高須正和さんが、長岡ものづくりフェアについて、日経ビジネスに紹介記事を書いてくれた。とてもためになる内容だ。 特にこれから長岡が留意し 意識すべき指摘、たとえば次のような──
もちろん課題もある。イベント中「地元企業への就職」という言葉は何度も出てきたが、「起業」という言葉を筆者は聞かなかった。一足飛びに長岡がシリコンバレーになれるわけではないが、県外の筆者の友人たちも参加を希望しており、来年は県外からの出展者も増えるだろう。イノベーションを生むのはこうした一歩ずつの取り組みだろう。
これまで、長岡のフェアは「地元企業と市民の交流」といった色合いが強かった。幅広い世代が多種多様な「ものづくり」に関心を持ち、関わっているという土壌を大切にしながら、新しい技術に興味を持つ若者や企業人が集い、創造的なものづくりのうねりが生まれる次のステージに進みたいというのが関係者の思いだろう。
記事には、これからの長岡のものづくりフェアが目指すべき方向、可能性が示唆されていて元気づけられる。以下にさらに引用させていただく。
イノベーションをいかに起こすかに、絶対的な正解はない。1つの考え方は、特別な才能を持つ天才がイノベーションを起こすというもので、スティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏がこれに当てはまるのかもしれない。しかし、最近では、複数の分野の融合やすり合わせからイノベーションが起こるという見方のほうが優勢で、ジョブズ氏への評価も「複数の分野で優れた人材を集め、アイデアをまとめあげた」という形に落ち着きつつある。
実際に、ある分野では誰でも知っている方法を別の分野に投入したら業界の常識を一新するほど大成功した、という事例はたくさん挙げられる。それは裏返すと、異なる分野の知見や方法を、新しい分野に導入するのがいかに難しいかということでもある。専門分野が深まるほど、誰でもわかる話は少なくなる。好意と関心を持って聞かなければ、新しい知見は耳に入ってこない。
縦割り組織、ムラ社会、仲良しグループでよそ者排除・・・では前に進めない。一人ひとりが心を開き、出会った人に「 好意と関心を持って 」接し、新しい扉を開く人になってほしい。もちろん、たゆまぬ自己研鑽も要るだろう。
記事の締め括りは、長岡へのエールと受け止めたい。
学生のロボットから老舗の和菓子店まで、まったく異なる分野の人々が集まる長岡のものづくりフェアは、その意味でイノベーションの土台になり得る。伝統工芸展やサイエンスフェアを開催している自治体はあるだろう。それらを融合して、別の効果を生み出そうとしている点に、長岡市の本気度がうかがえる。
改めて思った。長岡のものづくりの伝統と集積、そして4大学1高専・高校・専門学校の学生や若者という人材の宝庫を活かして、みんなの夢が実現する起業創業のエコシステムをつくっていきたい、と。
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冒頭画像:溶接ネジ人形(メイカーズながおかtest type出展)