きのう、長岡市栃尾地区の国道290号の 新しい人面橋ひとづらばしが完成し、初夏ならではのさわやかな緑の中で、竣工式がとり行われた。全長48m ・幅員9m、立派に生まれ変わった姿をお披露目した。


人面橋は、塩谷しおたに川という1級河川を跨ぐ重要な橋であるが、今までの狭い橋では子どもの通学にも危険になっていた。工事車両など大型車のすれ違いもできず、架け替えの運びとなった。
旧橋よりも一段と高い位置に通したから、増水時も安心だ。

 

旧人面橋 (今後取り壊される) の 向こうに新しい橋が架かった

旧橋は昭和38年に当時の田中角栄大蔵大臣の尽力で、木橋から架け替えられたそうだ。竣工記念誌には、現金を稼ぐ方法がなかった当時の村民が、土工として働き、収入を得た様子など想いとともに語り継がれている。

 

時として大都市圏の人たちから、「田舎道のインフラ整備は『不要不急』『投資効果がない』」といった声が上がるが、私はそのようには考えていない。国道290号

国道290号(地図)のような幹線道路は管理整備の手を抜けない。いつの時代でも物資の輸送・人の交流、そして災害時の避難経路として重要な“道”なのだから。コンクリートも人も、必要な投資はしていかなけらばならないと思う。
そのむかし、栃尾のしょは「栃尾の街に出入りするには必ず谷を通らなくてはいけない」と言っていた。なるほど、塩谷はその1つであり、ここは北へむかう重要地点なのである。


そして、新型コロナウィルス以降ポストコロナの新しい社会がやってくる。
地方分散や在宅勤務の流れは加速し、なにより「健康な生活」が社会のベーステーマとなる。自然、循環社会、持続可能サステナブルな生活環境──これらキーワードの意味が真に理解され、田舎暮らしの価値が見直されるはずだ。

長岡の中山間地域の未来に明るい希望を感じた竣工式だった。

 

 

ちなみに──
「人面橋」命名の由来である人面ひとづらとはどういう意味だろう?『本当は怖い日本の地名 』(日本の地名研究会)に次のように紹介されている。

人面魚じんめんぎょの生産地ではない。念のため。
地名の由来は、四人村しとむら四人面しとづらともいわれ、土田・片山・小林・神保姓の4人が開発した村だったことからこの名前が付いた。
それがいつの間にか「四」が省略されて人面ひとづらと呼ばれるようになった。
また、今は跡形もなくなってしまったが、戦国時代には立派な城があった。その付近を通る峠道は現在はトンネル化されているが、旧道もそのまま残されている。

『本当は怖い〜』ではなく、『本当は怖くない日本の地名』ってわけだな(笑)。


   関  連  記  事: 分散の受け皿(ピンチはチャンス)
 タイトル画像:
人面橋ひとづらばし渡り初め(2020年6月27日)