2,266万3千円【新規】
- 空襲殉難者追慕の集い、特別企画展、長岡空襲の史実の伝承を強化
- 地域一体となった持続可能な観光地域づくりの推進 3,075万円【新規】
- 長岡ファンの拡大に向けて、ファンクラブサイトを構築、観光プロモーションを展開
- 通年観光による長岡の認知度向上 2億1,527万2千円【新規】
- 佐渡との交流を強化、ながおか米百俵フェスの開催を支援など
- 新たなスポーツの推進 2,022万4千円【新規】


V. 効率的で持続可能な行政運営
社会経済情勢の変化に対応し、持続可能な行政運営を行うため、AIなどの先端技術を積極的に取り入れながら、行政サービスの質の向上と行政事務のさらなる効率化を図っていく。
- 次期「持続可能な行財政運営プラン」の策定に向けた調査・検討 31万3千円【新規】
- AIの行政事務への積極的な活用と定着 1,375万円【拡充】
- 生成AIツールの日常的な利用促進やさらなる活用に向けた事業拡大など

今年は、市町村合併の開始から20年の節目の年でもある。今こそ、長岡のまちづくりの原点である「市民協働」と「米百俵の精神」とに立ち返り、オール長岡で一致団結し、明るく輝く未来の礎をつくっていきたい。
令和7年度当初予算案は、3月4日(月)に開会した長岡市議会3月定例会で審議されている。
関 連 記 事 : 明るい未来へまっすぐ “6年度予算案”
タイトル画像 :
信濃川から長岡駅前を臨む(令和7年2月28日撮影)