脱炭素社会への移行は、世界共通の目標である。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素化への社会的要請が高まっている。
長岡市は市内企業、長岡商工会議所、金融機関の産金官による「長岡・脱炭素で産業の未来をつくるプロジェクト」を新たに立ち上げたので紹介したい。
■J-クレジットを活用したプロジェクト
今回スタートした「長岡・脱炭素で産業の未来をつくるプロジェクト」は「J-クレジット制度」に基づいている。
J-クレジットとは、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジット(証書)として認証する国の制度である。中小企業等の省エネ・低炭素投資等を促進するとともに、クレジットの活用により国内の資金循環を生み出すことで、経済と環境の好循環の促進も期待できる。
長岡市のプロジェクトでは、太陽光発電に特化したCO2削減量を市が集約し、クレジットにして大企業などに売却。売却益は、長岡市が市内産業の脱炭素化支援のために活用するという特徴がある。


プロジェクトの概要
- 運営管理者:長岡市
- 認証期間:令和6年11月27日(登録申請日)から令和14年11月26日まで。期間終了後、引き続き排出削減が見込める場合は8年間の延長が可能。
- 事業スキーム
- 太陽光発電設備を導入した市内企業へ、市、長岡商工会議所、第四北越銀行、大光銀行が連携してプロジェクト参加を呼びかけ。
- 参加企業は年に1回、発電電力量、自家消費電力量などの情報を市に提供。
- 市は提供を受けた情報を元にCO2削減量を取りまとめ、クレジット化。
- クレジットの活用例
- 売却し、企業が行う脱炭素化に向けた新たな投資への支援
- 進出企業へ譲渡する「クレジット付き産業団地」

■脱炭素で長岡の産業の未来をつくる
太陽光発電設備導入によるCO2削減量のみを、自治体が取りまとめるプロジェクトは、全国初の取り組みである。現在、プロジェクト参加企業は12社。合計で1年間あたり約380tのCO2(一般家庭約190世帯の年間排出量に相当)を削減する見込みだ。
参加企業にとってのメリットは何だろうか? 自社だけでは活用が難しい(捨てている)「CO2削減量」がクレジット化され、市の産業振興に活用されることで、「脱炭素経営」+「地域貢献」を実現し、「企業価値」を向上させることができる。「取引先から選ばれる企業」として競争力強化につながることも期待される。
市としては、参加企業を「長岡市省エネ・再エネ産業振興プラットフォーム」の「長岡市カーボンニュートラル推進パートナー企業」に認定するとともに、市ホームページに掲載するなど、さまざまな場面で各社の取り組みを積極的にPRしていく予定だ。
また、クレジットを売却した資金で、市内企業の脱炭素化を支援し、産業界全体の脱炭素化の推進とイメージアップを図っていく。
今後、さらに多くの企業の皆さんからご賛同いただき、参加企業を増やすことで、一致団結して長岡の脱炭素化による産業振興を進めていきたい。
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プロジェクトに携わる企業、長岡商工会議所、金融機関との共同記者発表(1月15日)