ぐっと気温が下がり、いよいよ本格的な冬の気配が感じられるようになった。

年末年始はやることが目白押しな時期だ。 ただでさえ忙しいというの に、大掃除も(場合によっては)家中ひっくりかえしてすることになる。

ここで頭を悩ますのが、不要品の処分。要らないものは捨ててしまいたいが、ものによっては捨てること自体が大変だ。それに、どうせ処分するなら「ごみ」として捨てるよりも、他の人に使ってもらったり、リサイクルして資源循環に貢献できるほうが良い──と考えてくださる方もおられるのではないだろうか。

ということで今回は、年末の大掃除の参考にもなる市の取り組みをいくつか紹介したい。

■さらなる分別で、持続可能な社会へ

長岡市の市民一人1日当たりごみ排出量は873グラム(令和4年度)と、県内30市町村のうち2番目に少ない(新潟県「一般廃棄物処理事業の概況」11ページ目)。

令和5年度は、前年度からさらに減少して、859グラムだった。これは市民の皆さんのごみの減量への高い意識、あるいはごみを捨てることに関する倫理観のあらわれだと、高く評価したい。

ごみ処理経費は、33億7,400万円であった(令和5年度)。これは市民一人当たり年間約13,144円かかっていることになる。

新型コロナ禍では、「ステイホーム」の流れもあって、家の中を片付ける人が多く、粗大ごみの排出量が増加した。令和4年度から減少に転じているものの、コロナ禍前よりは依然多い。

粗大ごみ排出量(単位:トン)

平成25平成26平成27平成28平成29平成30令和1令和2令和3令和4令和5
1,1251,0521,1641,0391,0641,1701,2311,3151,3641,2771,271

さて、長岡のごみ排出量そのものは、先述の通り県内でもトップクラスに少ない。しかし、分別という観点からみると、更なる改善の余地がありそうだ。例えば、燃やすごみの中には、古紙類など、分別すれば資源となるものがまだ多く含まれている。

世界を見渡せば、エシカル消費の時代だ。「モノを処分する」という消費行動の最後の過程にも、社会の持続可能性への配慮が必要なのだと思う。ごみの減量と分別(リサイクル)などにもエシカルな意味で意識を向け、これからもご協力をお願いしたい。

■羽毛ふとんをリサイクル

10月から、羽毛ふとんの無料引き取りを開始した。

これまで羽毛ふとんは200円で粗大ごみとして回収し、焼却処分していた。この引き取りサービスでは、ダウンの割合が50%以上の羽毛ふとんを環境衛生センターに持ち込んでいただいた後、リサイクル業者(工場)に引き渡して、新しくダウンジャケットなどの衣料品や羽毛ふとんに生まれ変わらせる。

家庭から出るごみを減らすとともに、天然資源である羽毛を再生利用する、環境にもやさしい取り組みである。詳しくはこちら

■不要品をリユース

5月に株式会社マーケットエンタープライズとリユース事業に関する連携協定を締結し、リユースプラットフォーム「おいくら」を通じた不要品のリユースを推進している。

おいくら」とは、簡単にいうと、不要品売却の一括査定サービス。査定したい商品の情報を入力して査定依頼を出すと、複数のリユースショップから買い取り価格が提示される。利用者が、それらを比較した上で、希望する買取店を選択すれば、売却が成立する。

また、通常の粗大ごみ収集では、自力で自宅外にごみを出すことが求められるが、「おいくら」では、希望すれば運び出しまで対応する出張買取サービスがあり、大型のものでも容易に売ることができる。さらに、市では収集できない冷蔵庫や洗濯機などの家電リサイクル法対象機器も売却可能だ。

不要品を捨てずに買い取ってもらい、必要な人に再利用してもらうことは、とても合理的な不用品処分のあり方だと思う。5月から10月まで、202件、438点の依頼があり、利用者から大変好評だ。年末の大掃除でぜひ活用してもらいたい。

市はこれまで、生ごみのバイオガス化生ごみ処理器の購入費補助食品ロス削減の意識啓発など、ごみの減量やリサイクルの推進に取り組んできた。これらの政策の基本理念は「環境にやさしい循環型社会の実現」だ。自分たちとは異なる時間・空間にある他者にも配慮しようという思いが、その根底にはある。今後も、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推し進め、よりよい環境を次の世代へつなげていく。

また、リサイクルを含め、最終的なモノの処分のあり方にまで関与する市民ユーザの意見も重要性を増してくるはずだ。消費者(ユーザ)・事業者・行政とが連帯して持続可能な社会をつくってゆくイメージを持ち、前へ進んでいこう。

 

   関  連  記  事 :  総額11億円 “省エネ再エネ支援” バイオ肥料で完結《生ごみの資源循環》 脱炭素社会へ アクセルON! ごみ処理は温暖化対策 

 

 タイトル画像 : 

リサイクルに出す羽毛ふとん (イメージ)