昨年の新潟県内の「企業倒産」は89件。2000年以降で最多となった(帝国データバンク「新潟県「休廃業・解散」動向調査(2023年)」)──。 原材料 やエネルギーの高騰、後継者不足や人手不足が原因となったケースが多いと分析され、今後も企業倒産の増加が懸念される。
原材料・エネルギーなどの価格高騰は、いうまでもなく異常な円安が原因だ。日米の金利差によって円安が進み、輸入物価が高騰している。早急な円安是正が望まれているものの、さらなる円安予想もあり、予断を許さない。
長岡市も、これまで、物価・エネルギー価格の高騰対策として、事業者へのさまざまな支援策を講じ、人手不足対策にも力を入れてきた。
今回は、市内企業を支えるための取り組みを紹介したい。
■ 生産性向上を図る新たな挑戦を応援
<イノベーション加速化補助金>
①技術高度化・新製品開発支援
〇概 要 新製品・新技術の開発を支援
〇対 象 市内に事業所を有する中小企業等で製造業または情報サービス業
〇補助金額 対象経費の1/2以内(上限200万円)
※市公式アンテナショップ出品のための開発・改良の場合は上限50万円
〇昨年度の実績 9件
〇採択事例 ・汎用デジタル端末を活用した安価な画像検査システムの開発
・熱処理技術を活用した衣料用電磁波シールド繊維の開発と民生品の開発
・中越大震災の教訓から誰でも食べられるセルフカスタマイズ災害食品開発など
②デジタル技術活用支援
〇概 要 中小企業が取り組む生産性の向上や新ビジネス展開に向けたデジタル化を支援
〇対 象 市内に事業所を有する中小企業等
〇補助金額 対象経費の1/2以内(上限200万円)
※ECサイトなどのWeb販売サイトの出店は上限50万円
〇昨年度の実績 28件
〇採択事例 ・オンライン技術支援サービスのプラットフォーム構築と導入
・業務アプリ開発、運用プラットフォームを活用したサービス提供システムの構築
・デジタル技術活用による営業・施工管理・総務部門が連携した業務効率化 など
③再生可能エネルギー導入支援
〇概 要 製造業を営む事業者が行う脱炭素化(再生可能エネルギーの導入)の取り組みを支援
〇対 象 市内に事業所を有し、製造業に該当する事業者
〇対象事業 電力の自家消費のために再生可能エネルギーを導入する事業
〇補助金額 5万円/KWh(上限200万円)
〇昨年度の実績 8件
〇採択事例 ・完全自家消費型太陽光発電設備の導入
・風力発電機に利用する集風器の開発 など
<バイオ革新的ものづくり創出補助金>
〇概 要 バイオ産業の創出に向けた新製品の開発や設備・技術の導入支援
〇対 象 市内に事業所または本社を有する事業者
〇補助金額 対象経費の2/3以内(上限1,000万円)
〇昨年度の実績 5件
〇採択事例 ・竹由来の機能性素材の開発を通した竹林循環サイクルの構築
・廃棄される食パンの耳を活用したクラフトビール開発
・ケミカルタン(化学舌)を用いた日本酒の評価手法の開発 など
以上の支援制度の申請は5月31日(金)まで。
ぜひ多くの企業から有効にご活用いただきたい。また、ここで紹介した以外にもBCP・事業承継や起業支援、融資など、数多くの支援メニューを揃えている。詳細は、がんばる地域企業支援ガイドをご覧いただければと思う。
■人手不足解消へ伴走型で支援
昨年10月、長岡市は市内外に住む学生の地元就職を推進するため、経済産業省関東経済産業局が実施する「地域の人事部」事業と連携し、インターンシップによって市内企業と学生をつなぐ情報サイト「インターンシップマッチングプラットフォーム」を立ち上げた。このプラットフォームには109社が登録し、今年2月末までに56件のインターンシップが実現した。
また12月には、学生のための「業界研究・インターンシップフェス」を、先月には「高校生のための企業フェス in アオーレ」を開催。多くの学生たちに、市内企業の魅力に直接触れる機会を提供した。
外国人材ついては、モンゴルやベトナム、キルギスなどの留学生インターンシップマッチング支援を用意し、外国人材の市内企業への就職サポートを充実させている。現在既に2件の内定が出ており、今後さらに拡大させていくつもりだ。
また、過去のブログでも紹介した市公式の単発求人サイト「ながおかマッチボックス」も好調(事業者向けサイトはコチラ)。こちらは、1日単位・数時間単位で働きたい人と、人手不足に悩む企業をつなぐギグワークプラットフォームだ。
繁忙期や人手の欲しい時間帯などピンポイントでの採用も可能で、今の時代にマッチした仕組みといえる。スタートした昨年9月から先月末までの実績は、登録者数2,389人、登録事業者数161事業所、求人件数5,479件、応募件数6,344件、就業マッチング件数2,084件と、有効に活用いただいている。
応募は20代が多く、中には、この雇用をきっかけに正社員として採用された人や、長期雇用につながった人もおり、今後の更なる展開に期待する。
新年度も、市内企業のデジタル技術の活用や省エネ・脱炭素化などを支援し、生産性の向上による省人力化を進め、人手不足への対応を加速させていく。
物価高騰と人材不足の波を乗り越え、地元経済の明るい未来をめざし前に進んでいきたい。
関 連 記 事 : 生活と産業へのさらなる支援
タイトル画像 :
令和5年12月14日(木) 業界研究・インターンシップフェス(会場:アオーレ長岡アリーナ)
市内企業、長岡北スマート流通産業団地進出企業など約60社が参加。令和7年3月以降の大学・大学院・短大・高専・専門学校等卒業予定者が参加