1979年に世界で初めてスウェーデンが体罰を禁止した。 このあと、児童(子ども)の権利に関する条約 ※1990年発効 に基づき、58か国 ※2019年10月末 現在 が子どもに対する体罰を法律で禁止した。
同条約を日本が批准したのは、先進国としてはかなり遅い1994年だった。
条約に基づき設置された子どもの権利委員会(独立した18人の専門家で構成)は、たびたび、体罰禁止の法制化と啓発キャンペーンを行うべきと勧告してきた。
条約批准から四半世紀がたつわが国でも「しつけ」を名目にした虐待が後を絶たず、虐待の顕在化にともない、近年、立法によるさらなる対応が模索されてきた。この結果、親権者による体罰禁止や児童相談所の機能強化を盛り込んだ改正児童虐待防止法、改正児童福祉法が公布、順次施行され、この4月から体罰禁止を含む大部分が発効する。
長岡市においても虐待数の増加傾向は同じである。
※ 下表⇩と要保護児童等の相談状況参照
児童虐待は、1身体的虐待2性的虐待3ネグレクト(育児放棄)4心理的虐待に分けられ、重複も多い。家庭など閉じられた所で起こる問題は、表に出にくく、援助や問題解決が難しい。自治体 -児童相談所 -学校(保育施設) -地域 -民生児童委員 -医療機関 -警察などのネットワークで支援し、そのうちのどこかで拾えるよう、さらには分担連携して対応することが重要だ。
長岡市は、子ども家庭センター内に「長岡市要保護児童対策地域協議会」を設置し、医療・保健・福祉・教育など関係機関とつながり、地域ぐるみで児童虐待の防止、早期発見・早期対応、再発防止に取り組んでいく。
ところで、市民のみなさんは、こんな全国データご存じだろうか?
下の表の赤枠にご注目を──
私が「おっ」と思ったのは、第一通告者の13%が近隣・知人であるという事実。これは、警察(50%)に次ぐ第2位実績である。
児童福祉法は、要保護児童を発見したら児童相談所などに知らせること──これを、国民の義務としている。
さらに、対象を「虐待を受けた児童」から「児童虐待を受けたと思われる児童」に改めた(H6年児童虐待に係る通告)ため、救える機会が広がったのではないか。
先に述べたとおり、虐待の事実は隠される。問題を家族内で解決することは99%不可能だ。子どもとその家族が悪循環から抜け出せるよう、地域社会が支援する虐待防止のためのネットワークと市民協働の環境をつくっていきたい。
関 連 記 事 : 虐待防止をネットワークで2
タイトル画像: 市内の柿川で子育てするカルガモ母子
成鳥になれる赤ちゃんカルガモは3分の1程か….