子どもの発達に関する支援ニーズが増えている。 子ども一人ひとりの発達の特性に、どのように対応したらいいかと悩む人が多くなっているのだ 。


長岡市は発達段階に応じた支援を切れ目なく実施すべく、さまざまな支援メニューを用意している。
今回は、支援の第一歩(糸口)である相談体制などをご紹介したい。

 

■ 乳幼児健診をきっかけに


固有の発達特性を持つ子どもの能力を伸ばしていくためには、早期の気づきと適切な支援が重要だ。
か月児健診3歳児健診の際に実施している「こころとことばの相談」では、発達に関する相談のほか、保健師や心理士が問診や観察を通して保護者に丁寧にアプローチをし、特性への気づきと相談につなげている。

 

年間およそ200件にのぼる相談は、行動や情緒に関する内容が多い。相談後も、子どもの成長に応じて、保健師が訪問や電話などで継続的にフォローしたり、医療機関や療育につないだりする体制を取っている。

 

■ 保育園への「こどもすこやか応援事業」


保育園・こども園等での集団生活で、保護者や保育士が発達特性に気づき、顕在化するケースが増えている。
日々の保育現場で子どもに接する保育士や園は、第三者の視点で子どもを観ることができる身近なプロでもある。早く発見できれば、その後の保育計画も実のあるものを策定できる。保育の現場をサポートする「こどもすこやか応援事業」はとても重要である。

 

市では、保育士・訪問相談員・保健師・心理士などの専門職からなる「こどもすこやか応援チーム」をつくり、公私立の園からの要請を受けて訪問支援を行っている。子どもの実地に観察し、特性の理解や具体的な対応をアドバイスしている。支援チームは、学校教育課、総合支援学校子ども家庭センター柿が丘学園などと定期的に情報共有を行っていて、子どもと保護者に対する重層的・多面的・包括的な支援が図られている。

また、定期的に開催している保育士など園の職員や関係機関の方々向け「障害児保育研修会」は、子どもの発達に関する専門家(大学教授など)を講師に、子どもへの接し方や保護者との連携を学んでもらっているが、保育現場のスタッフの努力のおかげで、日々の保育に活かされていると聞いた。

 今後も、子どもの支援と保育活動の支援を両輪として進めていきたい。

 

■ 保護者の学び・交流の場を新設


子どもの発達について、同じような不安や悩みを抱える仲間(ピアpeer)が身近にいない場合も多い。核家族化や感染禍の影響もあって、周囲に相談できず孤独を感じやすい状況が生じている。

このような懸念に対し、子どもや家庭に関する相談・支援拠点である子ども家庭センターでは、今年から「こども発達相談室」の専門職スタッフを増員して体制を強化。子育ての駅や保育園を会場に、言語聴覚士や臨床心理士などによる発達に関する講座の出前を企画し、「どこに相談したらよいかわからない」という声に応えている。(タイトル画像は本年4月、てくてくでの出前講座。8組の親子が参加)

 

今年7月、さいわいプラザ5階に「交流サロン ~トークルーム ぷらっと~」を開設。ペアレントメンターの皆さんや、支援活動グループから協力をいただき、定期的に交流会を開いている。このように、同じ立場にある者同士が語り合う「ピアサポート」の効果は大きく、孤独感や負担感の軽減に確実につながっている。 

※「信頼できる相談相手」の意味。発達障害のあるお子さんの養育経験を持ち、親の立場で子育ての悩みを聞いたり、育児の体験を語ったりし、発達が気になる子どもの子育てを支援する。県の養成研修を修了。

交流サロンで開催した「新1年生親子交流会」(7月27日)。ほかにも、ペアレントメンターや市民活動団体の協力で定期的に交流会を開催している。

交流サロンでは、16か月児健診と同じ日に相談会も開催しているので、健診を受けたあとでサロンに立ち寄ることができる。こども発達相談室の職員が親身になって耳を傾け、気持ちを受け止めてくれる。気軽に立ち寄っていただきたい。話を聴いてもらうことで安心感が生まれ、前に進む元気が出てくる、というのが多くの相談者の感想であり担当者の実感である。

 

子ども一人ひとりの特性に応じた育て方や教育、そして適切な支援は、子育て日本一を目指す長岡の大きなテーマだ。着々と、たゆむことなく、関係機関との連携強化によって相談体制を充実させ、健やかな育ちを実現していく。


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 虐待防止をネットワークで2

                     
 タイトル画像:
 出前講座(てくてく)