「泳ぐ宝石」といわれる錦鯉山古志地域を中心とした「二十村郷にじゅうむらごう」が発祥の地とされ、日本の水産品輸出額約37億円 (平成 27年度)のうち、大半を占めるのが新潟県産の錦鯉だ。

現在、生産された錦鯉の7~8割が輸出され、ドイツ・オランダなどの欧州や中国やタイといったアジアなど、輸出先は50か国以上にのぼる。長岡は「錦鯉の聖地」として、海外から高い評価を得ている。

しかし、新型コロナウイルス感染症が、養鯉業者にも大きなダメージを与えた。錦鯉の輸出は主に春と秋だ(気温の高い夏季は、空輸中に錦鯉が死んでしまうリスクが高い)が、今春は、外国人バイヤーが来日できず、航空便も減少したためだ。

 

 

そこで、市では、長岡市錦鯉養殖組合に対して、夏でも出荷可能な発泡スチロールの出荷箱(約1,500箱分)の経費補助をした。これまでの段ボールから断熱効果のある出荷箱にしたことで、死着が減り、鯉を弱らせることなく輸送できた。売り上げが8割減った生産者もいる中、この夏の輸送で取り返した業者もいたと報告を聞いている。
発砲スチロールのおかげで、通年出荷も可能となった。まさしく“ピンチはチャンス”だ。

 

また、コロナウイルス禍で、輸出だけでなく、国内回帰を目指す新たな取り組み──錦鯉を水槽に入れて貸し出す──も始まった。
生き物は、環境に合わせて成長の仕方が違う。意外と知られていないが、錦鯉も“入れ物”に合わせた大きさに育つ。水槽で飼えば、大きく成長しすぎることはないのである。うむ、みずから調和的に適応するのだな、なるほど平和的な魚だ。広い池がなくても手軽に飼えるこの美しい観賞魚は、平和の象徴でもある。どんどんPRしていこう。

 

 

試しに、市役所の窓口・教育センター・緑化センター・栖吉保育園など無料レンタルして錦鯉水槽をディスプレイしてもらったところ予想以上に好評だった。フィードバックの一部を紹介する。

★市民や職員の多くが足を止めて鑑賞し、多くの方から癒されると好評だった。★錦鯉が市民とのコミュニケーションツールとなり会話が弾んだ。★飼育が思ったよりも簡単で、飼育が難しそうという先入観が解けた。★人懐っこく寄ってくる様子に癒され、愛着がわいた。★水槽返却後は寂しさを感じた。

 
手軽に飼育でき、癒される錦鯉は今後注目されることだろう。

 

 

 タイトル画像:   アオーレ長岡に常設の錦鯉の水槽。子どもたちに大人気!
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