物価高騰が生活や企業活動に大きな影響を及ぼしている。
経済の好循環は、物価上昇に見合って賃金や年金が上昇することから生まれるといわれて いる。ところが日本では、物価と大企業の賃金は上がっているのに、中小・零細企業の賃金と年金(大部分の国民の収入)は上がっていない。中小企業は、取引先や顧客に対して弱い立場にあるために、適切な価格転嫁ができず、 従業員の賃金を上げることもできない状況にあるからだ。
結果的に、社会保険料などの負担増もあいまって、大部分の国民の可処分所得が減少していることが、物価高騰対策が必要とされる理由だろう。
この状況を受け、長岡市は、6月補正予算で約9億600万円の市独自の物価高騰対策を実施した。
・18歳以下の子ども1人当たり1万円の支給
・介護保険施設や私立保育園への価格高騰分の支援
・デジタル地域通貨ながおかペイのさらなる導入促進
・ポッキリパスポートのクーポン券(1,000円券+ながおかペイ500円分ポイント)配布
・住宅リフォーム支援補助の増額
などである。
さらに、この12月議会の最終日に総額42億4,863万5千円の補正予算案を追加提案し、国の支援策も含め、約30億円のさらなる物価高騰対策事業を実施することとした。
※ 昨年(2022)度には総額26億8,700万円の支援策を実施している。→過去のブログ
今回は、この物価高騰対策の追加支援を紹介したい。
■ 企業活動にも大きな影響
原材料やエネルギーの高騰による県内企業への影響に関し緊急調査結果(第5回)が10月に公表された。仕入価格の上昇で収益が「大きく圧迫」か「やや圧迫」されている企業は93.0%で、過去5回の調査で最高。運輸業、飲食サービス業、生活サービス業で特に影響が出ている。
また、市が長岡商工会議所と共同で実施している景況調査(令和5年7月~9月期)を見ると、電気料金値上げによる影響は「かなり厳しい」が全体で24.4%、業種別ではサービス業が40.5%と最も高く、製造業と小売り業も30%を超えている。
■ 暮らしと経済を守る追加支援
〇物価高騰対策重点支援給付事業 21億2,299万4千円
住民税非課税世帯に、1世帯当たり7万円を支給する(対象:2万9,500世帯)
〇プレミアム付き商品券発行支援事業補助金 4,500万円
1セット5,500円分の長岡市共通商品券を5,000円(1セット当たり500円のプレミアム)で販売し、消費の下支えと域経済の活性化を図る。販売数は7万セット(1人当たりの上限は2セット)、販売開始は年明け2月1日(木)からの予定
※販売場所は調整中のため、決まり次第、市や長岡市共通商品券組合のHPでお知らせする
〇町内会活動支援給付金 1億3,200万円
全町内会に1世帯当たり1,200円を支給する。
年明け1月に通知を発送し、2月中下旬頃に支給する。エネルギー価格や物価高騰の影響を受けている公民館、防犯灯などの維持管理経費や各種活動費に充ててもらうことで、会員(市民)負担の増加を抑制し、ウイルス禍で停滞した町内会活動の活性化につなげていく。
〇学校給食費支援補助金 2,075万7千円
小・中学校(新潟大学付属校も含む)及び総合支援学校に対して、児童・生徒一人当たり1,000円程度を補助する。
■地域経済を守る
〇農作物次期作支援事業 5億4,717万2千円
水田作付面積(水稲、大豆、園芸作物等)が30アール以上の農家に対して、10アール当たり4,000円を支給する(1農家当たり上限額200万円)。資材の高騰や記録的猛暑による減収で経営不安を抱えている米農家を支援することで、次期作への作付意欲の維持につなげていく。
〇運送事業者応援給付金 5,527万7千円
市内の一般貨物自動車運送事業者に対して、市民生活と企業活動に欠かせない物流維持のため、1台当たり2万5,000円(1社当たり上限50万円)を支援する。運送業は、2024年問題への対応が不可欠となるため、今回の給付金は働き方改革に関連する支援強化に取り組むことを条件とする。
〇事業者経営支援商工団体等補助金 2,500万円
市内商工団体や商店街が実施する市民向けセールなどの物価高騰対策に100万円を上限(会員数が1,000を超える場合は上限500万円)に補助する。各地域の消費を支えるとともに、会員企業の負担緩和と事業継続につなげていく。
エネルギー価格や物価の高騰は、今後も続く可能性がある。先行きが見えないが、新年も、市民生活と地域経済への必要な支援を、機動的に行っていきたいと考えている。
関 連 記 事 : 志ある女性の起業支援します 支援中!生きぬく地域企業 長岡市独自の物価高騰対策
タイトル画像 :
令和5年12月15日(金) 記者会見(ミライエ長岡5階 スタジオAB)
12月議会最終日に提案するエネルギー価格・物価高騰対策の補正予算を記者会見で発表