全国各地でクマ出没や人身被害の事案が連日報道されている。新潟県内においても今年度の出没件数は過去最多のペース。

県はそれまでの 「クマ出 没警戒注意報」から警戒レベルを引き上げた「クマ出没警戒警報」を出し、8月7日から11月30日までを「クマ出没警戒強化期間」として注意喚起を行っている。

長岡市内では栃尾・川口・山古志などで、8月26日時点で86件の出没が確認されており、県内2番目の多さだ。

今回は、これから本番となるクマ出没に関する情報の特集である。

■ドングリ不作でクマが里に下りてくる

今年の秋は、山に成るドングリなど、クマの餌となるブナの実が凶作になるとの予測が出ている。市内の過去の状況を見ても、こうした予測が出た年は9月から11月にかけて人里でのクマ出没が急増し、人身被害も発生している。今まで以上に、十分な警戒が必要だ。県内のクマの出没情報は「にいがたクマ出没マップ」でチェックしてもらいたい。

ストップ!クマ被害」対策を強化

6月には栃尾地域で人身被害が発生した。そのため、この秋は「ストップ!クマ被害」をスローガンに掲げ、被害の再発防止に向け、地域や事業所の皆様と連携しながら、「クマに遭わない・寄せ付けない」取り組みを強化していく。

具体的な取り組みは、次のとおりだ。

住民が点検項目に基づき集落環境を確認し、地域ぐるみでクマやイノシシなどの鳥獣被害防止に向けた環境整備に取り組んでもらうため、5月下旬から6月初旬にかけて市内365地区に配布した「地域の点検チェックシート」について再周知を行い、活用促進を図る。

クマのみならず、やはり秋に出没が増加するイノシシ対策にも是非役立てていただきたい。

市内365地区に配布した「地域の点検チェックシート」(クリックで拡大)

登山などで実際に山を訪れる方に広く内容を周知するため、新たに市内の主要アウトドアショップ、スポーツ店、ホームセンター、釣具店に協力してもらい、各店舗に注意喚起チラシを配置・配布する。

今年度は栃尾・川口・山古志・小国・越路の5地域において、注意喚起のマイク広報を4月・7月・8月に実施(人身被害発生の栃尾地域では6月も実施)しているが、9月から11月は上記5地域に長岡地域も加え、毎月実施する。

令和3年度から6年度にかけて、市内19の小・中学校に対して全児童・生徒分のクマ鈴を配布したが、学校の統廃合などに伴う人数の変動を踏まえ再度各校に数量を確認し、不足分を追加配布する。また、出没状況に応じて、通学路を巡回し、周辺環境の点検を適宜実施する。

クマの人の生活圏への出没が多発しているなか、市内の現状や「クマに遭わない・寄せ付けない」取り組みを知ってもらうため市民向け学習会を、10/9(木)にアオーレ長岡で開催する。

上記のほか、市内のクマ出没の現状や被害防止対策について知っていただくための学習会の開催や、市政だより防災Dメールなど、市の広報ツールを活用した注意喚起の継続、「地域の点検チェックシート」と連動した市の補助制度の周知など、さまざまな取り組みを展開していく。

チェックシートと連動した市の補助制度
獣害関連の防災情報について

また、8月18日付で「鳥獣被害対策専門員」1人を採用した。主に栃尾地域のサル対策に従事するほか、クマやイノシシの被害防止対策に向けた啓発活動の運営や、各種対策の指導などを行う。幅広い知見を活かし、地域における鳥獣被害対策の新たな担い手として期待される。先述の「クマ被害防止対策学習会」の講師も、この専門員が務める予定だ。

「クマに遭わない・寄せ付けない」ためには、地域の皆さんの協力が不可欠だ。これからの季節、山菜採りやレジャーで山に入る方も多いだろう。事前に出没情報をチェックしたり、地域や家族で対策・情報を共有するなど、十分に注意してほしい。

クマやイノシシと出会わないためにできることはこちら

   関  連  記  事 :  クマ・サル・イノシシ対策の“いま” クマ特別警報 発令中!

 

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新たに配布した注意喚起チラシ