長引く感染禍に加え、世界の政治経済情勢の大きな変化で、この先どうなるか分からない時代になってきた。 日本は、急激な円安による輸入価格の 上昇で、インフレが避けられない状況にある。そうした中で、産業界からは、人材不足や採用難が最重要課題との声が高まっている。
この要請に応えるべく、長岡市が設立した長岡グローバル人材活躍推進協議会では、長岡技大や長岡高専、国際協力機構(JICA)と連携し、ベトナムやモンゴルの高度外国人材(海外留学生)を市内企業に受け入れるマッチング事業を本格化する。今後はインド人材でも展開していく予定だ。産業の活性化と高度化、新産業 の創出に向け、高度外国人材の需要はますます高まっていく。先日開催した協議会では、外国人が働き暮らし続けていくようにするためには、企業の魅力や待遇も大切だが、生活支援も重要だという意見が多く出された。実際に外国人社員がいる企業からの声だ。
市民として外国人をいかに受け入れていくか──が長岡に問われている。
今回は「外国人の受け入れ環境」のトピックである。
■あたりまえに地域に溶け込む
10月22日(土)、3年ぶりに三島地域で「越後みしま竹あかり街道」が開催された。
竹あかり街道は、地域の皆さんと地元の学校(脇野町小学校、日吉小学校、三島中学校)が長岡造形大学と連携し、地元産の不要な竹材を活用する地域循環型イベントだ。2万5千個の竹灯籠の柔らかい光、LEDが照らす竹林や街並み、子どもたちが製作した作品の数々が三島の魅力を存分に表現している。来場者は1万人を超え、長岡を代表するイベントに成長した。
3年ぶりに開催された竹あかり街道には、地元の(株)アドテックエンジニアリングのベトナム人社員4名が実行委員として参加してくれた。感染禍で市民との交流機会の減少を心配していた会社の仲介で実現したという。準備から本番まで大活躍したベトナム人社員の皆さんは、地域のイベントに貢献し、地域の住民や子どもたちと交流できたことを喜んでいた。
竹あかり街道には、長岡市国際交流センターを通じて、長岡技術科学大学、長岡造形大学、長岡大学、長岡工業高等専門学校の留学生9名もボランティア参加してくれた。留学生たちの出身はメキシコ、中国、タイ、ブラジル、モンゴル…とさまざま。地域の子どもたちと一緒に作業をする姿は、まさに地域の多文化共生と言えよう。
■長岡ならではの外国人支援
現在、市内には約2,400人の外国人の皆さんが在住している(そのうち留学生は約400人)。
市は、外国人市民の生活相談や自立支援、国際理解などの拠点として、長岡市国際交流センター「地球広場」を全国に先駆けて開設し(平成13(2001)年)、昨年20周年を迎えた。
長岡で暮らす外国人の皆さんの日常生活に寄り添い、支える取り組みを行ってきた。そして、さまざまな文化を持つ人同士が集い、交流するコミュニティの拠点として定着している。
「勤め先のまちには何でも相談できたり、交流できる場が無いので、住むところは長岡にした」という方もいるなど、長岡には長年蓄積してきた「多文化共生」の実績とノウハウがある。
市民の皆さんからは、これからも同じ市民同士として、長岡ならではの助け合いの精神(雪国マインド)で接してもらえたらと思う。だれにとっても住みやすいまちであること──これが若者や外国人も含め、長岡に居住する人を増やしていくベースになる。
「多文化共生」のまちづくりを進めていこう。
関 連 記 事 : 多文化共生を長岡から
タイトル画像: 留学生との交流(三島地域の竹あかり街道の会場にて)