脱炭素の循環型経済を目指す「バイオエコノミー」への注目が年々高まっている。 これは、生物資源(バイオマス)バイオテクノロジーを活用し 、持続可能な循環型の経済発展を目指すもので、地球環境の変動に伴う社会問題の解決も期待されている。

2009年に経済協力開発機構(OECD)がその概念を提唱し、日本においては、政府が2019年にバイオエコノミー社会実現に向けた「バイオ戦略」を策定。2024年には、具体的な施策を盛り込んだ「バイオエコノミー戦略」へと改訂された。現在は、「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現する」とし、国内外で100兆円規模の市場創出を目標に掲げている。

長岡市は、2021年6月に内閣府の「地域バイオコミュニティ」の認定を受けて以来、産官学金による「長岡バイオエコノミーコンソーシアム」でさまざまな取り組みを進めてきた(過去のブログ参照)。

コンソーシアム立ち上げからまもなく5年が経ち、会員数は27から70(市内企業33、市外県外企業22、教育・機関・行政15)に拡大。これまで多様な立場・知見を結びつけるバイオサロンやシンポジウム、産業成長に向けた視察ツアー、「生ごみ由来の資源循環型肥料(寿メタンバイオ肥料)」の配布(過去のブログ参照)などの活動を行ってきた。

今回は、長岡バイオエコノミーの新事業を紹介したい。

■成分分析によるマッチング促進

昨年9月、「長岡バイオエコノミーコンソーシアム」は、住友化学(株)と連携し、素材の「成分分析」「検索データベース」「取引先開拓(マッチング)」の3つの機能を持つ日本初のデジタル・プラットフォーム「Biondo®(ビオンド)」のシステムを活用した事業を開始した。

この事業のねらいは、酒カスやモミ殻、果実の枝葉、魚のアラなど、廃棄されている“資源”の成分を明らかにして、活用の道を見出すことにある。

同社は世界トップクラスの分析技術を有する。200種類以上の成分を網羅的スクリーニングし、その含有量のほか、「疲労感を軽減する」などの機能性も「見える化」する。結果は「Biondo®」に登録され、資源の活用や事業化を模索する同社の広いネットワークで集まる多くのユーザーとのマッチングにつなげていく。

Biondo®の分析実績

【分析完了】酒カス、米ヌカ、モミ殻、おから、乾燥おから

【分析中】チョウザメの頭、チョウザメのフィレ、チョウザメの稚魚(雄)、ワニエソ

酒カスの分析を依頼した吉乃川(株)は、酒カスの需要を広げたいと考えており、今回の分析により、新しい価値や用途が見つかることを期待している。ぜひ、「実はこんな資源がある」という市内企業から分析申込みをしていただき、新たなビジネスにつなげてほしい。

この事業連携をきっかけに、住友化学(株)のバイオ炭(触媒炭化)の研究グループから「長岡と連携したい」と打診があり、1月22日(木)に開催した「第9回バイオサロン」では同社の研究者が「Biondo®」に加え、バイオ炭の取り組みを市内企業等14社・機関に紹介するなど、新たな広がりも見せている。

■バイオを入口として新産業の創出へ

「地域バイオコミュニティ」の認定から5年。長岡バイオエコノミーコンソーシアムを中心に、長岡のバイオの輪が着実に大きくなり、動きも活発になってきた。

今年度の主なトピックス

  • 生ごみ由来の資源循環型肥料(寿メタンバイオ肥料)は、昨年度の1.6倍となる約55トンを配付
  • 昨年8月の学生向けバイオ関連企業ツアーは、大学生に加え、中高生や留学生計16名が参加
  • 昨年10月、アジア最大級の「BioJapan」にコンソーシアムに加え、市内企業が初の共同出展。官民一体となって企業と都市の魅力をPR
  • 昨年6月、産学官連携で米を軸とした資源循環に取り組む「N.CYCLEプロジェクト」が内閣府の第3回総合知活用事例に認定
  • 補助額が最大1,000万円の「長岡市バイオ革新的ものづくり創出補助金」を活用した(株)プラントフォームは、新たなアクアポニックスシステムを特許申請

今年11月には、米百俵プレイス東館が完成し、ミライエ長岡がフルオープンを迎え、長岡市商工部、観光・交流部、長岡商工会議所をはじめ、4大学1高専、金融機関、国際交流センターなど、さまざまな分野の団体・機関や専門人材が集積する。

ミライエ長岡西館5階には、長岡市と産総研長岡技科大が開設した「長岡・産総研 生物資源循環 ブリッジ・ノベーション・ラボラトリ―(NAGAOKA・AIST-BIL)」(過去のブログ参照)もある。

ミライエ長岡を産業振興の拠点として、産学官金が密接に連携した産業育成「長岡版エコシステム」をさらに増強させていきながら、バイオを入口として新産業の創出につなげていきたい。

今年をバイオ飛躍の年にしていこう!

   関  連  記  事 :  脱炭素社会へ アクセルON! バイオ肥料で完結《生ごみの資源循環》 資源循環を進めよう!

 

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バイオ産業の成長・創出を促進する「長岡版エコシステム」